大河ドラマ八重の桜・(51-1)総集編第一章・ならぬものはならぬ
(01)ならぬことはならぬ 〜世界が動いた幕末、会津の人々を守るため、銃を持ち戦った女がいた〜
1868(慶応4)年8月、砲撃をあびる会津・鶴ヶ城内で、スペンサー銃を構え戦う若き女性銃士がいた。山本八重(綾瀬はるか)、後の新島八重である。
戦からさかのぼること17年前。5歳の八重(鈴木梨央)は男勝りで負けん気が強く、父・権八(松重 豊)や母・佐久(風吹ジュン)も手をやいていた。そんな八重が慕ってやまないのが、兄・覚馬(西島秀俊)だった。銃で華麗に的を撃ち抜く兄の姿を見た八重は、砲術に夢中になっていく。
その年の秋、会津藩士が最も張り切る軍事操練「追鳥狩(おいとりがり)」の真骨頂である模擬戦の最中に事件が起こる。「一番鳥」の本命と目される番頭(ばんがしら)・西郷頼母(西田敏行)が一羽の鳥に狙いを定め竹鞭を振り上げたとき、八重が邪魔をしてしまったのだ。そこへ藩主・松平容保(綾野 剛)が現れ、八重を救う。この出会いが、八重のその後の人生を変えていくことになる。
(02)やむにやまれぬ心 〜綾瀬の八重・華麗に登場!〜
鉄砲に夢中になる八重は、両親から砲術への思いを断つよう厳しく諭されていた。一方、八重の兄・覚馬は、佐久間象山(奥田瑛二)の塾で会津に先んじて西洋の技術を貪欲に習得していく他藩の動きを知り、焦っていた。
そんな折、吉田寅次郎(小栗 旬)がアメリカへの密航を企て、象山がそれをそそのかしたとして捕縛される事件が勃発。仕方なく会津へ戻った覚馬は、大きな米俵を持ち上げて男と競争に興じる八重の姿を見て驚く。さらに、八重が砲術の知識を深く習得していることを知った覚馬は胸を打たれ、思いを断ち切らなかった八重に砲術の手ほどきするのだった。
(03)蹴散らして前へ
桜の木の上で砲術本を無心に読む八重は、毛虫に驚いた拍子に本を落としてしまう。そこへ若き武士が通りがかり、その本を拾い上げる。それは江戸から覚馬を援助しようとやってきた川崎尚之助(長谷川博己)だった。よき協力者を得て蘭学所の整備を急ぐ覚馬だったが、藩の守旧派の反感を買い禁足を命じられてしまう。
兄を心配した八重は、尚之助に習ってつくった弾丸を覚馬のもとへ持っていき、砲術の指南をせがむ。そんなひたむきな妹の姿を見て、覚馬の脳裏に象山が蟄居先からよこした手紙の一節がよみがえる。「何かを始めれば必ず邪魔する者が現れる。蹴散らして前へ進むのだ」。覚馬は、八重と尚之助と共に、新式銃の設計に乗り出すのだった。
(04)妖霊星(ようれいぼし)
1858(安政5)年、西郷頼母の松平容保への働きかけが実り、覚馬の禁足が解かれ、八重もわがことのように喜ぶ。さらに、尚之助の教授方就任もかない、覚馬はうら(長谷川京子)をめとることになった。
一方、幕政では大老になった井伊直弼(榎木孝明)が、水戸藩主・徳川斉昭(伊吹吾郎)ら一橋派に無断で日米修好通商条約を締結。激怒した斉昭らは井伊のもとへ押しかけるが、逆に謹慎処分となる。容保は、井伊に処分の減免を働きかけるが不調に終わる。その日、夜空には巨大なほうき星が流れる。
(05)松陰の遺言
うらが覚馬の子を身ごもり、八重は佐久たちと共に祝福する。しかし、その喜びもつかの間、覚馬を攘夷派の不逞浪士が急襲する。
さらに江戸では、かつて八重たちとも交流があった吉田寅次郎(松陰)が安政の大獄で処刑され、その知らせを受けた覚馬や八重たちは悲しみに暮れる。そして、攘夷派の怒りを買った井伊直弼が水戸脱藩浪士らに桜田門外で暗殺される。
江戸城にて、容保ら有力な親藩、譜代大名による水戸の処分についての話し合いが行われ、そこでの容保の発言が水戸討伐に傾いた評議の流れを変えることになる。
(06)会津の決意
八重の幼なじみ、山川大蔵(玉山鉄二)の姉・二葉(市川実日子)が、会津藩の有望な家臣・梶原平馬(池内博之)のもとへ嫁ぐことが決まった。
一方、江戸では勅命(※)を携えた薩摩が幕府に将軍の上洛を迫る。これを受け幕府は、京都の治安維持にあたる京都守護職の選任へにわかに着手。政事総裁職(※)の松平春嶽(村上弘明)は、かねてから優れた見識をもつ会津藩主・容保に白羽の矢を立てる。西郷頼母ら、家臣が反対するなか、容保は苦渋の決断の末に京都守護職を拝命。千人の会津藩士が、容保と共に京へ向かうことになった。
※ 勅命(ちょくめい)…天皇の命令を記した文書
※ 政事総裁職(せいじそうさいしょく)…将軍後見職、京都守護職と共に、薩摩の圧力により新設された幕府の要職のひとつ。
(07)将軍の首
覚馬が八重や尚之助たちのもとから離れ、容保に従って都へと旅立った。
そのころ都では、攘夷を唱える不逞浪士たちによる天誅(てんちゅう)騒ぎが相次ぎ、不穏な日々が続いていた。安寧を祈る孝明天皇(市川染五郎)は、容保を気に入り、自らの御衣(おんぞ ※)を特別に授ける。その期待に応えようとした容保は、攘夷派の浪士の言い分にもあえて耳を貸し、説得によって改心させていく方策を採ろうとする。しかし、容保の融和策はうまくいかず、倒幕を目指す攘夷派の不逞浪士へ厳しい取り締まりを始める。
※ 御衣(おんぞ)…天皇や身分の高い人の着衣を敬っていう言葉。
(08)ままならぬ思い
薙刀の稽古にいそしむ八重と幼なじみの時尾(貫地谷しほり)。そこで、2人は二葉から弟の大蔵の祝言が決まったことを知らされる。時尾は動揺してしまい、稽古中に足を痛めてしまう。時尾はひそかに大蔵に思いを寄せていたのだった。その後、大蔵は八重に別れを告げ、都へ旅立っていった。
一方、京では倒幕を目指す攘夷派の不逞浪士を取り締まるため、剣が立つと評判の壬生(みぶ)浪士組を会津藩のお預かりとした。こうした動きに危機感を持った長州派の公家たちは、容保たちを都から追い出すため孝明天皇の名をかたって偽の勅書を容保へ送る。しかし、その策謀を知った容保は、守護職への責任感をさらに強めていく。そんな容保に頼母は「これ以上強硬策を採るべきではない」と懇願するが、容保はそれを拒否。頼母に蟄居を命じる。
(09)八月の動乱
京都で警備に当たる秋月(北村有起哉)と覚馬のもとへ薩摩から密使が送られ、倒幕をたくらむ長州を都から排除する企てに協力するよう求められる。その話を聞いた容保は、長州の暴挙を見過ごすわけにはいないと兵を挙げる。孝明天皇もこの動きに応じ容保へ勅書を送り、1863(文久3)年、八月十八日の政変が起こる。
そのころ、会津では照姫(稲森いずみ)の右筆(※)選びが行われていた。薙刀の師である黒河内(六平直政)も八重を推薦し、八重の名が最有力候補として挙げられるが、選ばれたのは八重の幼なじみの時尾だった。落ち込む八重だったが、尚之助に励まされ次第に元気を取り戻していく。
※ 右筆(ゆうひつ)…位の高い人のそばに仕えて、物を書く人。書記。
(10)池田屋事件
親友の時尾が照姫の右筆として城に上がることになり、八重は時尾としばらく会えなくなることを寂しく思っていた。その後、残された八重には縁談が持ち込まれる。しかし、八重は尚之助と共に新式洋銃の開発に明け暮れていた。
そのころ都では、池田屋に集まる長州藩の尊王攘夷派の志士たちを、新選組が襲撃するという事件が勃発。会津にいる頼母は、会津を守るためには兵力を増すしかないと考え、官兵衛(中村獅童)に京に行くよう命じる。しかし、事態は頼母らの予想を上回る早さで展開していき、ついに長州が動き出す。報復に乗り出した長州に萎縮した慶喜(小泉孝太郎)は、容保にその責任を負わせようとする。
(11)守護職を討て!
会津では、八重の弟・三郎(工藤阿須加)が、突然、都へ派遣される部隊へ志願して権八から激怒される。三郎は、隊士になって早く一人前の藩士として認めてもらいたいと思っていたのだ。三郎の思いを知った八重は、自分のまねばかりしていた弟の成長をうれしく思うのだった。
そのころ、容保らは長州軍の脅威にさらされていた。都では佐久間象山が尊皇攘夷派の不逞浪士に暗殺され、覚馬は悲嘆する。そして、偵察により長州が容保の首をねらっていることを知った覚馬は、さらに怒りを募らせていく。
1864(元治元)年7月、ついに孝明天皇より長州討伐の勅が下る。
(12)蛤御門の戦い
1864(元治元)年7月、長州が洛中へ向けて兵を進め、禁門の変(蛤御門の戦い)の火ぶたが切られる。蛤御門では、御所に向け銃を放つ長州に対し、覚馬ら鉄砲隊が応戦する。
長州の勢いに押され、慶喜や容保が率いる幕府軍は劣勢を強いられるが、そこへ西郷吉之助(吉川晃司)が率いる薩摩藩の鉄砲隊が現れる。薩摩の助けもあり、勝利を収めた会津藩。しかし、覚馬は爆裂により眼部に深手を負い、焼け野原と化した都の惨状に心を痛める。
一方、会津では八重が、開戦直前に覚馬から手紙で勧められた尚之助との縁談に心を悩ませていた。八重はずっと兄のように慕ってきた尚之助と夫婦になることに戸惑いを隠せずにいたのだった。
(13)鉄砲と花嫁
会津へ帰国した秋月は、八重と尚之助に覚馬からの伝言を語る。それは、以前提案した八重と尚之助の縁談を取り消し、尚之助に他藩への移籍を促すものだった。八重は激しく動揺し、針の稽古もままならない。一方の尚之助は、八重に求婚するために、新しい銃を完成させようとしていた。数日後、銃を完成させた尚之助は八重に結婚を申し込む。そして、2人はついに夫婦となった。
都では、西郷吉之助の翻意により、長州攻めが中止となった。容保ら会津藩士は一戦も交えることなく兵を解くことになり、出鼻をくじかれる。これにより会津藩は、孤立への道をたどり始めていくのだった。
(14)新しい日々へ
秋月に連れられて白無垢に身を包んだ八重が、尚之助の待つ山本家の門をくぐった。八重の見違えるような美しさに目を奪われる尚之助。その後、婚礼の祝宴では酒に弱い尚之助が酔いつぶれ、八重が担いで2人の新居に運び込む。部屋には、京から覚馬が送った紅が届いていた。目を覚ました尚之助は自ら指に紅を取り、そっと八重の唇に置くのだった。夫婦になっても2人の関係は変わることなく、八重は尚之助と共に新式銃の開発にいそしむ。
そのころ京では、覚馬が目の異変に気づき、広沢(岡田義徳)と共に医者を訪ねていた。そこで失明率の高い“白そこひ”(※)と診断され、覚馬はがく然とする。
そして、幕府が第二次長州征伐へ動き出そうとしているその裏で、西郷吉之助ら薩摩は、岩倉具視(小堺一機)と共に新しい動きを見せ始めていた。
※ 白そこひ…白内障のこと。
(15)薩長の密約
1865(慶応元)年、箱館から密航を企てた新島七五三太(しめた・オダギリ ジョー)がボストン港に降り立った。そして京では、それまで対立していた薩摩と長州が、坂本龍馬の暗躍により急接近を図っていた。
年が明け、1866(慶応2)年6月、第二次長州征伐の戦端が開かれる。幕府勢は次第に追い込まれ、都での会津の立場が危うくなっていく。それと合わせるように、覚馬の目も悪化の一途をたどっていくのだった。
会津では、覚馬の妻・うらが、一人娘のみね(豊嶋 花)を厳しく叱るようになり、八重は不安を覚える。そんなある日、会津で大火事が起こり、みねが行方不明になってしまう。
(16)遠ざかる背中
会津の大火のさなか、行方不明になっていたみねを三郎が見つけ出した。そして、みねを捜しに火元近くをさまよっていたうらを、尚之助が救い出す。みねの無事を確認し、涙するうらの姿を見た八重は、うらがどうしてみねを厳しく叱るようになったのか本当の理由を知る。それは、覚馬にもしものことがあったときに、みねが山本家を継げる人物になるよう育て上げるためだったのだ。
そのころ都では、慶喜が将軍職を継ぐことが決まり、4年に及ぶ容保の京都守護職が解かれようとしていた。ようやく願いがかない安堵(あんど)する容保。ところが、その直後に孝明天皇が崩御したという知らせが届き、会津への帰国の期待は打ち砕かれた。
作:山本 むつみ
テーマ音楽:坂本 龍一
音楽:中島 ノブユキ
題字:赤松 陽構造
語り:草笛 光子
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[出演]
綾瀬 はるか (川崎八重)
西島 秀俊 (山本覚馬)
長谷川 博己 (川崎尚之助)
風吹 ジュン (山本佐久)
松重 豊 (山本権八)
長谷川 京子 (山本うら)
玉山 鉄二 (山川大蔵)
貫地谷 しほり (高木時尾)
市川 実日子 (梶原二葉)
芦名 星 (井上 雪)
剛力 彩芽 (日向ユキ)
綾野 剛 (松平容保)
佐藤 B作 (田中土佐)
風間 杜夫 (林 権助)
中村 獅童 (佐川官兵衛)
小泉 孝太郎 (一橋慶喜)
小栗 旬 (吉田松陰)
榎木 孝明 (井伊直弼)
伊吹 吾郎 (徳川斉昭)
山口 馬木也 (榎本釜次郎)
斎藤 工 (神保修理)
降谷 建志 (斎藤 一)
北村 有起哉 (秋月悌次郎)
岡田 義徳 (広沢富次郎)
池内 博之 (梶原平馬)
山本 圭 (山川兵衛)
柳沢 慎吾 (萱野権兵衛)
及川 光博 (桂 小五郎)
六平 直政 (黒河内伝五郎)
津嘉山 正種 (神保内蔵助)
篠井 英介 (三条実美)
国広 富之 (横山主税)
秋吉 久美子 (山川 艶)
徳重 聡 (大久保一蔵)
中村 梅之助 (松平容敬)
黒木 メイサ (中野竹子)
生瀬 勝久 (勝 海舟)
加藤 雅也 (板垣退助)
オダギリ ジョー (新島 襄)
市川 染五郎 (孝明天皇)
反町 隆史 (大山弥助)
宮崎 美子 (西郷千恵)
小堺 一機 (岩倉具視)
吉川 晃司 (西郷吉之助)
林 与一 (島津斉彬)
村上 弘明 (松平春嶽)
稲森 いずみ (照姫)
奥田 瑛二 (佐久間象山)
松方 弘樹 (大垣屋清八)
西田 敏行 (西郷頼母)
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制作統括:内藤 愼介
プロデューサー:樋口 俊一
演出:加藤 拓・一木 正恵・末永 創・清水 拓哉
本文のストーリーは、NHK公式ホームページ『八重の桜』の
あらすじ欄よりそのまま引用しました。
なお、出演者名(敬称略)は総集編の出演ではなく、
該当期間の本編に出演し、ピンクレジットで紹介された方を
順不同で並べ替えたものです。
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