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2015年12月15日 (火)

プレイバック翔ぶが如く・第二部明治編(46)西南戦争

私学校生徒が暴発し西南戦争が勃発。
しかし薩摩軍首脳の意見は大きく分かれていました。
長崎を抑え軍艦を奪い東京へ進むべきだとする西郷小兵衛。
一方、篠原国幹らは全軍をもって熊本を攻略すべしと主張し対立。

折衷案も出るものの、結局は桐野利秋や篠原の
強硬な意見が通り熊本進撃が開始されます。

薩摩軍の標的とされた熊本城。
豊臣秀吉の家臣・加藤清正が築城し
当時から対薩摩戦の前線基地として考えられていました。

明治政府もここに、
司令長官・谷干城以下約2,500の守備隊を置き
薩摩の動きに目を光らせていました。

しかし、その兵は神風連の乱で自信を失っており
迫り来る薩摩軍に対し、谷は籠城を決意。
皮肉なことに守備隊の中には多くの薩摩人がいました。
幕末維新を通じて一枚岩を誇った薩摩人が対決することになったのです。

西郷隆盛出発の日、鹿児島に50年ぶりの大雪が降ります。
薩摩人同士が赤い血を流す悲劇が始まろうとしていました。


明治10(1877)年2月22日、
薩摩軍が熊本城に攻撃を開始します。

鎮台兵の予想以上の反撃に、
まっこてヤル気じゃなあ! と桐野は相手を称えます。
そこに、熊本の郷士として
薩摩軍に連れて来られたのは矢崎八郎太です。

政府を打倒すべく憂国の熊本士族による義勇団を結成し
前線に出るべく西郷軍に参軍する、という
隆盛との約束を果たすために来たわけです。


木戸邸では、病床に伏している木戸孝允に
西南戦争の戦況を報告しています。

大久保利通は、川路利良の具申を採用し
ポリス隊を熊本城に送り込んでいますが、
木戸は、ポリスの役目は戦をすることではなかろう、と
士族出身者だからと言って誰でも彼でもつぎ込むという
利通のやり方に苦々しい顔です。

ただ、利通は薩摩出身だからこそ、
薩摩軍の圧倒的強さ、勇猛果敢さを理解している代わりに
薩摩軍の決定的弱点をも知り尽くしています。

すなわち、前へ前へと進むあまり
熱中すればするほど後方の存在を忘れてしまうわけです。
今、薩摩軍が熊本に出てきているということは
鹿児島は空なわけで、船で入国して占拠すれば──。


「九州へ行く!? 冗談じゃねえよ!」
芦名千恵の思わぬ告白に、梅乃家五郎八は聞く耳持ちません。
同席している海老原 穆は、集思社が千絵の屋敷を借りているからか
ハッキリと意見しない態度を見て、五郎八は呆れていますが(笑)。

千絵にとっては矢崎は命の恩人であります。
彼がいなければ姉の千草とも巡り会うこともなかったでしょうし
横浜で不逞浪士たちに助けられることもなかった。
横浜で命を落としていた可能性も充分にある中で
戦争で危険な熊本に行くぐらい、千絵には何てこともないのです。

千草は、自分の境遇に照らし合わせて
妹には自由に生きてほしいと考えているようで、
そこまで思った人なら、
どこまでもついて行くがいいと背中をポンと押します。


熊本の北西部・高瀬で繰り広げられた戦いは3日にも及び
薩摩軍の辛勝にはなりましたが、
小兵衛が銃弾を浴びて命を落としました。

隆盛に報告に上がった西郷菊次郎は、
小兵衛の最期の様子を詳細に隆盛に伝えると
陣地に引き返して戻っていきました。

東京でも、西郷従道は
小兵衛死すの報を受け取って嘆き悲しんでいます。
出来ることならば今すぐにでも熊本に行きたいところですが、
陸軍の要職を命じられ、東京を動けない立場です。

西郷家の親戚が敵味方に……。

菊次郎も薩摩軍に、
そして琴姉さんの子供たちも薩摩軍にいまして、
従道は、ぶつけようのない怒りに苦しんでいます。


3月4日、南下する政府の大軍を迎え撃つため
薩摩軍は熊本の北に塹壕を築きます。
田原坂です。

政府軍の指揮室では、山県有朋が戦況を聞き
鎮台兵は薩摩軍の相手ではないのか
(相手にならないほど弱いのか?)と大山 巌に尋ねます。

巌は、薩摩軍よりも政府軍が勝っているものは火力のみで
大砲を打ち込み続け、銃弾を浴びせ続けるしかないというのです。
山県はそこで、ふと恐ろしい疑問を抱きます。
「だがもし、火力だけで防ぎきれなかったどうなる?」


小兵衛の死が伝わり、位牌を立てて川口雪篷は無言です。
そうでなくても、家の中は小兵衛の死に静まり返っていますが、
そこに、大きな荷物を抱えて千絵がやってきました。

千絵は西郷いとに、どうにか薩摩軍に加われるように
お口添えを、と願い出ます。
何としても薩摩軍に加わって矢崎の姿を見届けたい。
もし怪我をしているなら我が手で手当てし、
もし既に会えないなら、後を追う覚悟です。

いとが雪篷を見ると、寂しげに首を横に振るばかり。
しかしいとは、亡くなったばかりの小兵衛の妻・
松の熱いまなざしを受け、承諾します。


薩摩軍は、何と言っても物資が少なく
夜な夜な鉛から銃弾を作っている有り様です。
物量に勝る政府軍は、1日32万発という銃弾を乱射し
ようやく薩摩軍を圧倒したのでした。

兵を立て直すために一旦退く、という桐野たちの決定に
前線に立って戦をしたいと隆盛は主張しますが、
ここでもまた、自分の意見をグッとこらえて
桐野たちに全てを任せることにします。

しかしこれが、敗走の始まりでした。


5月26日。
木戸はいよいよ起き上がれなくなっていました。

木戸は、今後の国作りを利通と伊藤博文に
頼まなければならない、と前置きした上で、
今回の戦争にどれだけの手柄があったとしても
政治の世界に軍人を入れてはならない、と言い置きます。

そして、この戦争のきっかけとなった
西郷隆盛暗殺計画の真偽については
戦争後に、必ず裁判で明らかにすべし、とも。

自分の遺体は京都東山に葬ってほしい、と遺言し
木戸孝允はついに帰らぬ人になりました。


政府軍が鹿児島に入ったとの知らせを受け、
西郷家は一家を挙げて西別府に避難することにします。
西別府は畑仕事の道具やら薪やらいろいろ揃っているので
何かと便利なのです。

いとは、女たちにテキパキと指示し
千絵には子供たちの手を引いてついてくるようにし
西別府に向かいます。

西別府から、鹿児島の方角を見ると
空が不気味に赤く広がっています。
泣き出す女たちですが、
いとは明るく振る舞ってみんなを元気づけます。

そこで、千絵がいないことに気づき、
探して来るといういとを、松は止めます。
千絵は薩摩軍が人吉にいるという情報を得ていて
これ以上は迷惑をかけられないと出て行ったわけです。

 行かせてあげてたもんせ! お願いでございもす!
 小兵衛さんはもう二度と戻って来もはん。
 じゃっで、無事を確かめたかち一心で江戸からやって来た
 千絵さあの気持ちは私にはよう分かりもす。
 あたしには……止めるこッができもはんじゃした!

いとは、大きな気持ちで松の配慮を受け止め
松をしっかりと抱きしめます。


薩摩軍は人吉を捨て、東に向かっていました。

鹿児島は政府軍が征服しているので
隆盛たちは、戻る場所も奪われたことになります。

利通は、一家を守っているいとの身が気になり
戦の先が見えてきたこの時に
従道に鹿児島出張を命じることにしました。
利通自身は京都御所から東京に戻ることにします。

従道は急いで鹿児島の西別府に向かい
政府が用意した安全な場所に西郷一家を移すつもりでしたが、
敵の情けは受けない、といとがそれを拒絶します。

討つも薩摩兵児、討たれるも薩摩二才、
親子兄弟が敵味方に分かれての戦ほどむごいものはない。
そう利通に伝えてくれと言い、いとは従道を追い返します。
「早よ行きやんせ! 行かにゃ私は松どんの加勢をして、
 信吾どんを小兵衛どんの仇として討たにゃなりもはん」


延岡に陣を置いた薩摩軍。
そこに、やっとの思いで千絵がたどり着きます。

東京で千絵に世話になった隆盛はたいそう懐かしみ
矢崎と夫婦になったと知り、驚く隆盛。
しかもその矢崎が薩摩軍に加わっているのも初耳です。
「熊本隊に加わっちょいもす」

隆盛の計らいで矢崎を急いで捜し出し
千絵と二人だけの時間を持つことが出来ました。
抱きしめ、存在を確かめ合う二人です。

それで、薩摩軍の戦況ですが
兵は3,000まで減り、今は政府軍に完全に囲まれた状態で
囲みを破らなければ打開は出来なさそうです。

おいの戦がしてみたか! と
隆盛は前線に立って指揮を取ることを宣言。
薩摩軍は気合いを入れ直しますが、
桐野も村田新八も、その表情に明るさはありません。

隆盛は、戦で死ぬ覚悟を固めていました。


原作:司馬 遼太郎「翔ぶが如く」より
脚本:小山内 美江子
音楽:一柳 慧
題字:司馬 遼太郎
語り:田中 裕子
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[出演]
西田 敏行 (西郷隆盛)
鹿賀 丈史 (大久保利通)

田中 裕子 (西郷いと)
賀来 千香子 (大久保満寿)
──────────
緒形 直人 (西郷従道)
国生 さゆり (西郷 清)
杉本 哲太 (桐野利秋)
堤 真一 (矢崎八郎太)
有森 也実 (芦名千絵)
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小倉 久寛 (伊藤博文)
南條 玲子 (芦名千草)
益岡 徹 (村田新八)
──────────
田中 健 (木戸孝允)
草野 大悟 (海老原 穆)
竜 雷太 (川口雪篷)
──────────
制作:吉村 文孝
演出:木田 幸紀

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