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Kassy号〜♪の車窓から 2011

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2014年9月 2日 (火)

プレイバック黄金の日日・(33)海賊船

呂宋丸が沈没する──。

天正13(1585)年3月、
ルソン島を出航して5日目の、高砂沖の遭難です。
大波に揺られ揺られて、乗組員たちは立っていられません。
ある者は方々へ投げ飛ばされ、ある者は海へ投げ出されます。

呂宋丸が沈没し、
海の上に浮かぶ折れたマストに掴まって
何とか命拾いした納屋助左衛門と按針。
「とうとう……やられてしまった」

と、そこへ通りかかった大きな船。
交易船なら助けてもらおうと思っていた助左衛門は
船の先頭に『八幡大菩薩』と書かれた幟が旗めいているのを見て
海賊船だと気づきます。

暗い海になるだけ潜り込んで
なんとかその場をやり過ごすつもりでいましたが、
二人は運悪く見つかってしまいました。

助左衛門が南蛮流の医術の心得があると知って
海賊船の船長の元に連れていかれた助左衛門。

船長(甚兵衛)の左足には
明国の官兵に撃たれた鉄砲玉が未だに残っていて、
それを助左衛門に取り出してくれというわけです。

医学技術は助左衛門が持っている、
そして医学用具は海賊船に積んである。
「足りない物は何でも言ってくれ」と甚兵衛が言うと、
助左衛門の脳裏に、美緒の声が聞こえてきました。

イスパニア軍の人質になっていたラカンドーラが
マイニラを脱出した時に敵に左腕を銃で撃たれて、
アゴーに戻ってきた時のことです。

銃創処置法、弾丸摘出手術を施した美緒は
「焼酎を温めて、椰子の油に卵の白身をたくさん……」
とか何とか言っていました。

助左衛門にとって、緊張のとき──手術開始です。
甚兵衛は腕を組んだまま痛いのに声も出さず、
ジッと船室の向こうを見つめています。

コロン。

白い皿の上に、血にまみれた銃弾が転がります。
それをチラと見た甚兵衛は、目をつぶります。
手術成功です。

ちなみに、甚兵衛役は 八代目松本幸四郎さん。
後に 初代「松本白鸚」を襲名なさる御仁ですが、
助左衛門役を演じている
六代目市川染五郎 (現 九代目松本幸四郎)さんの実父であります。

つまり、ここは同シーンの親子共演というわけですね(^ ^)

これまでも、何組もの親子が共演されている大河ドラマですが、
肉親の前で演技する、というのはなかなか照れくさいものです。
それを、両者とも堂々と演じていらっしゃるのは、
やはりさすが大物、と言えるものですよね。

余談ながら、このシーンで
船長甚兵衛の手術に立ち会った鬼丸という男を
小島三児さんが演じておられますが、

小島さんは、その前年の大河ドラマ『花神』では
主人公・村田蔵六(後の大村益次郎、演者:四代目中村梅之助さん)の
幼なじみである平太郎という設定で、足をケガした平太郎は
村医者時代の蔵六に手術を受けるという役柄でした。

脱線、失礼……。


3月21日・堺──。

羽柴秀吉は、紀伊根来寺に籠る2万の僧兵と雑賀一揆軍撲滅のため
10万の大軍を起こして大坂を発し、途中の堺にて休息。

進軍途中、軍勢に頭を下げる民衆の中にいた
美しい女を見初めた秀吉は、
石田三成にその女の調査に当たらせます。

その女とは──今井宗薫の妻・美緒です。


甚兵衛の海賊船は、高砂と琉球の間を往復しているだけで
日本に行く予定はないようです。
日本に帰れないことで助左衛門はガッカリ……。

甚兵衛の足は、かなりよくなっていました。
刀を杖代わりに、ゆっくり歩けるまでになっています。

出会った初めこそ、厳しい表情で見ていた甚兵衛も
手術のことがあったからか、表情もだいぶ和らいで
自分の過去を親しげに話すほどです。

助左衛門は、この甚兵衛が
父と似ていると思ったに違いありません。

まず名前。
助左衛門の父は「甚九郎」、そして目の前にいるのが「甚兵衛」。

そして助左衛門が5歳のとき、つまり25年ほど前に
甚九郎は助左衛門の前からいなくなりましたが、
その25年前というのは、
甚兵衛は厳島あたりで海賊船に襲われたころです。

甚兵衛は、海賊船に襲われて自分の船が
火だるまになりながら沈没していったショッキング映像は
しっかりと記憶しているのですが、
それに至るまでの記憶をなくしてしまっているのです。

自分の身分、名前、今でも思い出せないのです。
「あるいは……甚九郎と言ったかもしれんなぁ」

もしやと思い、堺へ行ったことがあるか、
おきくという女の名に覚えがあるかを聞いてみますが、
甚兵衛は寂しそうに首を振るばかりです。


6月。
堺にある助左衛門の店では、
3月ごろには戻ってきてもいいはずの助左衛門が戻って来ず、
桔梗はぼんやりと日々を過ごしています。

そこへ石川五右衛門がやって来ました。

品物がほとんどない店の中で、桔梗は
(店の主が)ルソンという国まで行ってるの、と言うと
またルソンに行ったのか助左は、と半ばあきれ顔の五右衛門です。
「おかしいじゃないか、ルソンへ渡った船が
 6月の今になっても戻って来ねえなんて」

でも、しまが抱いていた赤子こそ、この桔梗だと知った五右衛門は
助左衛門のことは心配いらない、アイツは必ず戻って来ると
しまを励まして、行方をくらませます。


琉球に掘っておいた隠し井戸が、
明国の官兵たちに占領されてしまいました。

琉球の浜はどこも危ない、と甚兵衛は
白波党の井戸を目指して五島へ向かうことにします。

甚兵衛の脳裏に、堺の町並みが再現されつつあります。
助左衛門が堺の町について詳細に語ると
甚兵衛は「その通りだ」と大きく頷きます。
もしかしたら、甚兵衛は堺の船乗りだったかもしれません。

ただ、妻や子どものことは思い出せません。

助左衛門は、いっそ甚兵衛を堺に誘ってみますが、
多数いる船子を捨てて自分だけが
堺に行くことはあり得ないと笑います。
堺がたとえ、自分の故郷だとしても、です。

五島に到着しました。
五島で水を積み、高砂に戻ることになりますが
甚兵衛は助左衛門がこの先どうするかを聞いてみます。

思い切って、この船を助左衛門に譲るとしたら
高砂までついて来るか? と聞いてみますが、
助左衛門は言葉に窮してしまいます。

助左衛門は、五島で下船することにしました。
土産に、船内に積んでいた論語などの書物をたくさん持たされて
助左衛門は小舟に乗り移り、船からどんどん離れて行きます。

お父っつぁん!

別れを惜しんでついつい発した助左衛門の叫び声は、
確かに甚兵衛に届きました。
他人様と承知の上でございます、と目に涙を溜めて言う助左衛門に
甚兵衛も涙を浮かべながら、小刻みに震えています。

「ありがとよォ!」

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原作:城山 三郎
脚本:市川 森一
音楽:池辺 晋一郎
語り手:梶原 四郎
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[出演]
市川 染五郎 (助左衛門)
栗原 小巻 (美緒)
根津 甚八 (石川五右衛門)
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近藤 正臣 (石田三成)
竹下 景子 (桔梗)
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緒形 拳 (羽柴秀吉)

松本 幸四郎 (甚兵衛)
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制作:近藤 晋
演出:宮沢 俊樹

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