プレイバック徳川慶喜・(35)母の苦悩
天皇のお膝元、京都で勃発した戦。
徳川慶喜は、果敢にも戦場へ飛び出して行きます。
しかし、一発の銃弾が慶喜の身体を貫き──。
「殿ーッ! 殿をお運びいたせッ!!」
後方へ運ばれて行く慶喜ですが、パッと目を覚まします。
どうやら鉄砲玉は身体を貫いたのではなく、
頬をかすめていって、慶喜は気絶していたようです。
慶喜は、長州勢を追い払うためにも
京の屋敷に火をかけさせます。
おかげで長州勢を追い落とすことが出来ましたが
京の町は焼け野原になってしまいました。
そのころ、江戸では新たな問題に直面していました。
攘夷決行期限に合わせて、長州藩が
関門海峡を通過する外国船に無通告で砲撃を加えた下関事件で、
イギリス・フランス・オランダ・アメリカの4ヶ国が
長州に対して報復に動き出したとの神奈川奉行からの報告です。
恐らくは、蛤御門の変(禁門の変)で都を落ちた長州の話を聞いて
長州を潰すのは今だ、と狙いを定めた模様。
幕閣は、長州はいよいよ終わりだ、と悲観的観測です。
果たして、4ヶ国の連合艦隊は
それから間もなく横浜港を出港していきます。
孝明天皇は慶喜に、長州藩を征伐する勅命を下します。
宿舎に戻った慶喜は、家臣たちにテキパキと指示を出して
長州征伐の準備にかかります。
しかし、気になるのは水戸藩の動きです。
藩内の尊皇攘夷派である天狗党を率いる藤田小四郎たちは
慶喜が推進した横浜港鎖港を幕府がなかなか実行しないことに業を煮やし
筑波山にて挙兵したわけですが、鎮圧のために差し向けられた
幕府軍をも凌ぐ力で、もはや手が付けられません。
藩は武田耕雲斎らを説得に向かわせますが、
その耕雲斎らこそが、幕府にいい顔をしながらも
天狗党に肩入れする有り様で、藩内は混乱を極めています。
慶喜は、天狗党が幕府よりも力が勝ってしまうと
いずれ水戸藩自身が幕府の敵となってしまう可能性を示唆し
何としても天狗党を鎮圧させる方向に持って行きたいようです。
天狗党一派を水戸城に入れてしまっては、幕府から
水戸藩は幕府に対して楯突く存在であると認められてしまうため
藩士たちは天狗党一派を場内から締め出したわけですが、
水戸藩が天狗党ともう一方の諸生党の2つに分裂しているのを
危惧している貞芳院(吉子)は、城門を開けて天狗党も場内に入れ
分裂している藩を一つにまとめようとします。
しかしそのとき、城から締め出されたことに立腹した
天狗党の者たちが城に向かって砲撃を始めます。
同じ藩内の者たちが分裂して、お互いがお互いを攻撃する。
そんな状況に、貞芳院は自ら城外へ出て行って
天狗党と諸生党の双方を説得します。
「元は同じ水戸の生まれではありませぬか!
話し合えば分かり合えることではありませぬか!」
貞芳院の、命がけの説得は続きます。
長州に、連合艦隊が到着し
たちまち砲台を占拠されてしまいました。
さすがの長州藩もお手上げであります。
幕府としては、弱体化した今
長州を攻める絶好の好機なわけですが、
長州藩は連合艦隊と和睦してしまいます。
「やはりな」
長州には油断してはならぬ、と慶喜はつぶやきます。
元治元(1864)年8月22日、
水戸藩天狗党と諸生党が水戸城内外を挟んで全面衝突する。
慶応3(1867)年10月14日、
徳川慶喜が明治天皇に『大政奉還』を上奏するまで
あと3年1ヶ月──。
(『篤姫』では「(40)息子の出陣」付近)
脚本:田向 正健
原作:司馬 遼太郎「最後の将軍」より
音楽:湯浅 譲二
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[出演]
本木 雅弘 (徳川慶喜)
若尾 文子 (吉子(貞芳院))
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花柳 錦之輔 (孝明天皇)
渡辺 徹 (西郷吉之助)
田辺 誠一 (藤田小四郎)
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宝田 明 (鷹司政通)
有馬 稲子 (清子)
佐藤 慶 (永原帯刀)
大原 麗子 (れん(語り))
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制作統括:高橋 幸作
演出:富沢 正幸
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