プレイバック利家とまつ・(44)猿千代誕生
文禄2(1593)年 春・金沢城。
前田利家五女の与免が重い病にかかり、まつが看病しています。
「で、あるか」
織田信長の声が聞こえたように感じて、
居眠りをしていたまつは目を開けます。
そのころ、肥前名護屋城では淀が秀吉の子を身ごもりますが、
それよりも大ニュースなのは、
利家の子を千代保が身ごもってしまったことであります。
利家は「で、ある」と
少しバツが悪そうな表情を浮かべています。
まつに殺されてしまうぞ、と徳川家康や浅野長吉らが大笑いですが
それが考えられなくもない話だから利家は笑えません。
しかし、それをまつが知るまでには大して時間はかかりませんで、
忍びの四井主馬が、元服したばかりの前田利政に
名護屋城の様子を知らせるついでに千代保懐妊の話をしてしまい、
利政はそれをそっくりそのまままつに伝えたわけです。
8月3日、淀は大坂城で男子を出産。
お拾、後の豊臣秀頼であります。
お拾の誕生で、秀吉は唐入りを中止する決意を固めます。
唐入り中止ということで
徳川家康や利家はひとまず安堵といったところですが、
唐入りで出陣していたために、亡くなった与免の
葬儀にも出てやれなかったことが利家には悔やまれます。
京の前田屋敷に、はるが来訪します。
与免の位牌に手を合わせてくれたわけです。
そこに、夫婦仲がよろしいのね、なんて笑いながら
うめが利家からの文を持ってきます。
千代保が自分の子を身ごもり、
11月ごろに出産予定であること。
その千代保が秀吉にさらわれて
大坂へ連れて行かれたらしいこと──。
まつの突然の涙を見たはるとうめは
突然すぎて困惑しています。
お拾誕生の祝賀に、
利政と前田安勝を伴ってまつが挨拶に来ました。
えらくご機嫌な秀吉は、元服したばかりの利政に
能登21万石をポーンと与えます。
蒲生氏郷の娘との祝言が決まり、ご祝儀のつもりです。
これで、利長の越中32万石と利家の加賀23.5万石と合わせ
前田家で76.5万石の大大名となりました。
ただ、まつにとっては禄高よりも
利家の子を身ごもった千代保を帰してくれるように
利家の頼み通りに北政所(おね)に願い出たのですが、
頑強にも北政所はそれを断ります。
名護屋から京へ、利家が帰ってきました。
与免が亡くなってからというもの
まつには気力も失われてやつれた表情になっていますが、
前田屋敷に秀吉夫妻が宿泊する、というので
その準備にまつは大わらわなのです。
みそ汁が食べたい、などと呑気な利家をまつは見据え
能の宴が催された際に舞う能の演目を
練習しておかれては? と冷たく言い放ちます。
舞っておどける利家ですが、
改めて詫びようと“千代保のこと……”と口にした途端、
まつは利家を睨みつけます。
「知りませぬ。腹を切って死になされ」
閏9月28日、秀吉は前田邸に宿泊。
30日に開かれた舞の宴で利家は当主として舞いますが、
これまたさんざんな出来でありました。
たまらず、家康がまつの説得に当たります。
まつともあろう人が、いつまでもジメジメと怒っていては
夫たる利家は前田家のキズに成り下がってしまう。
ここは一気に暴れなされ、と。
利家に「覚悟!」と槍を突きつけるまつ──。
「そんなことはできませぬ」と眉間に皺を寄せるまつですが
それを実際にしたところを想像すると、とても笑えます。
家康と、同席していた北政所は大笑いです。
まつもつられて吹き出してしまいます。
数日後、千代保が赤子を抱いて前田屋敷に戻ってきました。
千代保が産んだ子は、まもなく亡くなりまして
かつて秀吉夫妻に前田家から豪姫を差し上げた時のように
太閤秀吉の子であるこの赤子・猿千代を差し上げるゆえに
元気になってくれ、という北政所のメッセージつきです。
まつにしてみれば、そんな話は
信じるに足らないネタ以外の何ものでもないものです。
涙を飲んで赤子をまつに差し出す千代保に
まつは、自分の子を手放してはならぬと命じます。
しかし千代保は、猿千代を預ける意向のようです。
猿千代は、前田長種・幸の夫婦によって育てられ、
成長した前田利常が前田家三代目を継ぐことになります。
文禄2(1593)年11月25日、
前田利家の側室・千代保が猿千代を産む。
慶長3(1598)年8月18日、
太閤・豊臣秀吉が波乱の生涯を閉じるまで
あと4年8ヶ月──。
原作・脚本:竹山 洋
音楽:渡辺 俊幸
語り:阿部 渉 アナウンサー
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[出演]
唐沢 寿明 (前田利家)
松嶋 菜々子 (まつ)
香川 照之 (豊臣秀吉)
酒井 法子 (おね(北政所))
天海 祐希 (はる)
高嶋 政宏 (徳川家康)
加藤 雅也 (浅野長吉)
伊藤 英明 (前田利長)
的場 浩司 (村井又兵衛)
瀬戸 朝香 (淀殿)
原田 龍二 (石田三成)
佐藤 藍子 (麻阿)
田畑 智子 (千代保)
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反町 隆史 (織田信長(回想))
森口 瑶子 (吉乃)
中条 きよし (奥村家福)
赤木 春恵 (うめ)
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制作統括:浅野 加寿子
演出:田村 文孝
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