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2014年9月 5日 (金)

プレイバック黄金の日日・(34)大洪水

満月が眩しいです。

海に浮かぶ小舟に横たわり、休んでいる納屋助左衛門は
向こうから灯籠流しの灯籠が無数に流れてきます。
「着いた……長崎へ着いた」

天正13(1585)年7月の盂蘭盆の夜、
助左衛門は五島から長崎にようやくたどり着きました。
翌朝、眠っていた助左衛門が目を覚ますと
イスパニアの船が長崎沖に停泊しているのを発見。

長崎の港を開いたのは
ポルトガル人宣教師やポルトガル船の乗組員たちで
元亀2(1571)年の開港以来、
長崎とマカオの間には定期航路が開かれていました。

肥前の名もない漁村でしかなかった長崎は
南蛮の富と文化によって
たちまちのうちに日本第一の国際港と成長し、
以後も南蛮貿易の拠点として繁栄を続けていたのです。

助左衛門は、堺まで帰るための船賃にしようと
甚兵衛に餞別としてもらったたくさんの書物を売ります。

こういう書物は人気がない、と断りを入れられた上で
全部で500文という安い値段をつけられますが、
助左衛門にとってはそれでも充分です。


同じとき、内大臣正二位の羽柴秀吉は
従一位に叙されて『関白』の位に即きます。

関白職は長年、藤原氏の独占物でしたが
秀吉はこの座を得るために
前の関白・近衛前久の猶子となって
藤原と改姓しての強引な叙任でした。

秀吉の関白就任に伴い、
石田三成も従五位下治部少輔に任ぜられます。

米の値段を全国平均にならし、銭の価値も全国で統一させる。
それができなければ、真の天下統一とは言えない……。
そのために、大坂という町を作って一極集中させたいわけですが、
それをさせないのが東海関東の米と堺の銭であります。

来年までの間に、堺を支配下に置きたい意向で、
三成には、松井有閑に代わって堺奉行を命じる予定です。


堺の今井宗薫の元に、
美緒を側室として申し受けたいと秀吉からの話が伝わります。

それは美緒が、宗薫の妻であると知った上での話なのですが、
美緒を差し出せば、今井家としても未来永劫万々歳ということで
悪い話ではないと、それを伝えに来た和泉屋徳兵衛は言います。

今は夫婦でも元は兄妹だったのだから
妹を差し出すと考えればあきらめもつくでしょう、とニッコリ。


堺の船着き場。
銭丸は今日も船着き場で、助左衛門の姿を探しています。
今日もいないか……とがっかりする銭丸は
船の甲板で大きく背伸びをする助左衛門の姿を発見!

桔梗とも再会します。
実に1年ぶりです。

喜んだのもつかの間、
船を無くした助左衛門が商いが再び出来るようになるために
どうしなければならないかを考えなければなりません。

桔梗は美緒の元に出向き、
自らが今井宗久の娘・桔梗であることを名乗って
50貫文の資金援助を申し出ます。

ただし──妻でもない今井家の娘が
一つ屋根の下で男と寝起きするのは許されないと
今後は今井家で暮らすことを条件として出されます。

一方で、美緒は宗薫から
大坂の関白秀吉へ名代として挨拶せよと命じます。

初めはなぜ私が? といぶかる美緒ですが、
小西行長から、秀吉に見初められたからこその
呼び出しだと聞いて激しく動揺します。


9月、秀吉は藤原姓から豊臣という姓に改めます。

その土砂降りの日、美緒は堺を出発し
輿で大坂へ向かいます。

見送りに立っていた桔梗に
美緒は「あなたの好きになさい」と言われ
助左衛門の店に戻ってきました。

そこにいたのは石川五右衛門です。

五右衛門に、美緒が
秀吉のいる大坂に連れて行かれたことを伝えると
桔梗が借りてきた馬で雨の中を駆け出します。

川の増水で行く手を阻まれていた美緒ら一行は
突然の五右衛門の襲撃でなす術もなく倒されていきます。
美緒は五右衛門にさらわれて、来た道を戻っていきます。


この大雨で堤防が決壊し、大洪水となるのを防ぐべく
堤防に土嚢を高く高く積み上げるように命じる三成ですが、
圧倒的に数量が少なく、このままいけば決壊は免れません。

助左衛門は、自分の蔵にあった米俵を土嚢代わりに積み上げ
大坂の町を洪水から守ります。

──────────

天正13(1585)年7月11日、
羽柴秀吉が近衛前久の猶子として関白宣下を受ける。

慶長3(1598)年8月18日、
太閤・豊臣秀吉が波乱の生涯を閉じるまで


あと13年1ヶ月──。


原作:城山 三郎
脚本:市川 森一
音楽:池辺 晋一郎
語り手:梶原 四郎
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[出演]
市川 染五郎 (助左衛門)
栗原 小巻 (美緒)
林 隆三 (今井宗薫)
竹下 景子 (桔梗)
根津 甚八 (石川五右衛門)
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近藤 正臣 (石田三成)
小野寺 昭 (小西行長)
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緒形 拳 (豊臣秀吉)
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制作:近藤 晋
演出:渡辺 紘史

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