大河ドラマ花燃ゆ・(48)富岡製糸場の危機 〜世界目指す二人に未来開けるか〜
明治14(1881)年・群馬──。
病気でこの世を去った姉・
寿の位牌に手を合わせる毎日です。
そんな姉に報告するのは、かつて姉と約束した
「おんなたちの学び場」が出来上がったことです。
書道にそろばん、源氏物語にお菓子作り。
みな楽しそうに勉強しています。
美和が作った氷菓子(アイスクリーム)も、
みなで試食して大歓声を上げています。
陣中見舞い(?)に訪れた阿久沢せいも
「休みン時になると、みんなこっちにすっ飛んでくるんだからね」と
嬉しいのやら寂しいのやら、です。
月謝も、野菜などの食べ物を持ち込んで。
美和は喜んでその気持ちを受けます。
お金がないなら、みんなができることでお月謝の代わりを支払う。
まるでここは、おんなたちの松下村塾のようです。
星野長太郎の弟・新井領一郎から兄宛に電報が届きます。
生糸商人のリチャードソンは、日本から送った大量の
かつ良質な生糸に大変満足したとあります。
更に追加注文も入ります。
初めこそ、楫取素彦のやることなすことに反発し
県令の座から引きずり降ろそうとまでしていた阿久沢権蔵は
今ではともに「群馬の生糸を世界一に!」と動く盟友であります。
権蔵のコシギンチャクだった鈴木栄太郎は、
何か言いたげですが、表立っては何も言えません。
「風向きが変わったんだ。時代を読むンも政治家だ」
政府は、赤字続きの官営工場を民間に払い下げ
財政の再建を図っていました。
東京にあるガラス工場などは、
事業を引き取りたいと名乗りを上げるものもいるのですが、
富岡製糸場に関しては、規模が大きすぎて
まだ誰も名乗りを上げてくれません。
このままでは、赤字だけが膨らんでいくことになります。
萩の杉家では、美和の長兄・民治が
松下村塾を再開していました。
しかし、どちらかというと親に“行ってこい”と言われて
通っているような子どもたちばかりで、
ちょっと目を離すとみな立ち上がって騒ぎまくりです。
「もう! ご維新後の子どもは気ままでいかん!」
学びの場は、船津伝次平によるご飯炊きの実技から
節約の話に飛ぶなど、生活に直結した内容が受けているようです。
素彦は、読み書きの勉強だけでなく、生活のための実技も学べる
女児のための公立学校を作ろうと動き出します。
素彦は美和に、学びの場で教えていることを参考に
女児学校で教える内容を提案せよと言われ、県庁に向かいます。
素彦に頼りにされる美和を見て、せいはポツリとつぶやきます。
「ダメなんかね? お似合えだと思うんだけどね」
実は、それは権蔵もうすうす感じていたことです。
いわば馬車の両輪のようなものです。
ただ、亡くなった奥方は美和の実の姉でもあるし
権蔵はふたりが一緒になることはなかろうと考えていますが、
せいは、寿が何よりもそれを願っているような気がする、と
おんなの勘を働かせます。
久坂玄瑞と辰路の子・秀次郎が突然やってきました。
いったんは美和が引き取ったものの、
辰路と秀次郎の親子の縁を離してはならないと
秀次郎を辰路の元に返した美和は、
秀次郎の養育費を辰路に仕送りして、
辰路はそのお金で秀次郎に高等教育を受けさせてきたのです。
物語では描かれていませんが、
美和と秀次郎の間でも何度も文通していたようです。
素彦は、次男・久米次郎に楫取家を継がせることにしました。
秀次郎は、久坂家を継ぐことになり
その挨拶に出向いたようです。
医者になりたい、という秀次郎。
久坂家はもともと藩医を勤める家柄で、玄瑞も医者でした。
この子の成長を、玄瑞も喜んでいることでしょう。
「富岡製糸場を閉鎖」
そんなむごい通達が明治政府から届きます。
採算度外視ながら全国の女工たちを受け入れ
まさに今からというとき──。
女たちも、富岡製糸場閉鎖に伴って
クビになる予定の女工たちもおり、
製糸場に繭を卸している農家たちもおり、
それで商いしている者たちもおりまして、
一様に、閉鎖になっては困るという立場です。
美和は、まずはみんなができることをやっていきましょうと
声を上げます。
女たちは、まず嘆願書に署名を集めて回ります。
でも、美和が群馬を訪れたばかりの頃だったら
ここまでの行動には現れなかったかもしれません。
美和が女たちに学ぶ場を提供したからこそ
それぞれに考えを持ち、行動できるようになった。
これは女たちの、最後の抵抗だったかもしれません。
映像を見た感じ、
1,000枚ぐらいの嘆願書が集まったでしょうか。
美和とせいは、それを素彦に提出。
同じ思いの素彦は、群馬から製糸の火は消さないと
力強いお言葉です。
上京した素彦は、
農商務卿・西郷従道に面会を申し入れます。
従道も、素彦は維新でも長州藩をリードし、
新政府では参与を務めるなど
木戸が一目置いていた有能な男だと知っています。
群馬の者たちは生糸作りに誇りを持っていることを伝え
自分がこれまで時間を割いて県内を歩き回って
掴んだ実情をぜひ知ってもらいたいと、
嘆願書を提出します。
県内初の女児学校が完成しました。
それはそれで大変喜ばしいことなのですが、
権蔵もせいも、県庁につめる美和も職員たちも
富岡製糸場の処分がどうなるか、ヒヤヒヤしています。
……とそこへ、農商務省から電報が!
それを鈴木から受け取った美和は
女児学校入学式に参加している素彦の元へ飛び出して行きます。
入学式会場に飛び込んできた美和の表情を見て
素彦は大きく頷き、権蔵は拳を突き出して大喜びです。
「富岡は……存続だ! やりましたーッ!」
富岡製糸場の存続とともに、
民間工場に群馬県が支援して
機械を導入するよう働きかけていた素彦。
その機械は権蔵の工場で導入されたわけですが、
女工たちにとっても、
糸つむぎはえらく楽で安定した質だと好評です。
機械を導入してくれた権蔵に素彦は頭を下げますが、
初期投資こそ痛いものの、じき元を取ると権蔵の力強いお言葉です。
目の前のことも大事ながら、その先を見据えて政治を行っている素彦を
尊敬の眼差しで見ている権蔵は、珍しく素彦を酒に誘います。
「強えお味方がいらっしゃる。特別なお方が」
権蔵は、それとなくオブラートに包んで話し出します。
ちょうど同じころ、せいと美和もふたりで酒を呑んでいました。
しかしコチラはストレートです。
「どう思ってンだい? 県令殿、お兄様のこと」
大事なんは自分の気持ち。
せいにそう言われて、複雑な表情を浮かべながらも
素彦のことを考えていました。
作:小松 江里子
音楽:川井 憲次
題字:國重 友美
語り:池田 秀一
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[出演]
井上 真央 (久坂美和)
大沢 たかお (楫取素彦)
原田 泰造 (杉 民治)
田中 麗奈 (毛利安子)
大東 駿介 (星野長太郎)
相島 一之 (鈴木栄太郎)
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石原 良純 (船津伝次平)
飯田 基祐 (西郷従道)
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檀 ふみ (杉 滝)
奥田 瑛二 (玉木文之進(回想))
江守 徹 (阿久沢権蔵)
三田 佳子 (阿久沢せい)
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制作統括:土屋 勝裕
:小松 昌代
プロデューサー:堀之内 礼二郎
演出:安達 もじり
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『花燃ゆ』
第49回「二人の再婚」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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