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2015年1月30日 (金)

プレイバック翔ぶが如く・(02)新藩主お国入り

嘉永4(1851)年5月。

薩摩藩第28代の当主として
改革派待望の島津斉彬がお国入りしたのは
高崎崩れ(お由羅騒動)のお家騒動から
1年半が過ぎようとしていた時でした。

不当な弾圧を受けてきた大久保家、
そのせがれ・正助を激励せんと
郷中の二才たちが大久保家に集合します。

西郷家では、祖父の龍右衛門が我がことのように大喜びし
病床から「早く行ってやれ」と吉之助を急かし
母のまさも「今夜は夜通し飲ン方でごわんそ」と
弟の吉二郎に買わせた酒を持たせて送り出します。

そのころ、大久保家ではすでに宴会が始まっておりますが
主役であるはずの正助は、終始浮かない表情です。

それもそのはず、斉彬が藩主となったのに
久光派への弾圧はなく、斉彬派への救済もなく
自分はお役にありつけず、父は未だに島流し。
まさに「生温い」というのです。

吉之助は、これからの薩摩を彼なりに推測します。
黙っていても、いずれは斉彬が敵討ちしてくれる。
まずは島津久徳、島津久宝は切腹か閉門、
彼らに担がれた島津久光も無傷では済むまい、と。


家臣重臣たちが一同に集い、斉彬を迎える場では
誰も一言も発しませんが、
誰にどういう処罰が下るのだろうかと
ピリピリした空気が流れています。

そこに現れた斉彬は、
久徳や久宝が父で前藩主の島津斉興によって
亡き調所笑左衛門の後任として推挙されるほどの人物と見越し、
これからも忠勤を励むように、と彼らに言葉をかけます。

今は日本国の政治を改革する時である!
それにはまず、藩政を改めねばならぬ!
ゆえに藩主たるもの、
質素倹約を旨とし国を富ますこと急務である!

久光は、斉彬の言葉一つ一つが胸に響いて
目をらんらんと輝かせて斉彬を見つめます。


郷士たちが造士館に集められ、吉之助も
大山格之助や有馬新七、有村俊斎らとともに参加します。

『言路洞開』
──新しい政策のためには、何事も大事。
  良い意見があれば遠慮なく上申せよ──

そういった斉彬の考えに触れた吉之助は
その吉報を正助に伝えようと、
全速力で造士館を飛び出して行きます。

体型に似合わず、吉之助は走るのが速い速い(笑)。
途中、カーブを曲がりきれず
若い娘とぶつかってしまうのが
いかにもドラマらしいですがw

吉之助は、
謹慎中の正助にも建白書を書くことを勧めます。
謹慎中で外出できない正助に代わって、
吉之助が代わりに提出してくれるというのです。


斉彬は、政治改革に向けて走り出していました。

まずは、充分に蓄えのある米蔵に入り
これを民百姓に与えることを指示、さらには
米の相場を一定以上にならぬよう吟味せよと命じます。

百姓を助ける施策だけではなく、
困窮する武士にも救済の手を差し伸べます。
つまり、開墾地を与えて生活の安定を図ったわけです。
西郷家は郊外に、3,000坪の開墾地を賜り
吉之助は吉兵衛、吉二郎とともに開墾に汗を流します。


吉之助の妹・琴に縁談話が舞い込んできました。
相手に不足はないものの、琴は少し困惑しているようです。
恥ずかしがっているのか? 夫婦になる自信がないのか?
よか縁組みじゃ、と言ったところで、琴は席を外します。

さて、と吉兵衛が口を開けば
吉之助にも縁談があるようです。
伊集院家の娘・俊だそうで、
ちなみに吉二郎は、俊の弟・伊集院兼寛とは友だちです。

いつもは生真面目な正助をからかってばかりの吉之助ですが
今日ばかりは立場が逆転して、正助が吉之助をからかいます。
正助は、もちろん縁談を大喜びしているのですが、
勝手に盛り上がっている正助に、吉之助は思わず舌打ちです。


西郷吉之助──。

斉彬はそうつぶやきます。
そう、大量に積まれた建白書の中から
彼の書いたものが斉彬の目に止まったのです。

それからすぐ、斉彬から建白書が吉之助に戻されます。
それでも驚きなのですが、もっとたまげるのは
吉之助の建白書に、斉彬の意見が
直々に書き加えられていることであります。

斉興の弾圧により、島流しや謹慎など
未だに苦しんでいる者たちが大勢いることは
斉彬も知っていることですが、

これを急ぎ赦免すれば、父の政治が誤っていたと
世にわざと知らしめてしまうことにもなるため
吉之助の意見を受け入れることは出来ないが
折りをみて随時赦免召還するであろう、とあります。

もちろんその建白書は、正助にも見せました。
正助は感激し、チェストー! と雄叫びを上げます。


西郷家に訪れた縁談話2つですが、
いずれもなかなか進展しません。

琴はじいさま(龍右衛門)のことが心配で嫁げないと言いますが
それは心配ない、と優しく吉之助が背中を押してくれます。
まずは己が幸せになること。
妹の幸せを第一に考える、優しい兄です。

しかし、押しても引いても動かないのが吉之助自身です。
吉二郎は、俊と一度会ってみたら? と勧めますが、
親同士が決めた相手に会う必要はない、と突っぱねます。
困り果てた吉二郎は、正助に知恵を借ります。

そこで。

兼寛に俊を連れ出してきてもらい、橋の中央へ。
何が何だか分からない俊は、
借金か? 女子のことか? と姉は弟を心配していますが、
そこへ吉二郎に連れられた吉之助が。

そこで兼寛と吉二郎のお役は御免w
大事な話がある、と走り去っていきます。

取り残されたふたり。

「いつぞやは、ご無礼さあでございもした」
そうです、兼寛の姉というのは
造士館から飛び出していった吉之助がぶつかった
あの娘でありました。

「ちゅうことは、お前さあが……」
「俊と申しもす」

橋のたもとの草むらから、二人の様子を見つめる二才たち。
ひっつけー、ひっつけー、と
格之助は暗示をかけるようにつぶやいていますが、
真っ昼間に橋の中央で、いくらなんでもそりゃありませんw

「ほんのこて、歯がゆか〜」
進展しないふたりに、彼らは襲撃することにします。

吉之助は当然、俊をかばいますが
からかうかれらに、吉之助は困惑です。
「嫁入り前のおごじょに、キズがついたらどげんする!」
「嫁にすればよか」

これで今回の思惑をすべて見通せた吉之助。
わいたちゃ謀ったな! と彼らを追い返します。
しかし、振り返れば俊が座り込んで息が荒いです。
よっぽど緊張していたのでしょう。

その後ろ姿に、ドキン♪ と吉之助の胸が鳴ります。


世界のことを知らなければ、物事の本質が分からないわけで
そんな状態では日本へのご奉公は成り立たない、と
斉彬は、天下のために学問を志すものに
江戸留学を認めることにします。

「行きやんせ、吉之助さあ」
意外にも正助が背中を押してくれます。

正助も、前々から
江戸か長崎に修行に行きたいと言っていましたが、
今は謹慎中の身ですので、それは叶いません。
吉之助も、伊集院家と結納を交わしたばかりで
自由気ままに動くことはできません。

ただ、この胸の中を渦巻く希望は
彼らの原動力となって、爆発するわけです。
「おいたちゃ桜島じゃ。時々爆発をばする」

桜島まで飛ぼかい?
それとも口だけのやせ我慢で終わっか?
「泣こかい飛ぼかい、泣こよっかひっ飛べ!」


嘉永4(1851)年7月、
島津斉彬が、土佐藩漂流民でアメリカから帰国した
ジョン万次郎を保護し、藩士に造船法などを学ばせる。

慶応3(1867)年10月14日、
徳川慶喜が明治天皇に『大政奉還』を上奏するまで


あと16年3ヶ月──。

(『篤姫』では「(4)名君怒る」〜「(5)日本一の男」付近)


脚本:小山内 美江子
原作:司馬 遼太郎「翔ぶが如く」より
音楽:一柳 慧
題字:司馬 遼太郎
語り:草野 大悟
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[出演]
西田 敏行 (西郷吉之助)
鹿賀 丈史 (大久保正助)
南 果歩 (伊集院 俊)
──────────
田中 好子 (喜久)
冨士 真奈美 (西郷まさ)
蟹江 敬三 (大山格之助)
──────────
坂上 二郎 (西郷吉兵衛)
大路 三千緒 (西郷きみ)
浜村 純 (西郷龍右衛門)
──────────
高橋 英樹 (島津久光)

加山 雄三 (島津斉彬)
──────────
制作:吉村 文孝
演出:平山 武之・望月 良雄

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