大河ドラマ花燃ゆ・(35)孤高の戦い 〜夫の裏切りに奥御殿も揺れる〜
長州再征討の勅許が下り、全国32藩に出兵が命じられて
幕府軍は広島に陣を進めていました。
幕府軍総督・徳川茂承、副総督・本荘宗秀が任に当たります。
それに対する長州軍は、下関駐屯所に集結。
芸州口、石州口、周防大島口、小倉口、萩口──。
幕府軍はこの5方面から長州に侵攻してくるようです。
この5つの入口のいずれも、突破されては非常に厄介です。
長州軍としては、そのいずれも取られないようにすべきですが、
武士・百姓・町人が総力を挙げて戦うと言えども
その兵隊の訓練や仕官養成、新式小銃の扱いに慣れるための訓練など
もう少し時間が欲しいところであります。
小田村伊之助は、嘆願書を持って広島に乗り込むことにします。
毛利家の罪状をすべて否定した上で
談判に持ち込み、時間稼ぎをするつもりなのです。
京では桂が薩摩藩と密約を結ぼうとしているし、
何せ長州には、海軍総督・高杉晋作という風雲児もいます。
広島に到着した伊之助は
藩主・毛利敬親も、世継ぎ・毛利元徳も、
その子・興丸も流行病で臥せっていて、
広島に出頭が出来ないと弁明します。
それどころか、長州藩内の著名な武士たちはみな
流行病か脱藩で、だれも来れない、と。
怒った総督、そりゃ伊之助を捕らえてしまいますわな。
進軍を始めた幕府軍ですが、
薩摩藩が長州への出兵を取りやめたという朗報が舞い込みます。
薩摩だけでなく、広島、宇和島藩も出兵しないとのこと。
この戦に大義がないため、というのがその理由です。
南部方面の諸藩が来ないとなれば
小倉口からの侵入は難しくなりますが、
それでも、数に勝る幕府軍は
残り4口のうち、周防大島口からの侵入を開始します。
砲弾が撃ち込まれ、民家が焼き払われ、
女子どもに至るまで犠牲になり、大島は攻め取られてしまいます。
「討てい!」
珍しく怒った“そうせい様”敬親は、
高杉小忠太にそう命じます。
慶応2(1866)年6月12日、
周防大島近海の幕府軍艦停泊場──。
長州軍艦「丙寅丸(へいいんまる)」に乗り込んだ晋作は
そーっと幕府軍艦に近づき、いきなりの夜襲で砲撃を開始。
幕府軍の兵がみな、長州を滅ぼすべしと考えているならば
必死に抵抗し、逆襲をするはずですが、
所詮はやとわれ兵士なわけで、砲撃を受けて
幕府軍はアッという間に逃げてしまいます。
「おなごがおりました」
萩から下関へ、晋作のお世話をするために向かった雅でしたが
人づてで、晋作にお妾さんがいることを知ってしまいます。
雅は美和に会いに山口にやってきたわけですが、
誰にも話せない心情を美和にだけ吐露します。
美和の脳裏にも、夫・久坂玄瑞が
京の芸妓・辰路と情を交わした、と告白する
シーンがよみがえります。
諸藩の寄せ集めである幕府軍はまとまりを欠き
長州軍が各地で勝利を収めていました。
石州口では、兵学者・大村益次郎が自ら指揮を執り
大村の西洋式酸兵戦術は幕府軍を圧倒します。
囚われの身の伊之助は、
副総督・本荘に和議を持ちかけてみます。
幕府軍としては圧倒的に不利な戦なので、
もし釈放して山口と下関に派遣してくれるなら
不利益な戦を和平に転じてみせましょう、とニッコリ。
その話に乗った本荘は、今こそチャンスと
自分の一存で勝手に書状をしたためて伊之助に持たせます。
ところが。
届いた返書には“和睦には応じず、あくまで戦い抜く構え”とあり。
それがきっかけで本荘の軽挙妄動が表沙汰となります。
大坂に召還され御役御免、厳罰も覚悟せざるを得ません。
牢の中で、せせら笑う伊之助です。
緒戦は快勝した芸州口が、苦戦しています。
晋作は、彦根藩他が逃げ出したと敵地で触れ回らせ
敵の混乱を招き、そこを一気に奇襲で襲撃する策に出ます。
「長州男児の腕前を日本中に知らしめるんじゃ」
小倉口は、幕府軍が九州雄藩を集結させていた場所ですが、
晋作は、その門司田野浦に奇襲をかけようとしますが、
直後に咳き込み、バタン!と倒れてしまいます。
みな驚いて晋作に駆け寄りますが、
気力で立ち上がった晋作は、この戦に勝利するために
あの“化け物”を叩く、とつぶやきます。
化け物、とは、幕府海軍主力艦の『富士山丸(ふじやままる)』で
晋作は富士山丸に小舟を近づけ、砲撃を加えましたが、
次々命中するも、巨大な軍艦を破壊するほどの痛手には至らず。
しばらく行方をくらませていた富士山丸ですが、
ある時突然、丙寅丸の前に姿を現します。
煙を出していない軍艦は ただの塊、と、
晋作は富士山丸にそっと寄せさせ砲撃を再開します。
一方、誰も予想だにしなかったことが起きます。
大坂で、第14代将軍・徳川家茂が薨去したのです。
その知らせにより、旗印を失った幕府軍は完全に戦意を喪失。
奮闘していた小倉藩は援軍を得ることが出来ず、
自ら城に火を放って退却します。
『幕長戦争』は、長州軍の歴史的勝利に終わります。
広島から伊之助が戻ってきました。
敬親は大喜びで伊之助を出迎え、労ります。
今後も毛利家のため、萩のために働いてくれと言葉をかけ
感激した伊之助は、二つ返事で受け入れます。
そして、美和は都美姫に呼び出されます。
山口の奥で、誰もが“命を捨てて戦う”と宣言する中、
「興丸とともに逃げ、来たるべき復興の時まで守り通す」と言い、
敵軍が山口城にまで迫った時にどういうルートで脱出するかまで
頭の中でシミュレーションしていた美和を、都美姫は評価します。
奥での美和の身分を中臈とし、
家名断絶していた久坂家を再興させるお許しを
敬親より得たと伝えます。
涙を流して感激する美和です。
作:金子 ありさ
音楽:川井 憲次
題字:國重 友美
語り:池田 秀一
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[出演]
井上 真央 (久坂美和)
大沢 たかお (小田村伊之助)
高良 健吾 (高杉晋作)
原田 泰造 (杉 梅太郎)
優 香 (小田村 寿)
田中 麗奈 (銀姫)
劇団 ひとり (伊藤利助)
佐藤 隆太 (前原一誠)
三浦 貴大 (毛利元徳)
石橋 杏奈 (鞠)
江口 のりこ (日出)
黒島 結菜 (高杉 雅)
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鈴木 杏 (辰路)
北見 敏之 (高杉小忠太)
鷲尾 真知子 (潮)
銀粉蝶 (園山)
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檀 ふみ (杉 滝)
松坂 慶子 (都美姫)
北大路 欣也 (毛利敬親)
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制作統括:土屋 勝裕
:小松 昌代
プロデューサー:堀之内 礼二郎
演出:末永 創
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『花燃ゆ』
第36回「高杉晋作の遺言」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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