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2015年2月13日 (金)

プレイバック徳川慶喜・(04)将軍候補

徳川御三卿のひとつである一橋家。

御三卿は将軍家の家族という扱いであるため
独自の領国を持たず江戸城内に屋敷があって
参勤交代もする必要がないわけですが、

それがゆえに、将軍薨去ともなれば
真っ先に挨拶に出向かなければならないという立場も
存在するわけです。

さっそくお悔やみを述べにお城に上がる慶喜ですが、
江戸城内がペリー来航による大混乱に陥っているため
将軍の葬儀どころの話ではなく、
家慶の死自体を表沙汰にしていない有り様であります。

そして、将軍後見となった実子の徳川家定は
身体がえらく弱く、じっと座っていることさえも辛そう。
家定が気を失ってのけぞった時のために、
後ろに支えるための家臣が控えているほどです。


福井藩主・松平越前守慶永が登城しました。

筆頭老中の阿部伊勢守正弘は、
日本という国の方向性を考えたとき
徳川斉昭にリードしてもらうのが一番なのですが、

斉昭の後ろには多くの攘夷論者がいて
その導く方向を間違えかねないわけですが、
まずは斉昭に、京都と攘夷論者を
抑え込ませておく必要があります。

そのために、
斉昭にウンと言わせるための交換条件ではありませんが
家定が将軍を継いでしまう前に
阿部は慶喜を家定の養子に設定しておきたいわけです。

これは、家慶自身の考えでもあったのですが、
その家慶が亡くなっていることが
表沙汰になっていない以上、内々に進めなければなりません。


慶喜は、深い笠をかぶって江戸浅草の町を探検します。
四六時中、家臣たちに見張られていて息が詰まったのでしょう。
連れて来た親しい家来たちにも、目上に対してではなく
あくまでも仲間として接するように命じます。

ただ、幼いころから従って来た倉石左衛門には
そのような慶喜の言動を諌めなければと思ったらしく
町衆たちが酒を楽しんでいる中、大声で諫言しますが
他の武士たちが「うるさい」とクレームを入れてきました。

それに対して、よせばいいのに
「名を名乗れ」などと慶喜が言うものだから、
相手の男と一触即発の状態になってしまいます。

その時、食べていたそばを男に蹴っ飛ばされたらしく
新門辰五郎の女房・れんが激しく怒ってきて
謝れ、頭を下げろと江戸っ子よろしく割り込んできます。

男も負けじと言い返すのですが、
ふと気づけば、を組の者たちに囲まれてしまっている男。
やる方なく、すごすごと退散するしかありません。

慶喜は、そんなれんを尊敬の眼差しで見ています。


斉昭は、阿部の要請を受けて
藤田東湖や戸田忠太夫らを水戸から呼び寄せ
「海防参与」として幕政に関わることになりました。

斉昭は、江戸の防備のために
まずは大砲を鋳造することにし、
あとは将軍として慶喜を送り込む──。

斉昭の野望は大きいわけですが、
この話が気に入らないのか
慶喜にはまるで将軍を継ごうという気はないらしく
せっかくの話を断ってくるほどであります。

「養子に出されるのは一度だけで充分にございます」
慶篤の後釜として、斉昭の手元に置かれていた慶喜ですが、
その約束に反し、守るべきはずの水戸を捨てて
なぜ自分だけが急に江戸に行かされたのか。

だからこそ、たとえ自分のためによかれと思って
勝手に養子縁組をされたって、従えないわけです。
自分が思う道を進むのみです。


嘉永7(1854)年1月。
ペリーが乗った艦隊が浦賀に再来航。

この難局を、将軍職を継いだばかりの家定は
乗り切ることが出来るのか。
そして、何だかんだ言っても慶喜は
運命からか事件に巻き込まれていきます。


嘉永7(1854)年1月16日、
ペリー率いるアメリカ海軍東インド艦隊旗艦が
7隻の軍艦を率いて浦賀沖に迫り、早期の条約締結を求める。

慶応3(1867)年10月14日、
徳川慶喜が明治天皇に『大政奉還』を上奏するまで


あと13年9ヶ月──。

(『篤姫』では「(8)お姫様教育」〜「(14)父の願い」付近)


脚本:田向 正健
原作:司馬 遼太郎「最後の将軍」より
音楽:湯浅 譲二
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[出演]
本木 雅弘 (徳川慶喜)
菅原 文太 (徳川斉昭)
若尾 文子 (吉子)
鶴田 真由 (徳信院直子)
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林 隆三 (松平越前守慶永)
岸田 今日子 (松島)
大原 麗子 (れん(語り))
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制作統括:高橋 幸作
演出:竹林 淳

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