大河ドラマ花燃ゆ・(45)二人の夜 〜追い詰められた義兄と妹 まさかの天の采配〜
明治10(1877)年・群馬県 前橋──。
春が訪れた前橋で、久坂美和は女たちに学問を教える一方で
阿久沢せいから繭から生糸を紡ぐ方法を学びます。
「熱ッ」「熱いよ、気をつけて……ハハッ、案外ぶきっちょだねえ」
そんな美和からの近況を知らせる手紙を受け取った
毛利安子(銀姫)は、美和はホントに物好きだな、と笑います。
ナツという女が阿久沢商会にやって来ました。
東京にいる息子に手紙を出したいと思っていて、
最近、近くに郵便局ができたということもあって
セイが“美和さんに頼んでみたら?”と持ちかけたようです。
ただ、せいとナツの間には、
何かわだかまり?のようなものがあるようで。
阿久沢商会よりも高値で繭を買うと言われたナツは
せいを裏切って、そちらに繭を流してしまったようです。
そちら、とは繭を扱う生糸仲売人の小林のことですが、
繭をもらってくよ、と言う割には
その支払いは次回にしてくれ、などとあり得ないひと言。
これではナツでなくても、美和でも心配になります。
そんな時に飛び込んだ、生糸の値の暴落の話。
群馬の生糸は、世界中でその品質の高さが認められていましたが、
その中に粗悪品が混ざってしまい、生糸の価格が下がり始めたわけです。
楫取素彦は、その粗悪品の対策に乗り出していました。
上質な生糸というものは、橋から端までが同じ細さ。
それに対して粗悪品は、
巻き始めと巻き終わりの両端は細くてキレイですが
中は、質の悪い繭で太く雑によられています。
生糸は重さを量って売買されるので、
見せかけだけ上質にして
中は太くすることによって重さを増やして売る。
正確に言えば、その粗悪品だと気づいていながら
少しでも量を増やして利益を稼ごうという考えがはびこって
今回の事態につながったようです。
「もう一つ教えてもらいたい。私への報告が遅れたのはなぜじゃ」
ふとわいた素彦の疑問は、まぁあらかた答えは想像できますが
やはり横やりを入れたのは阿久沢権蔵でした。
わざわざ県令殿を心配させることはないだろう、と封じていたのです。
素彦は権蔵に、今すぐに粗悪品を止めさせて
生糸の値を上げるように勧告しますが、
生糸は必需品だから、放っておいても値は上がる、と
考えを改めるつもりはなさそうです。
阿久沢商会からの帰り道、美和は
畑でたわわに実る野菜を見て感嘆の声を上げます。
しかしよく見ると、野菜の根っこに石が大量に積み上げられ
見るからにかわいそうです。
たまらず美和がその石をどけていると、
「こら!」と怒鳴る男が。
船津伝次平──後に近代農業の父と呼ばれる男。
野菜の根っこに石を積み上げていたのも、
太陽で照らされて暖まった石が
長時間に渡って内部の野菜を温めることで、
早く育つ効果がある……んだと。
まずはこれまでのやり方、常識を疑うことから始める。
船津の目はらんらんと輝いていました。
明治10年に始まった西南戦争は、
西郷隆盛率いる薩摩軍が徹底抗戦を続けていました。
そんな時、素彦の元に仲間の死が電報で届けられます。
“キドタカヨシ シス”
木戸孝允が京都で亡くなったのは、5月のことです。
お前まで……と素彦は悲しみに打ちひしがれます。
小林のところで作られた生糸を美和が入手しました。
せいは「ひどいね、これ」と顔を強張らせ
自分たちが必死の思いで作った生糸も、
このような粗悪品と同様に思われるのでは、と
悔しい思いでいっぱいです。
素彦は、民間の製紙工場を営む星野長太郎を訪問します。
そもそも根本的な問題は、
生産者が仲買人に売り、問屋を通して横浜に売るわけですが、
仲買人が安くしか生産者から買わないので、
ほんの少しでも儲けたい生産者は水増しを余儀なくされます。
そこで星野は、組合というものをつくってはどうか、と提案します。
生産者には組合員になってもらい、
それぞれがつくった生糸をいったん集めて管理。
それで品質を統一できるようにする、というものです。
品質を統一するためには、共同の揚返場(あげかえしば)、
つまり再度糸を巻き直す場所が必要となります。
星野の弟でアメリカに渡った新井領一郎は
アメリカでカンパニーを作りまして、
これでこちらの仕組みさえ整えさせれば
アメリカへの販路は開けたも同然ですが、
問題は、星野の言うように組合を作ったら
仲買人が必要なくなるわけで、
従来のやり方を変えるとなれば、多少の混乱は必至と
素彦も充分分かっています。
上手くいかなかったときは、責任を取る。
その素彦の言葉を聞いて、
今まで反発していた権蔵も大きく頷きます。
「なるほど」
9月24日、西南戦争に於いて
政府軍の総攻撃が始まりました。
そろそろ終わりにせんとなぁ、と西郷は自刃。
西郷の死によって、不平士族の反乱は終焉します。
西南戦争が終わり、楫取久米次郎は
父に誇りはないのかと問いただしに父に会いに行きます。
父の住まいには美和がひとりいましたが、
久米次郎は、母から父を奪い取った(と思っている)美和が嫌いです。
「あなたに父のことを言うてほしゅうない!」と捨て台詞を吐き捨てて
父の出張先に向かう久米次郎。
何か思い詰めている、と感じ取った美和は、
久米次郎の後を追いかけます。
そんな時、素彦はそれぞれ村々を回って
生産者たちを説得し続けていました。
仲買人たちの反発もありますが、
今こそ力を合わせて群馬の生糸の品質を高めねば、と
説得はゆるみません。
その姿を見て、自分は
現状から逃げていただけだと思い直した久米次郎です。
さて、夜になって素彦のところにやってきた美和ですが、
崖崩れによって宿に足止めされることになりました。
しかも宿屋には空き部屋が1つしかなく
仕方なく素彦と美和は布団を並べるしかありませんでした。
──事件は起きようとしていました。
作:小松 江里子
音楽:川井 憲次
題字:國重 友美
語り:池田 秀一
──────────
[出演]
井上 真央 (久坂美和)
大沢 たかお (楫取素彦)
優 香 (楫取 寿)
田中 麗奈 (毛利安子)
大東 駿介 (星野長太郎)
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鈴木 杏 (辰路)
雛形 あきこ (木戸松子)
宅間 孝行 (西郷隆盛)
相島 一之 (鈴木栄太郎)
──────────
東山 紀之 (木戸孝允)
石原 良純 (船津伝次平)
江守 徹 (阿久沢権蔵)
三田 佳子 (阿久沢せい)
──────────
制作統括:土屋 勝裕
:小松 昌代
プロデューサー:堀之内 礼二郎
演出:深川 貴志
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『花燃ゆ』
第46回「未来への絆」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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