プレイバック徳川慶喜・(44)討幕
徳川慶喜による兵庫開港の約束は、朝廷内を混乱に巻き込み
今は政治的権力が失われている薩摩長州寄りの
公家たちの復権活動へと広がってしまいます。
混乱していたのは朝廷だけではなく、二条城でも
今度の将軍は幕臣たちの思い通りにはならないと知って
反発するやら、嘆き悲しむやら。
一方、民衆たちの面ですが
物価が高騰した影響で一揆や打ち壊しが各地で発生します。
薩摩藩の家老・小松帯刀は、慶喜が行う幕政改革
あるいは陸海軍の基礎固めに危機感を抱いております。
あと2年もすれば、慶喜率いる幕府は強力な存在に成長していて
各国の諸大名がまったく太刀打ちできない相手になっているでしょう。
慶喜に出し抜かれないように、と
藩士の大久保一蔵に釘を刺しておきます。
西 周の、慶喜への三権分立講座が続いています。
西が主張する、完全なる三権分立は
慶喜も理屈では分かっていることなのですが、
その制度を導入して久しいイギリスやフランスと違い
日本はこれから初めて導入しようとする国なので、
はじめは混乱することも多い、と
多少アレンジを加えた形を考えています。
二条城に、前越前藩主・松平春嶽、薩摩藩・島津久光、
前土佐藩主・山内容堂、前宇和島藩主・伊達宗城が
慶喜によって集められました。
兵庫開港の件ですが、慶喜としては
12月7日に開港期限を設定した以上
その前の6月中には国中に発表しなければなりません。
勅許を得ようとしたところ、図らずも孝明天皇が崩御され
勅許を得ることが出来なくなってしまいました。
久光は、未だに朝廷に近い人物ではありますので
勅許を得られるように、天皇の摂政に図ることにします。
ただ、長州を許す方が急務であると主張する久光は
兵庫開港よりも前に勅許を得たいと言い出します。
慶喜は、長州征伐については
将軍薨去によって討伐軍進軍を止め
天皇崩御によって討伐軍を解きましたので、
今しばらくはこのままに、という考えです。
一方で兵庫開港は、国と国との約束事でもあるので
先にやってしまいたいのです。
藩邸に戻った久光は、小松が
今までは若手に任せろと言い続けてきたのに
今更になって久光を担ぎ出してくることに不満であります。
「正論正論で戦える相手ではないのじゃ」
慶喜を将軍の座に就けたのは久光でありますが、
その恩を仇で返す仕打ちに、久光は怒っているのです。
西郷吉之助は、今すぐに出兵することを提案します。
いま薩摩が立てば、長州はじめ各地の諸大名が
こぞって出兵してくるはずです。
慶喜の首を今すぐにはねるべき、と言いたいわけです。
パリで行われる予定の第二回万国博覧会に江戸幕府も出展し、
慶喜の弟である徳川昭武が派遣されていますが、
そこに薩摩藩と佐賀藩からも出展希望が上がっているそうです。
薩摩藩や佐賀藩の主張は──。
藩はそれぞれの国が独立して存在しているので、
幕府はそれを代表しているわけではない、と。
フランスからも介入があって、
江戸幕府は「日本大君」、薩摩藩は「日本薩摩太守政府」、
佐賀藩は「日本佐賀太守政府」と名乗ることになりました。
慶喜は、国外で幕府が薩摩から辱めを受けることに衝撃を受け
大変立腹しています。
長州処分の勅許が先か、兵庫開港の勅許が先か
会議をすればするほど糸が丸まってほどけなくなっていきまして、
結局は「2つ同時に出願」となったわけですが、
今度はそれについての駆け引きが始まりました。
慶喜は、兵庫開港の勅許が出るまでは
この場で待つ、と脅しをかけ、
2日後、兵庫開港と長州処分の
双方の勅許を得ることが出来ました。
慶喜は、兵庫開港は期日通りと各国公使に伝えさせ
長州処分については、何もせぬまま許せば他に示しがつかないと
長州藩主に嘆願書を提出させることにしますが、
つまり、嘆願書を提出すれば
長州を朝敵のままにしておくということであり、
薩摩としては、一刻も早く討幕せねば、という気持ちになります。
薩摩には、慶喜の指令が逆に作用してしまっています。
慶応3(1867)年5月24日、
徳川慶喜自身が参内し、ようやく5月24日勅許を得ることができる。
慶応3(1867)年10月14日、
徳川慶喜が明治天皇に『大政奉還』を上奏するまで
あと4ヶ月──。
(『篤姫』では「(44)龍馬死すとも」付近
脚本:田向 正健
原作:司馬 遼太郎「最後の将軍」より
音楽:湯浅 譲二
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[出演]
本木 雅弘 (徳川慶喜)
石田 ひかり (美賀)
鶴田 真由 (徳信院直子)
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清水 美砂 (よし)
岡村 喬生 (大原重徳)
渡辺 徹 (西郷吉之助)
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林 隆三 (松平春嶽)
岸田 今日子 (松島)
江守 徹 (島津久光)
大原 麗子 (れん(語り))
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制作統括:高橋 幸作
演出:富沢 正幸
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