大河ドラマ軍師官兵衛・(11)命がけの宴(うたげ) 〜秀吉が信長に逆らい切腹?〜
天正4(1576)年7月、
摂津の木津川河口で織田と毛利の水軍が激突。
「木津川の合戦」であります。
火矢と焙烙玉による攻撃を展開した毛利水軍の前に
織田水軍はなす術なく壊滅しました。
毛利の勝利によって織田包囲網は勢いを増し、
それは播磨をも大きく揺るがすことになります。
前将軍・足利義昭を擁する毛利方では、今回の勝利で
味方したいという書状が続々と到着していて、
織田方についた小寺政職も大いに迷っているとか。
小寺を引き込めば播磨は全て手に入る、と考えるのは
織田も毛利も同様であります。
「播磨ゆきは取りやめる」
信長のツルの一言で、せっかく大軍勢を
播磨へ向かうために京に入れて準備していたのに
秀吉はそうもできなくなってしまいました。
今こそ播磨へ出兵せねば、播磨の地侍たちは
みんな毛利になびいてしまう危険性がありますが、
もしそうなれば、毛利とともに滅ぼすまで、と
信長はあくまでも態度を軟化させません。
播磨出兵先延ばし、の報は
姫路にやってきた竹中半兵衛によって知らされます。
せっかくまとめた織田への助勢も崩れるかもですが、
“それを食い止めるのがそこもとの役目”と突っぱねます。
しかし、ヒントも忘れません。
「備前の宇喜多直家を攻略するのです」
宇喜多を攻略すれば、毛利と直に対するのは
この播磨ではなく宇喜多ということになります。
しかし宇喜多直家と言えばだまし討ちや裏切りを
重ねてきた人物であります。
半兵衛は、それだからこそ、
こちらに寝返る可能性は充分にあるというわけです。
「そこもとだけができる手だてがあるはず」
つまり、宇喜多と接触する窓口を上月家に持ってもらう。
幸い、妻・光の姉である力は上月家に嫁いでいますので、
光には力に文を書いてもらい、取り次ぎを依頼することにします。
皆、始めこそ難色を示しますが
仕方あるまい、と取り次ぎすることにし、
ついに直家と対面する時が来ました。
直家も、わずか1,000足らずの兵で5,000の毛利を追っ払った
官兵衛とはどういう人物か興味があったらしく、
珍しい動物を見るような目で官兵衛を舐めるように見ています。
飲もう、と言われて官兵衛は一瞬躊躇します。
裏切り、だまし討ち、毒を盛るのはお手の物──。
そんな光の言葉が頭をよぎったからですが、
直家を信じて、杯を傾けます。
すると、内藤という上月家の重臣が苦しみ出して倒れ、
その場で息を引き取ります。
直家は、隠れて織田方に通じていた内藤に
やはり毒を盛ったのです。
「わしは人など信じぬ」
直家は笑って、官兵衛の前から姿を消します。
数ヶ月が経ち、年が明けても秀吉は来ません。
官兵衛は、織田に賭けたことを
少しずつ不安に感じ始めていますが、
そんな時は善助たちが、ポンと背中を押してくれます。
官兵衛は有岡城の荒木村重を訪ね
形ばかりでも播磨へ兵を出してほしいと願い出ますが、
本願寺攻めに兵を割かれて、播磨に回す余分な兵はいない、と
その答えは判を押したように同じものであります。
しかも、本願寺の僧兵たちは
喜んで死んでいくので、キリがないわけです。
「さすがに疲れてのう」と、村重の本音がポロリ。
上杉謙信対策に、織田は越後方面に兵を差し向けます。
最近の柴田勝家は、己の強さに奢っている部分があるので
それを補い、負けない戦をするために羽柴秀吉をつけます。
信長の読み通り、正面から戦って勝てる相手ではない上杉に
力づくで戦いを挑もうとする勝家と
何か調略をして少しずつ崩していこうと考える
秀吉の意見は真っ向から対立。
秀吉は軍勢をまとめてさっさと帰って来てしまいます。
「おのれ……猿め」
信長の怒りは頂点に達します。
長浜城では、秀吉を先頭に飲めや歌えやの大騒ぎです。
相撲を取る者、舞う者歌う者……とにかく大騒ぎ。
そこへ、窮地に陥った秀吉を心配して
官兵衛が長浜まで出向いてきますが、このドンチャン騒ぎで
いったい何を考えておられますか! と
官兵衛でも怒りたくはなります。
「わしは! 命がけで騒いでおるんじゃ!」
蟄居を命じられて静かにしていれば、
戦支度でもしているのかと疑いをかけられます。
それをこのように大騒ぎしていれば、謀反の支度などする気もなく
逆臣がないことを分かってもらえます。
これは半兵衛の策です。
今生の別れだと、秀吉は皆々に
言いたいことは全て吐き出せと言います。
それに乗じて、おねは秀吉に
女遊びは大概にと言われてしまいますが(^ ^;;)
そして秀吉は官兵衛に……
「すまなかった。結局は口だけになってしまった」と
手をついて詫びます。
しかし──天下を取るためには
播磨と中国が織田にとっては最も大事だと考える秀吉は
命に換えても、必ず播磨に出兵させることを約束します。
皆に混じって、官兵衛も踊り狂います。
秀吉への疑いが晴れますように……。
後日、安土城に出頭を求められた秀吉。
「くだらん真似をしおって! 播磨へ行け」
信長からの、願ってもない言葉です。
お咎めなし!
播磨行き、決定!
秀吉と官兵衛は、満面の笑みでお互いを見つめます。
作:前川 洋一
脚本協力:穴吹 一朗
音楽:菅野 祐悟
題字:祥洲
語り:広瀬 修子
──────────
[出演]
岡田 准一 (黒田(小寺)官兵衛)
中谷 美紀 (光)
谷原 章介 (竹中半兵衛)
内田 有紀 (お濃)
高岡 早紀 (お紺)
春風亭 小朝 (明智光秀)
生田 斗真 (高山右近)
吹越 満 (足利義昭)
田中 哲司 (荒木村重)
桐谷 美玲 (だし)
濱田 岳 (栗山善助)
速水 もこみち (母里太兵衛)
高橋 一生 (井上九郎右衛門)
酒井 若菜 (力)
田中 圭 (石田三成)
山路 和弘 (安国寺恵瓊)
近藤 芳正 (柴田勝家)
勝野 洋 (丹羽長秀)
江口 洋介 (織田信長)
──────────
片岡 鶴太郎 (小寺政職)
陣内 孝則 (宇喜多直家)
鶴見 辰吾 (小早川隆景)
黒木 瞳 (おね)
竹中 直人 (羽柴秀吉)
柴田 恭兵 (黒田(小寺)職隆)
──────────
制作統括:中村 高志
プロデューサー:勝田 夏子
演出:大原 拓
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』
第12回「人質松寿丸」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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