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2015年11月10日 (火)

プレイバック翔ぶが如く・(36)破裂弾中の昼寝

岩倉使節団の最も重要な使命、
不平等条約の改正は失敗に終わり
もう一つの目的である
西洋文化の調査を果たすべく、一行はヨーロッパへ。

イギリス、フランス、ベルギー、オランダ、
ドイツ、ロシア、デンマーク、スウェーデン、
イタリア、オーストリア、スイス──。

実に11ヶ国を歴訪し、異常なほどの熱意を持って
西洋文明の調査に没頭し大きな収穫を上げます。

例えば。

イギリスは日本と同じ島国でありながら
なぜこのように繁栄を誇っているのか。

数多くの工場を見学した大久保利通は
日本の殖産興業のあるべき姿をそこから吸収。
その成果を、西郷隆盛に宛てた手紙の中に記します。
『英国ノ富強ヲナス所以ヲ知ルニ足ルナリ』

利通はこの視察で、日本にとって
西洋文明は必要である考えを固めます。
しかし、その考えは日本に残る隆盛との間に
深い溝を作る結果となります。


明治5(1872)年5月。

陸軍省に桐野利秋や篠原国幹、別府晋介が訪問し
山県有朋への面会を求めますが、多忙を極めて不在です。
あちこちの席で接待されて金を懐に入れるのに忙しいんだろ、と
別府は皮肉たっぷりに言いますが、

まぁ、不在と断った山県は、実は隣に隠れていまして
その皮肉は本人にちゃーんと伝わっております。
ともかく、山県に代わって西郷従道が
用件を受けることにします。

彼らの用件は、不正の金の件で糾弾することではなく
兵制改革のことであります。
鹿児島から連れてきた御親兵を近衛兵とすることには賛成ですが
その他軍隊の兵士は農民で編成することに大反対なのです。

西洋に留学して実際に見て来た従道は、諸外国ではむしろ
身分や出身地を問わず国のために戦うということが
当たり前であるという考えを通しますが、

桐野たちは、戦うのは士族の役目でありまして
農民らと同列に扱われるのが堪え難い恥辱というわけです。
もし従道が大西郷の弟でなかったら、はり倒しちょった、と
捨て台詞を吐いて役所を後にします。


西郷隆盛が、帝を連れて鹿児島に帰ってきます。

……と書くと、帝はお友だちという感覚に聞こえますが
簡単に言えば、廃藩置県でご立腹の島津久光への対策であります。

帝との対面は、隆盛がその場に出なかったために
何事もなく終了しましたが、
久光は、帝のお召し物(服装)にまで口を差し挟むなど
隆盛に対して一言言わずにはいられない態度です。

主君に対して忠義でないのであれば、
帝に対しても忠義であるはずがない──。
久光の怒りは解けるどころか、余計にくすぶっています。

大山綱良は隆盛に、思い切って謝罪しなさいと勧めますが
隆盛は、今は久光の家来としてではなく
帝の家来として鹿児島にやって来ているので、
それは絶対に出来ない相談です。


山城屋和助、そして山県有朋は
江藤新平の調査、川路利良の内偵などにより
少しずつ追いつめられ、逃げ道をなくしていきます。

もし山城屋が捕まれば、
彼に囲い者にされている芦名千草と思われる女も
優雅な生活を送れなくなってしまうどころか
どのような見せしめに遭わされるか分かりません。

矢崎八郎太は、真っ青な顔の山城屋が出て行くのを見計らって
千草をある長屋に連れ出します。

そこには、芦名千絵が待っていました。
急に妹が現れたものだから、とても驚いて動揺する姉。

矢崎は、あの屋敷を見張っていたことを白状。
山城屋が公金を使い込んでいたためなので
それはそれで異論は出なかったのですが、

逮捕は時間の問題、ということで
山城屋に最も近い千草を逃がすことだけは出来ませんが、
ここに連れ出し、一晩だけ姉妹の会話を
させてやりたいという矢崎の気持ちであります。

実はその時、山城屋に家宅捜索が入り
周辺は大きな騒ぎとなっています。
屋敷内では、重要参考人となるべき千草が
逃亡していたということで、これまた大騒ぎです。

様子を見た矢崎は、慌てて姉妹のいる長屋へ戻ります。


隆盛は、鹿児島を出発して四国丸亀までやってきたところで
山城屋と陸軍省の不正が明らかになって
桐野たち近衛兵が爆発寸前という
東京からの知らせを受け取ります。

隆盛は、従道とともに船で急ぎ東京に戻ります。

金に汚い長州の面々を許すわけにはいかない、と
山県を斬るつもりの近衛兵たち。
天誅だ、と言い張る彼らですが、
隆盛に言わせれば反乱以外の何ものでもありません。

山県を斬るのは簡単ですが、
彼でしかできない仕事がまだ仕上がっていません。
だからこそ、彼はむやみに斬れない。

近衛兵たちの気持ちを抑えるために、
隆盛は彼らの顔を見渡します。
「おいが陸軍の面倒を見る。おいが全部やっど」

近衛兵たちはそれで満足し、引き揚げて行きますが
同席した従道は、桐野たちが今度暴発したとき
不平士族の旗頭として
隆盛を担ぎ上げるのではないかと心配です。

「近衛兵という破裂弾の中で昼寝をしちょう他はなかじゃろ」
自分が旗頭として担ぎ上げられても、天命である。
今はただ、大久保利通や木戸孝允に代わって
留守政府を何としても守り食い止めなければならないのです。

隆盛はこの時から、筆頭参議の上に
陸軍元帥と近衛都督を引き受けることになったのです。

山県有朋が山城屋に融通した公金は65万両。
陸軍省の年間予算に匹敵する額でありまして、
その返済を求められた山城屋は、
陸軍省の応接室で割腹して果てました。


岩倉使節団の予定は、変更に次ぐ変更で
この頃にようやく、フランスに入国していました。

木戸は、予定を推しているというのに
岩倉具視の所望だからとはいえ、優雅にダンスなど
踊っている場合ではないとカンカンですが、

利通は、途中で切り上げて帰っても
中途半端に西洋文化を持ち帰るだけであり
留守政府には迷惑なだけ、と気にも留めません。


久光の命で、海江田信義が東京まで行き、隆盛に
久光に対して頭を下げるように説得します。

海江田の説得に西郷はようやく折れ鹿児島に戻るのですが
久光の怒りは日に日に燃え上がってしまっているようで、
隆盛が久光と対面した時には、もはや
手もつけられないほどになっていました。

帝のお供という理由で、鹿児島に戻りながらも
久光に挨拶無く東京に戻ったことは、つまり
過去の歴代藩主に対しても無礼な働きをしたことになります。

隆盛が鹿児島の兵を動かせるようになる経緯には
亡き島津斉彬の寵愛を受けたからでありまして、
久光はその前の、元の位置に戻らせます。
つまり、全ての官職を辞して鹿児島に帰れと命じたのです。

久光はこれ以降も、新政府のやり方を批判し
自己流を押し通していくわけですが、
隆盛は、国のために働きながら「不忠者」と罵られることが
死ぬよりもつらいことだったのです。

久々に鹿児島の西郷家に戻った隆盛は
その背中に、大きなものを背負い込みすぎた
夫の姿を見たのでした。


原作:司馬 遼太郎「翔ぶが如く」より
脚本:小山内 美江子
音楽:一柳 慧
題字:司馬 遼太郎
語り:田中 裕子
──────────
[出演]
西田 敏行 (西郷隆盛)
鹿賀 丈史 (大久保利通)

田中 裕子 (西郷いと)
蟹江 敬三 (大山綱良)
──────────
緒形 直人 (西郷従道)
杉本 哲太 (桐野利秋)
堤 真一 (矢崎八郎太)
有森 也実 (芦名千絵)
──────────
隆 大介 (江藤新平)
南條 玲子 (芦名千草)
斎藤 洋介 (板垣退助)
小倉 久寛 (伊藤博文)
草野 大悟 (海老原 穆)
──────────
小林 稔侍 (岩倉具視)
田中 健 (木戸孝允)
竜 雷太 (川口雪篷)

高橋 英樹 (島津久光)
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制作:吉村 文孝
演出:望月 良雄

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