プレイバック徳川慶喜・(18)桜田門外の変
安政6(1859)年に入ると、攘夷派への捕縛、謹慎等は激しさを増し
徳川斉昭の家臣たちを始めとして、斉昭に味方したというだけなのに
鷹司太閤親子も止めさせられるというところまで悪化します。
ただ、一橋慶喜も謹慎中であるため、何もできません。
慶喜ほどの人物でも、寝っ転がって
永原帯刀の書いた戯曲を読んで気分を紛らわします。
「う〜ん、実にくだらない」
一橋家に長年に渡って仕えた土岐朝義が倒れました。
土岐は、水戸に下った密勅を返納しないのは
大老井伊直弼の命を狙っているからだとして、幕府としては
水戸藩主・徳川義篤を隠居させて全くの別人を送り込み、
新たな水戸藩を作り上げたい意向だと教えてくれます。
土岐は間もなく、帰らぬ人に。
いよいよ幕府が動き出しました。
斉昭の家臣たちは斬首となり、斉昭は水戸に永蟄居。
慶喜は隠居謹慎の罪を背負い、
一橋家の当主でなくなったわけです。
妻・美賀や養母の徳信院直子、乳母の松島らはとても悔しがりますが
今回の処分は、井伊大老が仕組んだこととは家将軍から出たことであり
それに逆らっては徳川宗家に逆らうこと、と
慶喜は黙って受け入れることにします。
大老を襲うという計画が露呈したからとはいえ
水戸藩関係者への過度な弾圧は、水戸藩士たちを
暴発させかねないと老中たちは危惧しますが、
自分たちの命を狙うことがすなわち
日本を滅ぼすことにつながると
薩摩や水戸の藩士たちには分かってもらえないと嘆く井伊。
これからは、自由な貿易が出来るようになるわけで、
外国人が日本の町を出歩く日もそう遠くはありません。
そんな日が訪れても、安全な日本であるように
攘夷論者は早めに消し去らなければなりません。
孝明天皇が水戸藩に発した密勅ですが、関白九条尚忠によれば
それを拡大解釈した水戸藩士たちが決起しようとしているとか
薩摩や越前などが京に兵を送って天皇を奪い、
幕府転覆を狙っているとかいううわさ話をさんざん挙げ、
発した密勅を水戸藩に戻させるように
勅命を出すべき、と孝明天皇に提案します。
もしその勅命を出したとき、死罪になる者はいなくなるというので
天皇としても大いに悩むところです。
しかし、水戸藩は
密勅が取り消されたら自分たちの義がなくなる、と
井伊大老への攻撃は更に拍車がかかってしまいます。
安政7(1860)年3月3日・桜田門 外──。
前日降り積もった雪は道を覆い隠し、
しかしこの日の朝は晴天で
空の青と地の城のコントラストが非常に眩しいです。
防寒のため、井伊大老の従者たちは
刀に皮を巻き付けています。
「お願いにございまする──」
行列の先頭に向かって飛び出た浪士ですが、
何事じゃ、と応対した武士をまたたく間に斬殺。
鉄砲の音を合図に、数十人の浪士たちが
井伊の駕篭目がけて走り出します。
駕篭を守ろうという従者たちを次々に斬り倒し
浪士たちは、駕篭に刀を突き刺します。
「逆賊、井伊掃部頭、天誅!」
水戸に戻っていた斉昭は胸を押さえて倒れ込みます。
安政7(1860)年3月3日、
江戸城桜田門外で水戸藩脱藩浪士と薩摩藩士の計18名が
彦根藩の行列を襲撃、大老・井伊直弼を暗殺する。
慶応3(1867)年10月14日、
徳川慶喜が明治天皇に『大政奉還』を上奏するまで
あと7年7ヶ月──。
(『篤姫』では「(30)将軍の母」〜「(32)桜田門外の変」付近)
脚本:田向 正健
原作:司馬 遼太郎「最後の将軍」より
音楽:湯浅 譲二
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[出演]
本木 雅弘 (徳川慶喜)
菅原 文太 (徳川斉昭)
若尾 文子 (吉子)
石田 ひかり (美賀)
鶴田 真由 (徳信院直子)
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花柳 錦之輔 (孝明天皇)
水野 真紀 (たみ)
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宝田 明 (鷹司政通)
佐藤 慶 (永原帯刀)
岸田 今日子 (松島)
杉 良太郎 (井伊掃部頭直弼)
大原 麗子 (れん(語り))
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制作統括:高橋 幸作
演出:富沢 正幸
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