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2014年6月 6日 (金)

プレイバック黄金の日日・(23)西国進撃

霧の中から大船が姿を現しました。
しかし帆柱が折れ、心なしか傾いているようです。
高山右近の船を受け取りにきた小西弥九郎は
このままでは沈んでしまう、とその対策に走り回ります。

その見立て通り、船の中は浸水し
男たちがバケツリレーで海水を外に出している最中でした。
しかし、着岸して碇を下ろしては更に浸水して沈んでしまうので
助左は浜へそのまま突っ込むようです。

ドスン!

しばらく衝撃が続いた後、
船はようやく浜に乗り上げて止まりました。

途中で海戦に巻き込まれたのは不運だったと言う弥九郎は
浜に乗り上げさせて沈没を免れさせた助左の技術を認めます。


一方、信長軍に降った高山右近は、最初こそ
領民やキリシタンの命と引き換えに自らの切腹を、と
心を固く閉ざしていましたが、

信長はその投降の決断を称え
自らの家臣となって高槻を治め、
しかも領地は今までの2倍(4万石)にする、という
嬉しい言葉を聞き、信長の家臣への道を受け入れます。


弥九郎は、毛利方の陣地にある
岡山の宇喜多領へ向かうことになっています。
向こうに着けば、しばらくは向こうで居住する予定なので
船の修理や荷物の管理は美緒にお任せする段取りです。

そのことを羽柴秀吉が知ったら、
弥九郎の岡山ゆきにはとても心配するかもしれません。
“さるお方”の依頼によるものらしいのですが、
それが誰なのか、助左には教えてくれません。


天正7(1579)年正月。
安土城築城工事も3年の月日を費やして完成。

その中で、信長と秀吉は
中国地方の調略について密談しています。

備前の宇喜多直家は曲者という悪評があり
一般的な調略活動では寝返りそうもありません。
そこで秀吉は、備前に人を送り込むことにしたのです。
それが弥九郎というわけです。

2月6日、
秀吉が囲む三木城の将兵2,500が一挙に雌雄を決しようと
平井山の秀吉本陣を目がけて討って出ますが、
この一戦も、秀吉勢に押し返されて完敗。

いよいよ三木城が落ちるかと誰の目にも明らかになった6月。
備前から宇喜多直家の使者が秀吉の陣を訪ねます。

と言っても、使者は弥九郎で
宇喜多直家を手玉に取っての
すでにシナリオがある八百長会談であります。

「はいはい、狂言はこれまで」と
秀吉は手を打ち、宴会となります。

9月2日。
有岡城に立てこもっていた荒木村重が
単身城を抜け出して尼崎へ逃走するという
意外な事件が発生。

主がいなくなった有岡城は11月19日に降伏します。

「村重……汚し!」
信長の怒りが頂点に達します。

信長はかつて、大量殺戮とも言えることを2度行ってきました。
僧俗3,000人を皆殺しにした比叡山焼き討ち、
伊勢長島の一向衆徒20,000人の大虐殺。

そして今回、
荒木村重が有岡城に見捨てていった600人の処刑で
大量殺戮数が1回増えることになります。

10年間に渡って信長と石山本願寺とで
戦いが繰り広げられた石山合戦も、
天正8(1580)年8月2日にようやく終焉を迎えます。


安土城下に楽市楽座が制定されて3年が経過しました。
城下で商いをする商人たちに免税としたことで
物流が活発化し、街も元気になる政策です。

助左もそこでいろいろなモノを売りに出していますが、
そこに右近が現れて、2年ぶりの再会です。
「来てくれ、見てもらいたいものがある」と歩き出した右近を
持っていた鉄砲を放り投げてついて行く助左です。

そこには、広大な土地が広がっていました。
右近曰く、バテレンのために
安土の街にセミナリオを建立するための土地なのだそうです。
そう、つまりセミナリオ建設の認可が下りたのです。

しかも、青瓦の使用もOKなのだそうで。

尼崎に運んで、無下もなく突き返されたあの青瓦は
長浜の納屋で眠っているとのことで、
それをそのままこの安土に運ぶことになりました。

そして、以前約束したようにその代金として
右近の500石船と引き換えることになりました。

「船だ船だ船だ! オレの船だーッ!!」
キレイに修繕された船で、助左は飛んで跳ねて大喜びしますが
共に喜んでくれる友──杉谷善住坊や石川五右衛門──は
この場におりません。

それを考えると、助左の目から涙が溢れてきました。

雪の降る中を初めて舟に乗ってから12年、
助左衛門30歳にして、500石船の船長です。
「オヤジ、見てくれ。オレがこの手で得た船だ」

助左は星空を見上げています。

──────────

天正8(1580)年8月2日、
石山本願寺の受け渡しを本願寺顕如が受け入れ、
織田信長のものとなるが、失火で3日間燃え続ける。

慶長3(1598)年8月18日、
太閤・豊臣秀吉が波乱の生涯を閉じるまで


あと18年──。


原作:城山 三郎
脚本:市川 森一
音楽:池辺 晋一郎
語り手:梶原 四郎
──────────
[出演]
市川 染五郎 (助左)
栗原 小巻 (美緒)
林 隆三 (今井兼久)
鹿賀 丈史 (高山右近)
──────────
高橋 幸治 (織田信長)
名取 裕子 (梢)
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小野寺 昭 (小西弥九郎)
緒形 拳 (羽柴秀吉)
──────────
制作:近藤 晋
演出:岡本 憙侑

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