大河ドラマ軍師官兵衛・(21)松寿丸の命 〜残酷な命令に黒田家激震!〜
黒田(小寺)官兵衛は、荒木村重の妻・だしの協力で
有岡城の牢からの脱出を図りますが、
村重はそんな官兵衛の動きなどとうにお見通しでありまして
再度捕まえ、今度は土牢に監禁してしまいます。
そしてそのころ、栗山善助・母里太兵衛・井上九郎右衛門、
そして伊吹文四郎ら官兵衛の数名の家臣たちが
商人町人に化けて有岡城内に潜伏していました。
彼らは城下に「銀屋(はがねや)」という店を開き
情報収集しては、仲間内で共有して
官兵衛救出の時をうかがっていたわけです。
織田勢の総攻めが始まる──。
姫路城の黒田(小寺)職隆と光は、その報を聞き
官兵衛の身を一層案じます。
総攻めということは、総力戦で有岡城を攻めるということで
牢に入っている官兵衛が、攻撃の混乱に乗じて
殺されてしまうかもしれないと危惧しているわけです。
ただ、この件に関して、職隆は全くもって無力です。
天正6(1578)年12月、
万見仙千代を先鋒とする織田軍は有岡城総攻めを開始。
その四方八方からの銃声を、
官兵衛はひとり暗い土牢の中で聞いていました。
ただ有岡城を攻撃するなら、周囲から一斉に攻撃を仕掛けるよりも
攻撃場所を1ヶ所に絞らなければ、無駄に兵を失っていくばかり。
官兵衛から見て、織田は確固たる戦略がないようにも思えます。
果たして官兵衛の推察どおり、織田軍は苦戦を強いられていまして
名のある武将たちが次々と討ち死にしていきます。
丹羽長秀や明智光秀は、織田の戦法を完全に読む村重が
ここまで戦上手とは思わなかったようで、言葉も出ません。
イライラが極限に達した織田信長は指揮棒でバンバン叩き
その場に居並ぶ重臣たちを震え上がらせます。
「村重ではない。官兵衛だ」
真っ青になった秀吉は、
官兵衛に限って裏切るはずはないと信長に釈明しますが
信長は構わず、人質松寿丸の首を刎ねるように命じます。
今、松寿丸の命を奪えば、姫路の黒田家さえも
毛利家に移ってしまいかねない事態になり
そんな最悪の事態だけは何としても避けなければなりません。
しかし、そんなことを信長が分かってくれようはずもなく。
うぬは天下より播磨が大事か!
そう言われては、秀吉にはもはや返す言葉もありません。
しかし、すっくと立ち上がった竹中半兵衛は、
松寿丸の首を刎ねる一件を引き受けます。
日も当たらぬ土牢に織田方の武将が捕われている。
そんな情報を善助の妻・お道が持ってきました。
織田に勝った今、有岡城の中は戦勝祝いの酒が振る舞われて
みんなどんちゃん騒ぎらしく、
その騒ぎに紛れ込んで聞いて来たのだとか。
夫の善助は、そんな危険なことをと苦々しい顔ですが
そうまでしなければ聞き出せない情報であり、
善助たちにとっては有益な情報であります。
もうじっとしていられない、と
日ごろは冷静沈着な九郎右衛門が
善助が止めるのも聞かずに有岡城内に入って行きます。
半兵衛は、松寿丸とおねがいる長浜城へ戻ります。
「松寿ですね」
半兵衛が現れたことで、
おねにはだいたいの察しがついていたのかもしれません。
しかし──あのように年端もゆかぬ童を殺せとは
残酷も残酷、哀れすぎます。
おねは泣きわめいて半兵衛に食い下がりますが
顔色一つ変えない半兵衛は、あくまでも成敗にこだわります。
そして姫路には、秀吉が赴きます。
官兵衛のことで何か分かったことを聞き出そうと
秀吉に尋ねる職隆ですが、その職隆の問いには一切答えず
信長の命により松寿が成敗になったと告げます。
「このような日が来ることは覚悟しておりました」
光は、溢れ出そうな感情を懸命に押し殺しながら
秀吉に頭を下げます。
しかし、やはり気持ちは抑え難く……。
官兵衛が織田を裏切るはずがないのに
決め付けで息子の命を奪われるのは合点がいきません。
錯乱状態の光は、対面所の外に連れ出されます。
跡継ぎを2人も失ってしまった職隆は
今はもはや生きる望みすら失いかけていると訴えます。
秀吉は、そんなボロボロな職隆に厳しい言葉を投げかけます。
「織田家とともに歩むこと、それこそが黒田の生き残る道」
そして松寿丸成敗のことは、
有岡城下の善助たちの耳にも入ります。
怒りを爆発させた太兵衛は、松寿丸の敵を討つ! と
長槍を持って出て行こうとしますが、
誰を討つというのだ! との善助の言葉に、泣き崩れてしまいます。
祖父も母も、家臣も、そして父も
今が一番試練の時です。
年が明けて天正7(1579)年。
村重の元に、毛利から書状が届きます。
有岡城に援軍を差し向けるはずだったのですが、
それが日延べになったことが記されていました。
美濃菩提山の半兵衛の庵──。
旅格好のおねが到着しました。
出迎えた半兵衛は、長旅の疲れをいたわります。
「おかかさま!」
聞き慣れた言葉が聞こえ、振り返ると
そこには松寿丸です。
松寿丸とおね、再会に喜び抱き合います。
半兵衛があれまで冷酷に松寿丸成敗にこだわったのは
半兵衛が主体となって松寿丸を匿うことにありました。
信長が言うような、官兵衛が裏切ったとは
半兵衛も信じられない……いやあり得ないと考えていて、
そんな推測のみで松寿丸の命が奪われてしまっては
黒田家に、そして囚われの身の官兵衛にも悪いからです。
ただし、この一件は秀吉にも隠し通します。
すべては半兵衛の一存で匿ったということにしておけば
秀吉は知らなかったわけで、責任を逃れることが出来ます。
もし知っていれば、信長を裏切ったと言われかねません。
半兵衛自身は、どちらにしても病気でもう長くはない身なので
半兵衛が責の一切を背負っても問題ない、というわけです。
おねは、半兵衛の切ない言葉にたまらず目を閉じます。
現れた松寿丸に、おねは
官兵衛がきっと無事であること、
黒田の家臣たちが官兵衛救出に動いていることを伝え
それを信じてじっと待つことを諭します。
それからしばらく経って。
職隆の元に、おねから文箱が届けられます。
“これからも織田に味方してほしい”という言葉とともに
黒田と羽柴の架け橋の証となるよう、
松の絵が描かれた扇が中に入っていました。
それをそのまま、職隆は光に見せることにします。
松寿を成敗しておきながら、何を今さら……と
扇を見る気力もない放心状態の光ですが、
松の絵が青々として元気に描かれているのを
職隆は“松寿は生きておる”と解釈。
松寿が生きていることを文面に起こせば、
間違って信長に知れてしまう可能性もあり
おね流のナゾかけで、わざわざ知らせてくれたわけです。
逆にそう解釈しなければ、扇など送ってくるのは
あまりに唐突すぎるのです。
光の表情に、とまどいつつも
少し笑みが戻ってきました。
──万吉、生きるのです。
官兵衛、死んではなりませぬ!──
もう幾日も飯を口にしておりません。
長雨に晒され、雪にまみれ意識が混濁している中、
ふと目を覚ますと、そこには官兵衛が
幼い頃に亡くなった、母・いわの姿がありました。
いや、いわではなく
官兵衛と会うことを村重に禁じられたはずの
だしが、献身的に介抱してくれていたのです。
牢番である又左衛門も、だしの懸命さに
引き止めつつも、ほぼ見て見ぬフリです。
しかし、その甲斐あって
官兵衛にようやく生きる兆しが見え始めました。
目を覚ました官兵衛が、光の方を見ると
土牢の中から藤の花が見えました。
作:前川 洋一
脚本協力:穴吹 一朗
音楽:菅野 祐悟
題字:祥洲
語り:広瀬 修子
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[出演]
岡田 准一 (黒田(小寺)官兵衛)
中谷 美紀 (光)
谷原 章介 (竹中半兵衛)
内田 有紀 (お濃)
戸田 菜穂 (いわ)
春風亭 小朝 (明智光秀)
田中 哲司 (荒木村重)
桐谷 美玲 (だし)
大谷 直子 (土田御前)
濱田 岳 (栗山善助)
速水 もこみち (母里太兵衛)
高橋 一生 (井上九郎右衛門)
勝野 洋 (丹羽長秀)
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江口 洋介 (織田信長)
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黒木 瞳 (おね)
竹中 直人 (羽柴秀吉)
柴田 恭兵 (黒田(小寺)職隆)
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制作統括:中村 高志
プロデューサー:勝田 夏子
演出:大原 拓
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』
第22回「有岡、最後の日」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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