プレイバック獅子の時代・(51)獅子の叫び [終]
今年放映の大河ドラマ『八重の桜』関連ということで、
幕末から明治期を時代設定とした2作品『新選組!』『獅子の時代』を
プレイバックシリーズとしてお届けして参りました。
今回、その『獅子の時代』がついに最終回となりました。
拙文をご覧いただき、ありがとうございましたm(_ _)m
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明治17(1884)年11月1日 午後8時。
目印の白木綿をつけた農民たちは、
吉田村 椋神社境内に集合。
農民たちの間にも、いよいよだという緊張が伝わっています。
秩父困民党の「軍律」です。
第一条 私ニ金品ヲ掠奪スル者ハ斬
第二条 女色ヲ犯ス者ハ斬
第三条 酒宴ヲ為シタル者ハ斬
第四条 私ノ遺恨ヲ以テ放火其他乱暴ヲ為シタル者ハ斬
第五条 指揮官ノ命令二違背シ私ニ事ヲ為シタル者ハ斬
(wikipedia「秩父事件」より引用)
蜂起とともに、3人が
大宮郷の警察と郡役所へ請願書を届けることになっています。
それを聞き届けてくれるかどうかは分かりませんが、
やれるところまでやる、というのが今の目標です。
総理の田代栄助は、みなを見渡しながらつぶやきます。
「みな、命さ大事にな」
上吉田─┬─吉 田─皆 野
│ ┃ │
上小鹿野━┛─大宮郷(秩父)
午後7時半、先遣隊が吉田から小鹿野へ。
本隊の前に侵入し、警察を襲撃するためです。
その先遣隊に加わっている平沼銑次と伊河泉太郎。
ちょうど30分歩いたところで、
吉田村から本隊出発を知らせる半鐘が聞こえてきました。
夜8時、予定通りです。
小鹿野警察署に到着した銑次らは
こっそりと署内に足を踏み入れますが、
一つの扉を開けた瞬間、中から銃を撃ち込まれます。
松本英吉が人質に取られているわけです。
しばらくは様子をうかがう銑次でしたが、
警察が脅しではなく本気で英吉を傷つけようとしているのを見て
夢中で乱入、ポリスをさんざんに斬り倒します。
午後11時、本隊が小鹿野に到着。
一気に攻め入り、警察署や高利貸しを制圧します。
制圧に喜ぶ農民たちを満足そうに眺めていた英吉は
受けた傷が元で命を落とします。
翌11月2日、銑次らは監獄も役所もある
最大の町・大宮郷も占拠。
困民党の活躍を知って、周辺の同調する農民たちが
更に増えるという話もあります。
政府は、彼らの示した請願書を笑止と破り捨て
農民の味方と思わせないためにも
軍隊を送って制圧することを決定しました。
というわけで、ドタバタしている鉱造でしたが
あれだけ結婚はしねえ! と言っていたのに
龍子としっかり婚約したんですって(^ ^;;)
未亡人になったばかりではありますが
祝言には千代にも参加してもらいたいと
兄は控えめに言いますが、
千代は鹿児島に向かうことにしています。
母・和哥が一人でいるのも心配ですし、
友輔に、父が産まれ育った土地を
見せておきたいという気持ちも働いたのかもしれません。
秩父困民党制圧のため、鉱造も秩父に向かうことになりました。
11月3日、大宮に残留部隊を残し
困民党本隊は大宮郷から皆野へ移動。
皆野で今後を話し合う会議を行う予定でした。
本隊とともに移動していた田代は
途中で胸に痛みを覚え、歩行困難になります。
昨日、農民が大量に増えてしまい
彼らが秩父困民党の軍律を知らないからか
勝手に高利貸しを襲ったりという振舞いが目立ってきました。
銑次や伊河としても、
田代が出した指示がどれまでかをはっきりさせておきたいと
確認に来たわけですが、田代の口からは意外な言葉が飛び出します。
「もうええだ。ここまでやりゃ、もうええだよ」
銑次が言うように、秩父を制圧すれば次は東京だなんて
田代には事が大きすぎて考えたことはないのです。
田代にとってのゴール地点は、
この大宮郷制圧だったのかもしれません。
本隊が皆野に到着すると、農民たちは大混乱の中にいました。
何処に通じる街道筋も、数少ない間道も全て
軍隊に押さえられているというのです。
夜になると、農民の脱落者が大量に出ます。
農民たちだけではなく、幹部も脱落し
秩父困民党はあえなく解体となりました。
銑次たちは北へ向かいます。
関東平野へ抜ける道はどこも閉ざされていましたが、
上総・信濃へ向かう道は手薄と判断したのです。
どこの土地にも農民はいて、不満は同じなはずです。
その農民たちとともに、政府と戦わなければなりません。
しかし、途中で大砲も交えて攻撃を受けます。
上州・信州への道も既に閉鎖されていたわけです。
銑次は、農民たちが自分に絶対服中であることを再確認した上で
それぞれの村に帰って畑を耕せと命令します。
今は蜂起は無理でも、しばらく時を待てというのです。
銑次と伊河の2人でなら、
この手厚い軍隊の壁も越えていけるかもしれません。
そのしばらくの間に同志を集めるのでしょうか。
夢破れたり、と落涙する農民たちです。
2人と身軽になった銑次と伊河は
軍隊の背後に回って襲撃するなど壁を次々と破り
あと一歩で上州というところまでやってきました。
しかし、ここから! というときに伊河が撃たれて即死。
ついに銑次ひとりとなってしまいました。
「自由自治元年」の旗を掲げながら、勇猛果敢に戦う銑次です。
2日後、鉱造は
降伏した農民兵から“会津の先生”という男のことを聞き
銑次に間違いないと確信しました。
しかし、ひとりで突撃したという峠近くの場所では
いくら探しても銑次の遺体はありませんでした。
ただ、銃弾を浴び、泥にまみれた白い旗の
「自由自治元年」の文字に、兄の筆跡を見るのみでした。
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明治22(1889)年2月11日。
大日本帝国憲法が発布されました。
鉱造・龍子夫妻に女の子が産まれたのでしょうか。
家族3人で、その祝賀の行列を眺めています。
鹿児島では、和哥・千代に混じって
友輔も鍬を持ち畑を耕す姿に
「たのもしか」と笑う和哥です。
余市では、深い雪の中を玲が生活しています。
桜木町では、高松凌雲が病人の診察をしています。
凌雲の精神は、昔と全く変わっていません。
そして、パリに向かう汽車の中に
凌雲に支えられ、医学校に留学することになった
保子の姿がありました。
銑次がパリに来て、23年の時が経っていました。
──やがて、日本は日清戦争に突入。
さらに日露戦争への道を歩いていきます。
そのような歳月の中で、何度か
銑次の姿を見たという人がありました。
例えば、栃木県足尾銅山鉱毒事件の弾圧の最中で。
例えば、北海道幌内炭坑の暴動弾圧の最中で
激しく抵抗する銑次の姿を見たという人がいました。
そして、噂の銑次は
いつも戦い、抗う銑次でありました。
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作:山田 太一
音楽:宇崎 竜童
編曲:千野 秀一
演奏:ダウン・タウン・ファイティング・ブギウギ・バンド
:東京コンサーツ
テーマ演奏:NHK交響楽団
:ダウン・タウン・ファイティング・ブギウギ・バンド
テーマ指揮:小松 一彦
テーマ編曲:坪能 克裕
監修:樋口 清之
医事考証:酒井 シヅ
殺陣:林 邦史朗
語り:和田 篤 アナウンサー
風俗考証:磯目 篤郎
資料提供:中堀 勝夫
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[出演]
菅原 文太 (平沼銑次)
大原 麗子 (もん)
大竹 しのぶ (苅谷千代)
永島 敏行 (平沼鉱三)
岸本 加世子 (龍子)
香野 百合子 (平沼 玲)
熊谷 美由紀 (平沼保子)
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丹波 哲郎 (松本英吉)
尾上 菊五郎 (高松凌雲)
根津 甚八 (伊藤博文)
村井 国夫 (伊河泉太郎)
磯部 勉 (井出為吉)
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三上 寛 (雄太)
佐竹 明夫 (大佐)
うえだ 峻 (六助)
江角 英 (山懸有朋)
高並 功 (森島)
情野 一郎 (密偵)
肥田 尚弘 (密偵)
大木 晤郎 (秩父の青年)
隼田 勇蔵 (秩父の青年)
斎藤 司 (秩父の青年)
幸 英二 (秩父の青年)
吉田 猛 (秩父の青年)
大蔵 晶 (秩父の青年)
堀部 隆一 (困民党幹部)
角間 進 (困民党幹部)
谷津 勲 (困民党幹部)
戸沢 佑介 (警視庁幹部)
皆川 衆 (負傷兵)
志村 喬 (田代栄助)
沢村 貞子 (苅谷和哥)
加藤 剛 (苅谷嘉顕)
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制作:近藤 晋
美術:小林 喬
技術:舘 和夫
効果:加藤 宏
照明:森 是
カメラ:後藤 忠
音声:田村 久男
記録・編集:高室 晃三郎
演出:清水 満
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