プレイバック徳川慶喜・(25)将軍後見職
罪を許された徳川慶喜は
晴れて自由の身になれはしましたが、
特に将軍より呼び出しがあるわけでもなし
とりあえずは汗でも流すかという感じで家臣と剣道の手合わせ。
同時期に罪を赦された
越前福井藩主の松平春嶽はさっそく江戸城に登城。
政事総裁職という、いわば幕政の相談役に抜擢されます。
そして、将軍もいい年齢なので
後見役も必要ないと言われていた将軍後見職に、
春嶽は徳川慶喜を推挙。
さらに、薩摩藩の島津久光が
勅使に随行して江戸に下って来るという噂を耳にし
藩主の実父というだけの、単なる地侍である久光が
幕府に対してもの申すというだけでも由々しき事態と主張。
だからこそ慶喜が必要と力説します。
その一方で、大奥の一切合切を取り仕切る総取締の瀧山は
「大奥なんか取り潰せ!!」と言ってのけたという徳川斉昭の
実子である慶喜が将軍後見職として江戸城に入ることに大反対。
何としても慶喜登城を阻止したい考えです。
幕政をつかさどる老中たちも慶喜の存在には頭を悩ませ、
将軍後見職といった幕府の要職ではなく、
表向きは水戸藩のピンチを救うべく、水戸藩へ養子として
送り返す以外に方法はないとため息をつきます。
文久2(1862)年5月、イギリス公使館を警護している松本藩士が
公使館の異人を斬ってしまったことから大問題になりました。
第二次東禅寺事件です。
6月に入ると、朝廷から勅使として大原重徳が到着し
10年以内に全ての外国人を追放すること、
慶喜を将軍後見職に、春嶽を大老に就任させること、
などを将軍徳川家茂に伝えます。
実は後ろで手綱を握っているのは
今日から随行してきた島津久光でありまして、
亡き兄・島津斉彬の遺言通り、慶喜と春嶽を
政治の表舞台に立たせるという約束は果たしたいようなのです。
そのためには大原に、
何としても老中たちを説得してもらわなければなりません。
薩摩藩の大久保一蔵は、勅状の通りにならなければ
大原に部屋から出て行ってもらえば、
あとは息をひそめて隠れている武士たちが斬り込んで
老中たちに天誅を加えるという段取りを説明します。
さて、大原の度重なる説得にも
「こちらにはこちらの事情がある」と突っぱねる老中たちですが、
大原が、武士たちが隠れる部屋のほうをチラチラと見ていたものだから
老中たちもさすがに気づいて、しばらくの猶予をもらって引き下がります。
老中が一橋家を訪問してきました。
何としても将軍後見職に就任してもらいたいという懇願です。
とはいえ、慶喜は
何もしていないのに幕府によって勝手に罪を着せられ
罪は許されたにせよ、慶喜は未だに隠居の身であり、
都合が悪くなれば手のひらを返したように持ち上げられると
さすがに理不尽極まりないわけです。
とはいえ、将軍直々の任命にはさすがの慶喜も逆らえず
慶喜は将軍後見職として就任することになりました。
文久2(1862)年7月6日、
徳川慶喜を将軍後見職に、松平春嶽を政事総裁職に
任命させることに成功する。
慶応3(1867)年10月14日、
徳川慶喜が明治天皇に『大政奉還』を上奏するまで
あと5年2ヶ月──。
(『篤姫』では「(37)友情と訣別」付近)
脚本:田向 正健
原作:司馬 遼太郎「最後の将軍」より
音楽:湯浅 譲二
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[出演]
本木 雅弘 (徳川慶喜)
石田 ひかり (美賀)
鶴田 真由 (徳信院直子)
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堺 正章 (新門辰五郎)
清水 美砂 (よし)
山下 真司 (ガンツム)
三條 美紀 (とき)
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藤岡 琢也 (中山五郎左衛門)
林 隆三 (松平春嶽)
佐々木 すみ江 (瀧山)
園 佳也子 (高部)
岡村 喬生 (大原重徳)
江守 徹 (島津久光)
大原 麗子 (れん(語り))
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制作統括:高橋 幸作
演出:吉田 雅夫
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