プレイバック黄金の日日・(49)激流
堺の石田三成の屋敷には
故郷佐和山から、兄の石田正澄がやってきています。
秀吉によって、町が死んだように静まり返っていた堺でしたが
彼の死後、それがまるで生き返ったように甦っています。
ご禁制は解かれていませんが、大聖堂の鐘が鮮やかに鳴り響き
正澄は驚きを隠し切れません。
三成によれば、追放処分を受けていた納屋助左衛門が
赦免されてルソンから帰って来るので、
それにあわせて出迎えの鐘を鳴らしているのだそうです。
堺に住んでいない正澄ですが、納屋助左衛門が
「呂宋助左衛門」であることを知ると、ああ、と頷きます。
堺と言えば呂宋助左衛門、呂宋助左衛門と言えばルソン壷。
これは正澄でなくとも有名な話です。
助左衛門がついに堺の土を踏みました。
町方の出迎えぶりと言ったら……大歓迎です(^ ^;;)
その盛り上がりも、一瞬にして消えてしまいます。
不機嫌そうな表情の今井宗薫が現れたのです。
「せがれをもらっていくぞ」
始めこそ“イヤです”と断っていた小太郎ですが、
旅は終わりました、という助左衛門の一言もあって
まずは今井へ引き揚げることにしました。
助左衛門の希望は、三成着任で埋め立てられた堺の水路に
土を上げ、水を入れて元通りにすることであります。
ただ、それには堺の会合衆や納屋衆が一致団結して
事に当たらねば達成できそうにありません。
そしていずれは、三成にも堺の外に出て行ってもらう必要も。
ただ三成が出て行けば、いずれは家康が介入しかねませんが
助左衛門は、そうはさせないと自信たっぷりに言います。
しかし実は、彼がルソンに追放されている間に
徳川家康が法度を冒して、六男松平忠輝と
奥州伊達政宗の娘・五郎八姫との婚儀を決めたというので
取り調べの対照になっています。
そして、その両者を仲介したのが
会合衆の宗薫であったわけです。
当然、宗薫も取り調べを受けます。
宗薫は、誰の命令でもなく自分で図ったことだと主張。
太閤殿下の意向に背いた罪は軽くはないぞ、と脅す三成に
宗薫はため息まじりにこぼします。
「一介の商人でございます。武家の御法度など存じ上げません」
助左衛門は、堀に水を戻すべく精力的に動きます。
もし、かつての信長、秀吉のように
堺を我が物にしようとする者が現れたら
堺は自分たちの力でこれを排除する。
そのために、もし家康と堺が対立することになったら
三成にも堺から出て行ってもらうことを条件にします。
ついに三成は、水を戻す許可を与えます。
助左衛門は、あれだけ待ちこがれていたお仙に
堺に水が戻って来ると報告しますが、
彼女は喜ぶどころか、占いを始めて
堺が血に囲まれると謎めいたことを言います。
「今度はお前の番だよ」
血に囲まれる前に逃げよと言うわけです。
その言葉を聞き、笑顔だった助左衛門の表情に
暗い影が映り始めます。
ともかく、堀の土上げが始まりました。
堺の面々は、みな喜々として土上げに加わります。
最初こそ、その様子を見ていた宗薫ですが、
美緒が“堺の復興のために”と力を貸してほしいと
懇願していたのを思い出し、
今井の者たちに土上げに加わるように命じます。
慶長4(1599)年3月3日、
幼い豊臣家の世継ぎ・秀頼の後見役として大坂城に構え
伏見城の徳川家康に睨みをきかせていた大老・前田利家が
この世を去りました。
利家の死によって、豊臣政権の均衡が崩れていきます。
ついに、天下は家康の出番を迎えていたわけです。
同じ月、天正15年のキリシタン禁令以来12年ぶりに
堺では復活祭のミサが催されます。
このミサに、大坂から細川忠興夫人・ガラシャ(たま)が
小西行長の案内で密かに訪ねてきました。
助左衛門がガラシャの姿を見たのは、
かつて南蛮寺の建設にあたって
それを見物に来た三成(当時は石田左吉)と
宣教師フロイスに挨拶に来たたまが出会ったとき以来です。
迎えにくるはずの輿がまだ来ないと
近江坂本に届ける米俵と一緒に荷車にガラシャを乗せ
男2人、女1人の短くも楽しい旅でした。
ま、どちらにしても遠い昔の思い出ですが(^ ^;;)
そのミサも終わったころ、ガラシャは
堺奉行所に夜討ちをかけ
三成襲撃の計画があることを打ち明けます。
その首謀者は……加藤清正を筆頭に、
浅野幸長、福島正則、黒田長政、池田輝政、
加藤嘉明、そしてガラシャ夫の細川忠興──。
それを聞いた助左衛門は、急いで三成屋敷を訪問。
そこにはいないと分かると、兄の正澄が止めるのも聞かず
見物に行っているという堀の土上げ工事現場へ。
「内府の犬に成り下がりおって!」
事の次第を伝えると、三成は怒り爆発です。
味方同士を戦わせて漁父の利を得ようとする
タヌキ家康の策略なのです。
襲撃決行は今夜なので、
まずは取り急ぎ助左衛門が用意する小舟に乗って
堺から海を渡って大坂へ、そして
淀川を上って佐和山に帰ることにします。
ついに、堺に水が戻ってきました。
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原作:城山 三郎
脚本:市川 森一
音楽:池辺 晋一郎
語り手:梶原 四郎
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[出演]
市川 染五郎 (助左衛門)
林 隆三 (今井宗薫)
江藤 潤 (小太郎)
小野寺 昭 (小西行長)
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近藤 正臣 (石田三成)
島田 陽子 (細川たま)
李 礼仙 (お仙)
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児玉 清 (徳川家康)
栗原 小巻 (美緒)
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制作:近藤 晋
演出:高橋 康夫
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