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2014年10月10日 (金)

プレイバック黄金の日日・(39)偽国使

天正18(1590)年2月・大坂城。

今まで何度となく書状を送った朝鮮国ですが、
国王からの返書がなかなかありません。
業を煮やした豊臣秀吉は、さらに送った書状で
もしこのまま日本に挨拶に来ない場合は
朝鮮国へ討伐の兵を差し向けると脅しています。

側に控える石田三成にとっては、初めて聞く話です。

その国書を持って、小西行長と宗 義智は朝鮮へ渡りますが、
その途中、多くの船団が横並びになって行く手を遮ります。
その船団の船長は、助左衛門です。
石川五右衛門と、その手下たちも船に乗っています。

助左衛門は、行長らが携える国書を
この場で破り捨てていただきたいなどと言い出し
二人を慌てさせますが、

いきなり書状を送りつけて支配だの討伐だのと言い出せば
むしろ非礼なのは日本の方でありまして、
朝鮮にとっては単なる笑い話以外の何ものでもありません。

そして、仮に朝鮮国がそっぽを向いたとき
一番に影響を受けるのは、
朝鮮と交易をして利益を得ている海の商人たちであります。

行長も義智も、朝鮮国と戦を構えるのはよくないと考え
秀吉と朝鮮との板挟みでいろいろと苦慮して来たところはあります。
戦をせずに済むならば、国書を破り捨てることも厭いませんが、
今そうしてしまえば、逆に討伐の方針が高まってしまいかねません。

助左衛門は、秀吉の書いた脅しの国書ではなく
通信使を受け入れたいという国書への書き換えを提案します。


豊臣秀吉率いる大軍が
北条一族の小田原城を囲んだ2ヶ月後の6月、
朝鮮の通信使を乗せた助左衛門の船が釜山を出発。

しかし対馬の宗氏屋敷に到着したとき
朝鮮通信使2人は、自分たちが京に上らないことを知ります。

関白秀吉に会えないではないか、と国使たちは戸惑いますが
助左衛門の計画は、ニセの国書を送っての通信使でありますので
それなりの演技が必要なわけです。

それを本物の通信使たちに背負わせるのも申し訳ないし
もし陰謀が露見してしまった場合のことを考えて、
その通信使たちの身代わりとして五右衛門とその手下が務めます。

ただし、騙せないのは朝鮮国王からの国書であります。

秀吉は漢文が読めないので、
これが国書だと言えば信じてもらえるにしても

三成は学才で漢文もスラスラなので、
ちょっとしたニュアンスの違いだけでも
これは国書ではない、と気づかれてしまいそうです。

行長と宗は、何としても光秀の目に触れさせないように
あらゆる場合を考えての対策を練ります。


こうして、ニセ通信使を乗せた宗氏の船は対馬を出発。
7月、夏の盛りには船は堺に入港します。

そんな時、今井家に入った桔梗は
今井宗薫から、小田原の北条攻めの最中である
秀吉の元に行くように命じられます。

桔梗は、助左衛門のことが好きなので
秀吉の元に上がって側女になりたくはありません。
なので、今井家を出て家出することにしました。

話を聞いた美緒は、自分も秀吉の元へ上がるように言われて
ルソンに身を隠していたわけで、
夫への憎悪心がますます大きくなります。

と同時に。
助左衛門への愛を告白した桔梗が出て行くと
眼光鋭く、おんなとして火花を散らします。
「あの男は私のものだ」

上総へ向かう、桔梗と銭丸を乗せた船と
対馬から着いた、助左衛門を乗せた停泊中の船。
お互いが、乗っている相手を知らずにすれ違います。


9月30日、秀吉は北条氏を下して関東を平定。
ついに天下統一を果たしたわけです。

堺奉行の三成が、小田原攻めから戻ってきました。
そして、平伏する宗に伝えます。
「堺奉行として、朝鮮国王御使者に礼を成したい」

というわけで、突如として船の甲板に設けられた
朝鮮国王使者と堺奉行の対面場。
迎える行長や宗、五右衛門らは緊張した面持ちです。

三成が、やってきました。

始めこそ、穏やかに進んでおりましたが、
秀吉からの命令として
国書には目を通しておけと言われていた三成は
この場で国書を拝見したいと求めます。

国書は……と行長や宗らが言葉を濁す中、
助左衛門が“正真正銘の国書ですッ”と三成に手渡します。

なぜ宗氏の船に助左衛門が乗船しているのか
そしてなぜ朝鮮国王の国書を助左衛門が手にしているのか
三成にとっては疑惑以外の何ものでもないわけですが、
まずは言われるままに国書を読んでみます。

読み始めた途端、サッと顔色が変わる三成。
しかし「お務めご苦労」と国書を戻します。


11月7日。
聚落第にて、秀吉は朝鮮国王の使者と対面します。
鶴松とともにその場に現れた秀吉は対面もそこそこに
鶴松と遊ぶためにサッサと戻っていきます。

秀吉が朝鮮国王に宛てた返書には
自らを太陽の子と称し、朝鮮国を属国のように扱い
いずれは明国にも攻め入る意思があることを書き入れています。
ただ、朝鮮国では秀吉のこの言葉は
大言壮語としてしか受け入れられず、一笑に付されます。

文禄の役、前夜のことであります。

──────────

天正18(1590)年7月5日、
小田原城攻撃により北条氏直が豊臣秀吉に降伏。

慶長3(1598)年8月18日、
太閤・豊臣秀吉が波乱の生涯を閉じるまで


あと8年1ヶ月──。


原作:城山 三郎
脚本:市川 森一
音楽:池辺 晋一郎
語り手:梶原 四郎
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[出演]
市川 染五郎 (助左衛門)
栗原 小巻 (美緒)
根津 甚八 (石川五右衛門)
竹下 景子 (桔梗)
──────────
近藤 正臣 (石田三成)
河原崎 長一郎 (宗 義智)
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小野寺 昭 (小西行長)
緒形 拳 (豊臣秀吉)
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制作:近藤 晋
演出:外園 悠治

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