大河ドラマ花燃ゆ・(11)突然の恋 〜松下村塾に舞い降りた運命の神のいたずら〜
安政4(1857)年11月──。
吉田松陰の塾は、訪問者を身分に関わらず受け入れる
型破りな学舎として広く知られるようになり、
叔父の玉木文之進の塾であった松下村塾の名を
正式に譲り受けることとなりました。
女性たちだけを集めた『女大学』では
女子に大切なのは顔かたちではなく心映えだ、と説きます。
文をはじめ滝や亀らも参加して松陰の講義を聴講しますが
「兄上の女大学のご講義があれほどつまらんとは……」(by 文)
江戸留学中の吉田稔麿から、文にはお菓子作りの本が
そして久坂玄瑞には書状が届きました。
書状には、ハリスの謁見を将軍徳川家定が許したと
したためられていました。
かねてから幕府に対し、
通商条約締結を迫っていたアメリカは下田に艦隊を送り、
アメリカ領事ハリスと将軍との会見を強く要求したわけです。
それに伴い、その対応に苦慮した幕府から
ハリスから迫られた通商条約の締結についてどう対処すべきか
意見を広く求めてきました。
小田村伊之助は、
武力で脅されて通商条約を結んだとなれば、
日本は他国から武力で脅しさえすれば
言うことを聞く国だと侮られてしまう、と危惧。
日本も力をつけることが肝要、と主張しますが
「幕府と事を構えて、我が藩によいことがあるか?」と
椋梨藤太に尋ねられます。
椋梨曰く、広く意見を求める、としながらも
幕府が欲しているのは、つまり
通商条約への賛同の声であるのです。
意見書もそのようにまとめておけ、と指示されて
自分の主張とは真逆のことであるだけに
伊之助の表情は曇ってしまいます。
椋梨の妻・美鶴主催の会合があるそうで、
伊之助の妻として参加することになる寿は
文に、美鶴らの口に合うようなお菓子作りをするように
半強制的に仕向けますが、
松下村塾に出入りする塾生たちへ出す
おにぎり・おつけものなどの準備で
文にはお菓子作りをする時間的余裕がありません。
寿は、講義中の松陰に
文は塾の女中ではない、と食って掛かり
もし文の結婚相手を塾生から探すつもりなら無用、
私が探します、といきり立ちます。
その上で、寿は久坂を指さし
文が美鶴主催の会合に出向く際の
用心棒になるように命じるわけです。
そしてその当日。
文はレシピ通りにようかんを作って椋梨邸に持っていき
久坂はぶつぶついいながら文の後を歩いていきます。
ただ、久坂は用心棒というわけで
椋梨屋敷には足を踏み入れるのは叶わないわけですが、
中の様子をのぞきこんでいると、家人に捕まえられてしまいます。
美鶴の前に連れ出された久坂の前で
寿が文本人への断りもなく
文への縁談話の依頼をしたものだから、
文も久坂もびっくりしてしまいます。
寿には寿なりの 文への思いがある、
たとえ行き違いがあっても、お互い思い合う気持ちがあれば
ふっと分かることもある──。
滝はそう教えてくれました。
久坂が珍しく酒をあおっています。
そこに通りかかった伊之助が久坂の相手をするわけですが、
久坂は“思いとは裏腹のことをしてしまう自分”を
悩んでいるようです。
人間、誰しも自分自身の思いとは別のことをやっている、
くだらない悩みだ、と伊之助は笑います。
伊之助の死んだ父が、まさに自分の思いを曲げずに生き、
そして死んでいったこともあって
伊之助は父のようには絶対にならないと思って今を生きているし
その話を聞いた久坂は、素晴らしいお父上だ、
自分を曲げない生き方をしたいと憧れます。
「あいつにはどねな見栄も体裁も通じん。見透かされてしまう」
久坂の悩みの相手が文と気づいた上で
そっとアドバイスを送る伊之助ですが、
久坂は酒につぶれてしまって、その声は届いていません。
同じとき、美鶴主催の香の会から帰った文は
塾で久坂の姿を探してしまいます。
反発する時は全力で反発するけれど
自分を思いやってくれる礼儀正しいところもある。
なぜだか脳裏に久坂の笑顔が浮かんで
ちょっと気になる存在なわけです。
幕府への意見書がまとまりました。
通商条約については、さらに吟味の上で締結を──。
この椋梨の意見に、異論はないと
伊之助や周布政之助ら一同は声を揃えますが、
自分の意見を持っている伊之助はいたたまれなくなり
「しばらく!」とマッタをかけます。
今、異国の言うままに通称を承諾してしまっては
日本はいずれ、清国のように金銀と土地を収奪され
異国の侵略を許してしまうことになる。
三方を海に囲まれた長州だからこそ
異国の脅威を幕府に説くことが出来る。
このように幕府に尽くすことが出来るのは、
日本国の中でも長州だけだ。
幕府は同意ではなく、意見を求めている。
諸外国の武威に屈しての通商条約は時期尚早だと
はっきり意見することこそ、幕府への何よりの忠義である──。
こんこんと毛利敬親に説く伊之助の意見に
いち早く賛同したのが周布でありまして、
この場の意見は、大方は伊之助寄りと逆転しました。
敬親は、早急に藩内の意見をとりまとめるよう周布に命じます。
そして、独断で事を進めた椋梨は政務役から外されてしまいます。
ある日の夕方、松陰は文を呼び出します。
呼ばれていった部屋には久坂が座っているわけですが、
「お話があります」と口を開いた松陰は
伊之助がよこした手紙を読み上げます。
「こたび塾では、新しい学舎を得たと聞く。
若き塾生らと新たな福堂を得たお前に
友としてひとつ進言をしたい。
決して己を曲げられん男がおる。
掲げた志を胸に、暗い道を
ひたすら歩く事の出来る男じゃ。
女がおる。
温かく人を見つめ、寒風にも決して折れぬ
樹のような女じゃ」
お前たち、夫婦になれ──。
始めこそ、どこか遠くの話をしているように
松陰の話を聞いていた文でしたが、
スッと手をついて頭を下げます。
「謹んで、お受け致します」
思い合う気持ちがあれば、必ず幸せに近づける。
そう信じているし、信じたい気持ちもあるかもしれません。
ええんか? と久坂は文の気持ちを確かめますが、
文は、久坂を真っすぐ見て
曇ってはいない純粋な目で分かっていると頷きます。
「はい。夫婦です」
胸の辺りがキュッと、ドキドキしていると言うと
やれ横になれだの、飯は食うとるかだの心配する久坂。
あ、久坂の本業は医者でしたなw
文と久坂の結婚が、こうして決まりました。
作:宮村 優子
音楽:川井 憲次
題字:國重 友美
語り:池田 秀一
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[出演]
井上 真央 (杉 文)
大沢 たかお (小田村伊之助)
伊勢谷 友介 (吉田寅次郎(松陰))
高良 健吾 (高杉晋作)
東出 昌大 (久坂玄瑞)
原田 泰造 (杉 梅太郎)
優 香 (小田村 寿)
瀬戸 康史 (吉田稔麿)
劇団 ひとり (伊藤利助)
佐藤 隆太 (前原一誠)
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若村 麻由美 (椋梨美鶴)
石丸 幹二 (周布政之助)
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内藤 剛志 (椋梨藤太)
檀 ふみ (杉 滝)
長塚 京三 (杉 百合之助)
北大路 欣也 (毛利敬親)
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制作統括:土屋 勝裕
:小松 昌代
プロデューサー:堀之内 礼二郎
演出:末永 創
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『花燃ゆ』
第12回「戻れないふたり」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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