大河ドラマ花燃ゆ・(43)萩の乱に誓う 〜故郷の悲劇が二人を近づける!〜
明治9(1876)年・群馬──。
たぬきの置物を置いている製糸工場の門をくぐる久坂美和。
案内役は、そりゃもちろん阿久沢せいであります。
蚕に桑の葉を食べさせ、糸を吐き出す。
繭から細い糸を挽いて、一本の生糸に仕上げます。
せいが“おかいこさま”と言って
見せたザルの上には蚕がぎっしりで、
さすがの美和も身をのけぞらせて愛想笑いです。
美和の興味は、蚕よりも工場で働く幼い女の子に向きます。
ここ群馬では、10歳ぐらいになると立派な働き手で
どこの家でも働きに出すそうなのですが、
そういった教育面で、美和は不安を覚えます。
そこに、借金取りが登場。
そのキクという女の子の父親が借金を作っていたのですが、
母親・トメは、元金は返済していたものの、証文に書いてある
利息うんぬんという言葉を理解していなくて支払っていなかったわけです。
美和は、女の子のみならず母親も含め
女性への教育を強める提案を、楫取素彦に提案します。
最近の生糸は高値で売れているようで
阿久沢商会としても、景気が良くてほくほく顔です。
美和は、そこに毎日出かけていって
字を覚えることから、と女工たちに勧めますが、
「私たちには、そういうのは、ねえ」と
蜘蛛の子を散らすように工場に戻っていきます。
せいも、そんな暇があるなら稼いでもらいたい、と
乗り気ではありません。
美和は、なかなか理解してもらえない現状にため息をつきながらも
杉 百合之助や滝など、杉家では女の子である自分たちにも
教育の機会を与えてくれたことを改めて感謝しています。
「美和殿 まこと申し訳なき儀に候」
前原一誠からの手紙が届きました。
萩の明倫館には、300名余りの士族たちが集まり
一度は思いとどまった前原が、ついに挙兵したのです。
世に言う「萩の乱」勃発──。
美和や寿の不安は的中してしまいます。
“中風”という手足のしびれの病気で動けない寿は、
一度は前原に呼応しながらも東京に国内留学させている
久米次郎の様子が気がかりと、美和に様子を探らせます。
一方、素彦の元にも、東京政府の木戸孝允から
至急の知らせが届けられていました。
反乱軍とはいえ、自分たちとともに戦った仲間だと
主張する伊藤博文ですが、
木戸にしてみれば“逆賊”以外の何者でもありません。
彼らの気持ちが分かっているのは自分だ、と
寿の反対を押し切って萩へ向かう素彦でしたが、
ついに寿が倒れてしまいます。
前原たちは萩で、政府が送り込んだ鎮圧軍と激突。
鎮圧軍の圧倒的な兵力を前に、劣勢を強いられます。
この戦いには多くの若者たちも参加していました。
杉 民治と亀の長男・小太郎も、その一人でした。
久米次郎の下宿先を訪れた美和は
やはり萩に向かおうとしていた久米次郎を引き止めますが、
パッと説得から手を引きます。
「分かりました。自分の目で確かめてみんさい」
倒れた妻を残して萩には戻れない、と
群馬に残った素彦のところに、
政府高官となっていた品川弥二郎が訪問してきました。
「無事、反乱は鎮圧しました」
最初から兵力の差は明らかでして、数日で鎮圧してしまったようです。
ただ、首謀者の前原はまだ捕まっておらず、
政府としては全力としてその行方を追っているところです。
品川は、政府高官としての報告の務めを終えると
松下村塾で学んだ仲間としての表情を見せ始めます。
これまで、松下村塾で一緒に学び、死んでいった者たちの分まで
自分が世のために尽くしてきたつもりですが、
たとえそうだとしても、自分は前原に何もしてやれないのか……。
悔し涙を流す品川に、素彦は何も言葉をかけてあげられません。
萩に戻って現実を見て来い、と
美和とともに萩に戻った久米次郎ですが、
小太郎は乱で討ち死にし、
文之進は、小太郎らが死んだと聞いてすぐ
その責任を取って自害したそうです。
「お恨みします」
日ごろ温厚な亀も、この時ばかりは言葉を荒げます。
叔父上(=玉木文之進)さえ小太郎の東京行きを認めてくれていたら
小太郎は反乱には巻き込まれず、死なずに済んだ!
己の志をことごとく潰され、一人残され
これから失意のうちに生きていくことになる、と
久米次郎は東京に戻っていくことにします。
結局、美和の思いは通じることはありませんでした。
前原は、天皇への直訴を目指していましたが
島根で捕らえられ、萩の牢獄に繋がれていました。
政府に対して反乱を起こした罪、ということで斬首されますが、
素彦としては、よりよい政治をと訴え続けた前原の思いを
政府側の人間である木戸に聞いてもらいたいと
木戸の萩行きを強く勧めます。
不平等条約を何とかしなければ日本が守れない。
そのためには、日本の旧来からの仕組みを変える必要がある。
旧来からの仕組み──武士の世を終わらせ四民平等にする。
武士としての特権階級を剥奪する。
武士に対して厳しい手法をとらざるを得なかった。
それが今回のような反乱を招いた。
木戸はそう理解しています。
ただ、これまでは戦いを好まず話し合いで解決してきた木戸が
武力で反乱を鎮圧したことについては、
国家の土台作りには必要なことだった、
誰かがしなければならなかった、と涙を流します。
病気の寿のことも大変だろう、と滝が美和を群馬へ送り出します。
気丈に振る舞っていた美和ですが、
群馬に戻り、素彦の顔を見るや否や
今まで胸の内にくすぶっていた悲しみが
堰を切ったように流れ出します。
「どうして大事な人たちばっかり……」
泣きじゃくる美和を、素彦はしっかりと抱きとめます。
作:小松 江里子
音楽:川井 憲次
題字:國重 友美
語り:池田 秀一
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[出演]
井上 真央 (久坂美和)
大沢 たかお (楫取素彦)
優 香 (楫取 寿)
原田 泰造 (杉 民治)
劇団 ひとり (伊藤博文)
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佐藤 隆太 (前原一誠)
音尾 琢真 (品川弥二郎)
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東山 紀之 (木戸孝允)
檀 ふみ (杉 滝)
奥田 瑛二 (玉木文之進)
江守 徹 (阿久沢権蔵)
三田 佳子 (阿久沢せい)
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制作統括:土屋 勝裕
:小松 昌代
プロデューサー:堀之内 礼二郎
演出:安達 もじり
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『花燃ゆ』
第44回「運命の糸つなげて」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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