プレイバック翔ぶが如く・第一部幕末編(27)王政復古
薩摩は、ついに討幕の密勅を手に入れますが
坂本竜馬提唱の大政奉還で、
将軍徳川慶喜は名を捨て、実をとったわけです。
討幕の名目は、ここで潰えた……かに見えました。
しかし西郷吉之助、大久保一蔵らは、
討幕の密勅をどうにか活かしたいと模索しています。
慶応3(1867)年11月、薩摩から藩主島津茂久が
兵を率いて上洛することになりました。
国父島津久光は、有村俊斎とともに薩摩でお留守番です。
そして今回の出府には、西郷家から
次男西郷吉二郎も参加することになりました。
京では、吉之助と一蔵が
討幕軍としての準備に取りかかります。
岩倉具視は、薩摩軍が官軍である証として
誰が見ても分かるように錦の御旗を用意させます。
吉之助と一蔵の最大の懸念は、
土佐の山内容堂の動きであります。
土佐藩が幕府軍につくか討幕軍につくかは
前藩主の容堂がカギを握っていました。
吉之助は、何としてでも味方に引き入れたいところですが
計画の一端は、その容堂から漏れてしまうのです。
容堂は松平春嶽を連れて慶喜の前に引き出し
密勅に縛られて幕府討伐軍を出すのか、と迫ります。
春嶽は、密勅だから否とは言えずと言葉を濁し
かといって将軍家に弓引くつもりは無いと弁明。
慶喜も、越前藩謀反とは考えていません。
まずは薩摩の動きを見届けることが大事と考えています。
12月8日を新政府樹立の期日と決めた吉之助たち。
予定より1日遅れた9日早朝。
王政復古の大逆転劇は、薩摩をはじめとする
同盟軍の出動によって幕が切って落とされます。
いつも通りに朝議が終了し、退出していく公家衆ですが、
禁裏守護に就く越前藩に、我々も御門を固めさせてもらおう! と
薩摩藩が乗り込んで来てしまいます。
そして、岩倉が王政復古の大号令を発したわけですが、
それに怒った容堂は、これは戦だ、と
酒をあおって泥酔状態で朝廷に参内。
これだと、場合によっては
坂本竜馬がこれまで打ってきた布石すらも
覆す事態に陥ってしまうことも覚悟しなければなりません。
大政奉還の功労者たる慶喜が
この場に来ていないことに横やりを入れます。
さらに、大政奉還したにも関わらず
領地400万石は返上せずという慶喜に
責めを負わせるのは道理に合わないと言い出した容堂は
まずは薩摩77万石を返上せよ、と迫ります。
「二、三の公家が、御年少の天子を擁し奉りて
政権を欲しいままにせんとは!」
この詰問に、日ごろ温厚の岩倉が激しく怒ります。
つまり、これらのことはすべて天皇のお考えであり
それを“御年少の天子”とは何事か、と
失言を責め立てたわけです。
これで容堂は黙り込んでしまうわけですが、
この会議に慶喜を出席させよという考えと
場がまっ二つに分かれてしまいます。
吉之助たちのただならぬ決意を
春嶽から知らされた容堂は沈黙を守り、
予定の議事は一気呵成に終了。
ここに、700年に渡る武家政治は
一瞬のうちに方向性を奪われたわけです。
今ここで挙兵に及べば、賊軍の誹りは免れない。
そう考えた慶喜の下知により
1万の大軍は大坂城に移り、籠ります。
吉之助から鉄砲の買い付けを依頼された大山弥助は
西郷信吾、西郷小兵衛を伴って横浜へ、
買い付けが済むとそのまま江戸に向かいます。
その江戸では、薩摩藩士を名乗り
町民から金を巻き上げる強盗事件が頻発していました。
慶喜は、今後も外交権は徳川政権にあると宣言し
諸外国にその承認を得たことをはじめ、
さまざまな巻き返し策を展開していました。
そんな中、会津藩の松平容保から急報が──。
江戸城二の丸から出火しまして、
これは天樟院と静寛院を薩摩藩が奪おうとしていたとの噂が広まり
市中警護役の庄内藩が、これは捨て置けぬと出動する事態になって
薩摩藩三田屋敷に焼き討ちを駆けた模様。
薩摩の兵を潰そうと、
会津桑名の兵たちの戦意は最大に燃え上がっていて
もはや抑えられる状態ではありません。
「我らから押し出せば、逆賊の汚名が待ち構えておるだけというに!」
「おいたちゃ、こン日を待っちょった!」
戦いは向こう(徳川)から仕掛けて来たわけで、
反乱を起こした賊軍を討つという大義名分ができました。
官軍ごわんど! という吉之助の言葉に
薩摩の男たちは雄叫びを上げます。
(『篤姫』では「(45)母からの文」付近)
脚本:小山内 美江子
原作:司馬 遼太郎「翔ぶが如く」「最後の将軍」より
音楽:一柳 慧
題字:司馬 遼太郎
語り:草野 大悟
──────────
[出演]
西田 敏行 (西郷吉之助)
鹿賀 丈史 (大久保一蔵)
田中 裕子 (西郷いと)
賀来 千香子 (大久保満寿)
──────────
緒形 直人 (西郷信吾)
益岡 徹 (村田新八)
三田村 邦彦 (徳川慶喜)
──────────
大橋 吾郎 (小松帯刀)
未來 貴子 (おゆう)
嵐 圭史 (山内容堂)
──────────
小林 稔侍 (岩倉具視)
三木 のり平 (新門辰五郎)
高橋 英樹 (島津久光)
──────────
制作:吉村 文孝
演出:小松 隆一
| 固定リンク
「NHK大河1990・翔ぶが如く」カテゴリの記事
- プレイバック翔ぶが如く・第二部明治編(48)明日への飛翔 [終](2015.12.22)
- プレイバック翔ぶが如く・第二部明治編(47)故郷・城山へ(2015.12.18)
- プレイバック翔ぶが如く・第二部明治編(46)西南戦争(2015.12.15)
- プレイバック翔ぶが如く・第二部明治編(45)西郷軍挙兵(2015.12.11)
- プレイバック翔ぶが如く・第二部明治編(44)士族暴発(2015.12.08)
コメント