プレイバック徳川慶喜・(41)将軍就任
長州討伐の一時中止を打ち出した徳川慶喜でしたが、
幕閣や朝廷の面々はその決定に憤ります。
果ては孝明天皇までが
討伐中止はならぬ! と異例のメッセージを出したことで、
慶喜は京都御所でその弁明をすることになりました。
かつて天皇が討伐の勅命を出した時とは状況ががらりと変わっており
長州征伐に向かうはずの各地の諸大名たちは幕府側から気持ちが離れ
幕府に味方しないか、長州側に寝返るかという有り様です。
そこに諸外国が長州に肩入れすれば
幕府軍としては甚大な被害を受ける可能性があります。
よって、将軍徳川家茂の喪を発表して長州征伐は一旦中止とする、と。
関白・二条斉敬は、小さな戦場で敗戦を喫したとはいえ
幕府軍全体が滅んだわけではないし、
今からその戦に出かけようとする慶喜は元気にピンピンしているのに、
先日の出陣の決意表明は何だったのか、と迫りますが、
戦い方を知っている慶喜は、それでも中止の方針を曲げません。
慶喜は、天皇から討伐中止の勅命が出ると仮定して
それよりも前の段階で長州側と水面下で話し合いを行わせます。
幕府側代表として向かうのは、軍艦奉行・勝 海舟。
海軍操練所時代の教え子が長州にもたくさんいるので、好都合です。
同時に、幕府老中たちは慶喜を新将軍に就任してもらうべく
朝廷の有力公家たちに、
慶喜への説得をしてほしいと頭を下げて回ります。
徳川宗家を継いでおきながら、将軍にはなりたくないなどと
おかしなことを言って固辞し続ける慶喜を
思うところがあるのではないかと公家たちは不審がりますが、
将軍職というものは、あくまでも江戸で決定した人物を
朝廷が了承し認可するという形をとって来ただけに、
朝廷が「慶喜サンになされ」と命じるわけにはいきませんが、
将軍空位の長期化を防ぐためにも、
慶喜に将軍になってもらう必要があります。
京、慶喜の宿舎となっている小浜藩邸に
松平春嶽が訪ねてきました。
慶喜が将軍職を固辞することは
つまり、将軍不在の時期が長引くことによって
幕府に代わるものを立てなければならなくなり、
春嶽が唱える“幕府瓦解からの共和政治”に一層近づくわけで、
春嶽は本音なのか皮肉なのか、慶喜に頭を下げます。
共和政治を唱えている藩は、
長州藩・薩摩藩・福井藩・土佐藩・宇和島藩。
春嶽の福井藩を除けば、みな幕府に反旗を翻す藩であります。
そんな状況で、全国の諸大名に共和政治を説得できるのか?
慶喜の疑問に、春嶽は笑って答えます。
「そこであなたの力が必要なのです」
今、春嶽にとってやっかいな結末は
徳川宗家を継ぎ、将軍職を継がない慶喜が
将軍職を継ぐことであります。
大政奉還を実現したいからこそ、
将軍職は継がないように、と強く釘を刺します。
慶喜が将軍職を継げば、政治を私(わたくし)し、
不正がはびこる幕府が生き残ることになります。
長州・薩摩寄りの公家たちが
慶喜が将軍職を受ける前に、と裏工作に動き始めました。
岩倉具視の発案で、王政復古をしてしまおうというわけです。
その公家たちは、二条関白の元にも王政復古の宣言を、と迫りますが
帝の思し召し次第として、あえてこの場での返事はしません。
すると、王政復古を主張する公家たちが大挙して御所に迫り
孝明天皇の前でいろいろと意見を言いまくります。
あの者たちに罰を与えよ、と天皇はご立腹。
天皇と公家たちの板挟みとなった二条関白は
弱々しく辞意を申し出ますが、それさえも天皇は許しません。
秩序を乱す公家たちに罰を与え、
勅命をもって慶喜に将軍職を継がせることにします。
慶応2(1866)年12月5日、
慶喜は、徳川幕府第15代将軍と就任しました。
慶応2(1866)年12月5日、
徳川慶喜が将軍宣下を受けようやく将軍に就任する。
慶応3(1867)年10月14日、
徳川慶喜が明治天皇に『大政奉還』を上奏するまで
あと10ヶ月──。
(『篤姫』では「(43)嫁の決意」付近
脚本:田向 正健
原作:司馬 遼太郎「最後の将軍」より
音楽:湯浅 譲二
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[出演]
本木 雅弘 (徳川慶喜)
畠中 洋 (松平容保)
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堺 正章 (新門辰五郎)
水野 真紀 (たみ)
一色 紗英 (みよ)
花柳 錦之輔 (孝明天皇)
勝野 洋 (近藤 勇)
寺脇 康文 (岩倉具視)
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藤岡 琢也 (中山五郎左衛門)
岡村 喬生 (大原重徳)
坂東 八十助 (勝 海舟)
林 隆三 (松平春嶽)
大原 麗子 (れん(語り))
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制作統括:高橋 幸作
演出:富沢 正幸
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