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2013年12月17日 (火)

プレイバック獅子の時代・(49)燃え上がる炎

ビスマルクが支配する統一ドイツ帝国を
憲法の起草運用の調査に出かけた伊藤博文は
約1年の真剣な学問勉強を経て
明治16(1883)年の夏に帰国。

ちょうどその時期、後年 文明開化の象徴とされた
国の迎賓館『鹿鳴館』が完成しています。
総工費18万円をかけたレンガ作りの西洋館であります。
(目安として、前年の伊藤の給料が月約500円)

2台連なって走る馬車。
そのうちの1台の中に、伊藤が目をつぶって乗っています。
そしてもう1台には、苅谷嘉顕と大槻信春が
どちらも緊張した面持ちで乗っています。

完成したばかりの鹿鳴館を視察した伊藤は
日本ではないようだ、と評価しながら
一方で、真似れば真似るほど茶番に見えると辛口です。

実は内心ではそう思っている伊藤でも、
今は猿真似でも何でもやって
力をつけていかなければならないと分かっています。

伊藤は明治17(1884)年3月に
宮中に制度取調局を造ります。
正式な憲法起草機関の発足であります。

その長官になった伊藤は、嘉顕に
引き続き民間の憲法に対する意見を調査する任務を与えますが、
その際には国民が騒ぎ出さないよう、
内密に進めよとの注意つきです。

嘉顕は、遠く四国・九州に至るまで憲法への意見を幅広く集め、
それを伊藤に届けます。
伊藤はその一つ一つを丁寧に読み、それに応えます。

植木枝盛の、革命を認めよという主張には
世界各国で革命を認めた憲法は未だにないだけに
よくできている、おもしろいと評価します。
「刺激を受けます」

伊藤に民間からの意見を拒否するそぶりのないことに、
嘉顕は素直に喜んでいますが、
一抹の不安もないわけではありませんでした。


鉄砲を持つ農民たちの間を縫って
竹林の中を平沼銑次が歩いていきます。
井出為吉という男を伴っているのですが、
農民の中には引き止めるものも。

銑次は、客人だ と言いながら進んでいきます。

松本英吉のところに戻った銑次は
農民に鉄砲を持たせちゃマズいと苦言。
もしポリスに見つかれば、それこそ何もできなくなります。

銑次が連れて来た為吉のように
伊河泉太郎も同志を求めて山梨・神奈川方面へ出歩きます。

高利貸しが、ある農民の家を襲って
家財道具はおろか仏壇まで持ち去ったそうで、
その農民は首をつってしまい、
それに怒った他の農民たちは、高利貸しを懲らしめようと
鉄砲を持ち出しているという事件が発生します。

彼らを止めに走る銑次と英吉。

ようやく追いついた銑次は、
今動いてポリスに知れたら水の泡だと
農民たちに動かないように諭します。
そして、自らが出向くことに。

高利貸しの元に単身乗り込み、
グーで相手を倒して回るわけですが(^ ^;;)

親方を人質に、証文全てを出せと脅す銑次に
無数の手下たちが銑次を囲み、
親方を離せば命は助けると逆脅し。

でも「証文だ、証文全部出せ」。
銑次のこの折れない強さはすごいですね(笑)。

それで、木刀で手下たちをボコボコにしていきます。
銑次強い! というより、手下たちが弱すぎ(^ ^)

──翌朝。
額から血を流し、袖もビリビリに破れているながら
全ての証文(と仏壇)を持ち帰って来た銑次に
英吉や農民たちは大喜びです。


雨降る苅谷邸に、平沼保子がやってきます。

ちゃんとした目標があって
余市に母を置いて上京したらしいのですが、
その目標が何なのかを話してくれません。

どうやら、話せば
高望み過ぎて笑われるだけと思っているようです。
現に母に話したら、相手にしてもらえなかったとか。

もちろん姪っ子というので、千代も平沼鉱造も
応援してあげたいというのはあるのですが、
目標が何かが分からないなら、何も手助けしようがなく
困ってしまう叔父・叔母ふたりです。

翌朝、保子の姿がありませんでした。
千代に知らされて、早朝の東京を走って探しまわる嘉顕です。

保子がいなくなって
余市にいる母・玲から手紙が届きます。
どうやら保子は医者を志しているようです。

保子は、結局見つかりませんでした。
医者に弟子入りでもしたかと、瑞穂屋卯三郎経由で
高松凌雲に医者仲間に当たってもらったりもしましたが、
それらしい娘はおりません。


華族令という新しい特権階級が始まるそうです。
日本は君主制と決まったわけではありませんでしたが、
この先、議会を開く際にも
上院の身分制度は必要だという見方です。

そして、それから数日の間に
嘉顕が意見を聞きにいった徒党、結社の大半が
警察隊に踏み込まれ、多くの逮捕者を出します。

これでは、意見を聞きに行った嘉顕が指図して
警察隊に踏み込ませたと“思われる”わけで、
嘉顕は、自らが意図しないところで
恨みを買う結果になったわけです。

内務省指示により、
護衛の警察官が3名つくことになりました。

そのことに憤慨した嘉顕は、伊藤邸を訪問し
その真意を直接尋ねることにしました。

民間の意見を持ってくるのはもういい、と
伊藤は嘉顕を労います。

「失望したね。どれも日本の状況を考えない理想論ばかりだ」
日本には日本の状況を踏まえての憲法が必要であるはずなのに
それを全く考えず理想を追いかけた意見ばかりだというのです。

今の日本国民には自由と平等を与える時期ではなく
それを与えてしまっては、国はメチャクチャになってしまう。
独裁政治にしないために議会は設けるが、
国の決定機関は天皇、または政府の人間が担うことにする。

嘉顕は、自分の考えている憲法は
身分制度があり、国民の言論を封じるようなものではないと
伊藤に再考を促しますが、伊藤の信念は変わらないそうです。

「これ以上、私の下にいても無駄というものだ」
遠回しに、辞職勧告をします。


老婆が銑次に背負われて、どこかに向かっています。
すると、すれ違った白髪の老人に声をかけられます。
「こちらはお前んとこの仏壇を
取り返してくれたお人じゃねえのかね」

ありがとうござんした、ええことをしてくだすったなあ、と
銑次に頭を下げる老人は田代栄助。
秩父の農民たちの悩みや不満を聞いて人望が厚いです。

いや……と照れつつ頭を下げる銑次(^ ^;;)

銑次は、老婆を背負ったまま
これからの秩父を大きく動かすことになる
この老人を見送ります。


作:山田 太一
音楽:宇崎 竜童
語り:和田 篤 アナウンサー
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[出演]
菅原 文太 (平沼銑次)
大竹 しのぶ (苅谷千代)
永島 敏行 (平沼鉱造)
岸本 加世子 (龍子)
熊谷 美由紀 (平沼保子)
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丹波 哲郎 (松本英吉)
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志村 喬 (田代栄助)
根津 甚八 (伊藤博文)

加藤 剛 (苅谷嘉顕)
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制作:近藤 晋
演出:中村 克史

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