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2015年4月26日 (日)

大河ドラマ花燃ゆ・(17)松陰、最期の言葉 〜今夜対決! そして新時代へ〜

安政6(1859)年10月26日、江戸・伝馬町の牢──。

吉田松陰は、牢の中で歌を詠みます。
呼びだしの
 声まつ外に 今の世に
  待つべき事の なかりけるかな


その4ヶ月前、
松陰の最初の取り調べの数日前のこと。

岩倉獄につながれている入江九一・野村 靖兄弟にも
松陰の現況を知らせに行く文。
そして、その入江・野村兄弟に謝りたいと獄に現れた前原一誠。

兄弟の妹・すみは、文にも前原にも、
もう獄には来ないでほしいとつぶやきます。

兄弟が獄から出られたら、すみが望んでいたように
今度こそ家族水入らずで暮らせるかもしれないため、
文や前原に団らんをぐちゃぐちゃにされたくないという気持ちが
もしかしたらあったのかもしれません。

文としては、松陰不在の間だけでも、自分こそが
塾生たちの支えになってやらねばと考えていたわけですが、
いっそ塾や松陰から離れたほうが
幸せになれる人もいるかもしれないと考えたとき、
ふと寂しさを覚える文です。


最初の取り調べの前日、
牢で同室の沼崎吉五郎がこっそりと教えてくれます。

“お白洲で先生の話に感じ入るヤツがいたら、それは罠だ。
 無駄死にしたくないなら、褒め言葉には乗るな”
つまり、安心させて本音を引き出そうという魂胆なのです。

そして迎えた取り調べ当日、7月9日──。

主に梅田雲浜との関わりを調べられますが
松陰が堂々と潔白を主張すると、
奉行たちはそれ以上は問いただそうとはしませんでした。
松陰の罪となることを、何一つつかんでいなかったわけです。

そこで、あろうことか……。
「実は私は、死罪に当たる罪を犯しております」
と、自ら話し出してしまいます。

そなたの憂国の一念 相分かった、と笑った奉行は、
国を思う上での立派な行い(つまり、松陰が
“死罪に当たる罪”と言った内容)について
聞きたいと身を乗り出します。

脳裏に、沼崎の“罠だ”という言葉がこだましますが、
ここは奉行の気持ちにかけて、説得してみることにした松陰。
老中・間部詮勝を京で待ち伏せし、死を覚悟でお諌めしようとしたことを
ついに告白します。

もしお諌めし、聞く耳を持たなかったら?
刃を向けるつもりであったのか?
「ふっ……そこまでは考えておりませなんだ」


松陰の罪を何一つ掴んでいないことを知った長州藩は
江戸滞在中の高杉晋作を、松陰とのパイプ役に抜擢するのですが、
父の高杉小忠太は、これ以上松陰と関わりを持たせたくないと
縁談があるゆえに長州に戻してほしいと申し出ます。

まぁ、縁談という理由は後付けであって、
長州に戻してほしいという申し出の後で
嫁探しに奔走するわけですが(笑)。

ともかく、晋作に萩への帰還命令が出たのは
それから間もなくのこと。
もっともっと松陰に学びたかった、と
晋作は柵を叩いてくやしがります。


10月5日、松陰は再び御白洲に連れ出されて
取り調べが再開されます。
扇をパチンと鳴らした音で、松陰は
奥に井伊大老が身を潜めているのに気づきます。

己の意見を幕閣トップに聞いてもらえる
絶好のチャンスが巡ってきました。
それもコチラからではなく、あちらから自ら。
パッと、希望に満ちあふれた表情に変わります。

ただ、取り調べを担当する奉行たちは
“老中と刺し違えようとした”“不敬である”などと
松陰を大罪人に仕立て上げようとするのは明白で、
松陰は、そのひとつひとつを冷静に否認しているわけですが、

「天子様のお許しを得ず、メリケンとの条約を結んだ
 井伊様こそ不敬の至りでござる!」
松陰の賭けが始まります。

「若き日、私は日本国中あらゆる土地を歩き回りました。
 どの地にも人がいて暮らしがあり
 みな己の幸せを信じて懸命に生きていた。
 その営みを脅かすものがあるならば
 異国であろうと御公儀であろうと、私は戦いを挑む覚悟──」

>国を混乱に陥れているのは、お前たちのほうではないか?

「我らはただ、我らの思う一歩を踏み出し
 国を救いたいと思うておるのみ。
 異国の大筒に脅され、国を開いては
 いずれ日本国は、異国の思うがままにされてしまいます」

>なればこそ、国は強くなければならぬ。
>異国に国を開き、異国の手を借りてでも。

「草莽の声に耳をお傾けくだされ!」

>秩序を欠いては、国は国でなくなる。

「もはやこの国は、ただ一握りの者たちでは持ちこたえられませぬ。
 万人が力を尽くし、守らねば……!!
 徳をなくした政の果ては、亡国にございます」

許さぬ、と井伊がつぶやいたため、
奉行が慌てて松陰を引っ立て連れて行くように命じます。


10月27日。
松陰は沼崎に、したためた冊子を託します。

その名は──『留魂録』。

何冊も何冊も書き上げたうちの、最後の一冊です。
長州の者にも託そうとは思っているのですが、
何らかの事情で萩まで届かないかもしれません。
だからこそ、萩とは無縁の沼崎に、保険で託しておきたいのです。


江戸から伊之助が戻ってきました。
座敷で、伊之助は無言のまま品々を並べます。

親思ふ
 こころにまさる 親ごころ
けふの音づれ 何ときくらん

「10月27日、これを残して寅次郎は……」


井伊直弼による安政の大獄は
松陰吉田寅次郎の処刑をもって幕が引かれることになりました。


作:宮村 優子
音楽:川井 憲次
題字:國重 友美
語り:池田 秀一
──────────
[出演]
井上 真央 (久坂 文)
大沢 たかお (小田村伊之助)
伊勢谷 友介 (吉田寅次郎(松陰))

高良 健吾 (高杉晋作)
東出 昌大 (久坂玄瑞)

原田 泰造 (杉 梅太郎)
優 香 (小田村 寿)

佐藤 隆太 (前原一誠)
要 潤 (入江九一)
劇団ひとり (伊藤利助)
──────────
石丸 幹二 (周布政之助)
佐藤 二朗 (沼崎吉五郎)
羽場 裕一 (長井雅楽)
北見 敏之 (高杉小忠太)
橋本 じゅん (石谷穆清)
きたろう (梅田雲浜)
──────────
檀 ふみ (杉 滝)
奥田 瑛二 (玉木文之進)
長塚 京三 (杉 百合之助)
高橋 英樹 (井伊直弼)
──────────
制作統括:土屋 勝裕
    :小松 昌代
プロデューサー:堀之内 礼二郎
演出:渡邊 良雄


◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆

NHK大河ドラマ『花燃ゆ』
第18回「龍馬!参上」

デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜

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