大河ドラマ花燃ゆ・(50)いざ、鹿鳴館へ [終] 〜ドレスで光の世界へ乗り出し未来王手かける〜
近代国家の体裁を整えるため、明治政府は鹿鳴館を作り
毎夜、舞踏会を繰り広げていました。
毛利元徳・安子のはからいで、
鹿鳴館から招待を受けた楫取美和と素彦夫妻。
入口のところで、招待状の確認が取られますが
タキシードのポケットというポケットを探してみても
入れたはずの招待状が見当たりません。
「いや、私は怪しいものでは……」
ちょ! ちょちょ! ちょっと! とドタバタ駆けつけたのは
伊藤博文。
ワインを飲みながら、玄関先で素彦が
困っているのを目にしたようで慌てて駆けつけたわけです。
かつての小田村伊之助と伊藤利助。
当時の立場では、藩の重役である伊之助と
下級武士に過ぎなかった利助でありますので、
もちろん伊之助の方が目上ということになりますが、
今やそれが日本政府の重役と群馬県令です。
懐かしさのあまり、素彦は思わず「伊藤!」と呼んでしまいますが、
伊藤は伯爵ですので、素彦は慌てて訂正します。
「いや、めっそうもないです! あの、“伊藤”で。ただの“伊藤で”」
作:小松 江里子
音楽:川井 憲次
テーマ音楽演奏:NHK交響楽団
テーマ音楽指揮:下野 竜也
演奏:コンセール・レニエ
題字:國重 友美
タイトル映像:猪子 寿之
:寺尾 実
語り:池田 秀一
──────────
[出演]
井上 真央 (楫取美和)
大沢 たかお (楫取素彦)
原田 泰造 (杉 民治)
田中 麗奈 (毛利安子)
劇団 ひとり (伊藤博文)
三浦 貴大 (毛利元徳)
久保田 磨希 (杉 亀)
知花 くらら (津田梅子)
石井 正則 (井上 馨)
永岡 佑 (山県有朋)
尾上 寛之 (工藤長次郎)
堀井 新太 (中原復亮)
宮地 雅子 (トメ)
住田 隆 (庶務課長)
ふせえり (嵯峨野夫人)
櫻井 淳子 (池谷夫人)
原 史奈 (酒田夫人)
あらい すみれ (ナツ)
福岡 沙彩 (キク(子役))
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石原 良純 (船津伝次平)
相島 一之 (鈴木栄太郎)
上杉 祥三 (三条実美)
大東 駿介 (星野長太郎)
酒井 和哉
高橋 弾
菊池 真之
小暮 邦明
石川 沙彩
港 幸樹
芹口 康孝
ドン・ジョンソン
弘中 麻紀
三島 由起子
菊川 陽子
村田 志織
川口 美穂
山岡 愛姫
庭野 結芽葉
豊田 留妃
(回想)
伊勢谷 友介 (吉田松陰)
高良 健吾 (高杉晋作)
東出 昌大 (久坂玄瑞)
瀬戸 康史 (吉田稔麿)
佐藤 隆太 (前原一誠)
要 潤 (入江九一)
(回想)
大野 拓朗 (野村 靖)
音尾 琢真 (品川弥二郎)
鈴木 伸之 (寺島忠三郎)
阿部 亮平 (赤禰武人)
内野 謙太 (松浦亀太郎)
冨田 佳輔 (玉木彦介)
(回想)
本田 博太郎 (富永有隣)
鷲尾 真知子 (潮)
石橋 杏奈 (鞠)
五十嵐 陽向 (秀次郎(子役))
翼 純子 (女工)
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長塚 京三 (杉 百合之助)
時代考証:大石 学
:海原 徹
:三宅 紹宣
:小山 良昌
:手島 仁
建築考証:平井 聖
衣裳考証:小泉 清子
殺陣武術指導:林 邦史朗
所作指導:西川 箕乃助
芸能指導:友吉 鶴心
書道指導:望月 暁云
医術指導:酒井 シヅ
洋舞指導:二ツ森 亨
長州ことば指導:一岡 裕人
群馬ことば指導:石田 誠二
大分ことば指導:竹本 和正
滋賀ことば指導:野々目 良子
岩手ことば指導:菊地 伸枝
珠算指導:太田 戯幸
資料提供:堀迫 真吾
:古城 春樹
:横浜開港記念館
:石田 和男
:神谷 大介
:内田 利沙
撮影協力:山口県
:群馬県
劇団東俳
劇団ひまわり
舞夢プロ
宝映テレビプロダクション
グループエコー
テアトルアカデミー
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檀 ふみ (杉 滝)
江守 徹 (阿久沢権蔵)
三田 佳子 (阿久沢せい)
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制作統括:土屋 勝裕
:小松 昌代
プロデューサー:堀之内 礼二郎
美術:岡島 太郎
技術:長谷川 理
音響効果:三谷 直樹
撮影:森 純一
照明:清岡 昌吉
音声:高山 幹久
映像技術:国友 秀光
VFX:西垣 友貴
記録:武田 朝子
編集:平川 正治
美術進行:萩原 春樹
演出:渡邊 良雄
素彦・美和夫妻を招待した元徳も、二人を見つけて笑顔で駆け寄ります。
元徳曰く、安子も奥にいるのですが、どうやら退屈しているらしいです。
大きな口を開けてあくびをする安子(笑)。
そこに美和が登場して、その姿を見るや
まるで満開の花を咲かせたように笑顔に早変わりです。
そこに同席している貴婦人たちは
華族が華族であるための教育をする場を作りたいと
夢を語っています。
美和は群馬で、母親向けに教育を行ってきていますが、
華族である貴婦人たちにしてみれば、
下々の女たちには教育は必要ないという立場です。
さすがにカチンときたのか、美和は
貴婦人たちと群馬の女たちはどこかでつながっている、
(つまり身分は関係ないのではないか)と言い出します。
群馬の女たちが紡いで作った生糸は
アメリカ始め諸外国に大量に輸出されています。
美和は、貴婦人たちが来ているドレスは、
その生糸で作ったものかもしれないと主張します。
デタラメなことを言い出した美和をバカにする貴婦人たち。
このドレスはフランスなどから仕入れたものだし
第一、欧米の婦人たちが群馬の生糸で作られたドレスを着て
ダンスしているというのは、どうにも考えられないわけです。
困っている美和の横で、安子は
偶然歩いていた英国人をつかまえて問いただします。
「申してみよ、群馬の生糸が今いかに世界一の一級品なのかを」
ただ、その英国人は残念ながら“ニホンゴワカリマセーン”の次元です。
そこに、思わぬ助っ人が現れます。
英語で問いかけたと思うと、その英国人もペラペラと返答します。
「はい、最高の生糸だと絶賛され、貴婦人が着るドレスの生地です」
↑日本語訳です、当然w
アッという間にしゅーんとなる貴婦人たち。
「女性の教育こそ、日本のこれからの大きな課題です」
先ほど通訳を買って出てくれた、赤いドレスの女性こそ
後に津田塾大学を作る津田梅子であります。
貴婦人たちは、
群馬の日本一のために何かしたいと言ってくれます。
そこで安子が美和の背中をポンと押します。
「美和」
素彦も、前橋までの鉄道建設のための資金援助をと
頭を下げて回っています。
生糸の輸出には、鉄道輸送は不可欠なのです。
素彦にお願いされた形の男たちは、
まぁ伊藤や元徳からの口添えということもあって
力になりたいとは考えているのですが、
なにせ莫大な資金援助となりそうで躊躇しています。
そこに、先ほどの貴婦人たちが駆け寄って
群馬のためにと協力を求めます。
美和め、またやったな、と苦笑する素彦です。
優雅な音楽が流れてきて、鹿鳴館のなかはダンスタイムです。
旦那さま、ダンスを、と美和に言われて、明らかに表情が曇る素彦。
恐らく踊ったことはないのでしょう。
でも、本来であれば殿方がリードするのですが、
この時のために美和は安子からダンスを特訓してもらったようで
美和のリードでダンスすることになります。
ただ、相当な気疲れからか
群馬に帰った美和は発熱で寝込んでしまいますw
群馬県の就学率が全国1位になったというニュースが舞い込み
さらに、資金に目処がついたため
前橋までの鉄道敷設が決定という嬉しいニュースも飛び込んできます。
群馬生糸、世界一も夢じゃない! とみな大喜びです。
上野から熊谷間の鉄道が開業し、
いよいよ前橋までの工事が開始されます。
そして同時に進めている、政府要人たちを迎える
迎賓館の建設も工事は着々と進んでいます。
はじめ、素彦が群馬県にやってきた頃は
他所から来た人にいったい何が出来るというのだ、と
冷ややかな支線を送っていた県職員たちも、
他所から来た素彦だからこそできたのだ、と考え直し、
これから忙しくなりますよぉ! と輝く目で仕事に励んでいます。
しかし、それとは反比例して
素彦の表情は少しずつ影を見せ始めています。
こうして軌道に乗ってきた群馬の事業も順調に進み
それでもいろいろと考えているらしい素彦に
今度は何を? と聞いてみる美和ですが──。
「県令を辞めようと思う」
群馬の人たちは素彦に、これからも県令として
腕を振るってほしいと思っているのですが、
あとはココの人たちでやっていくのがいい、と素彦。
まるで二条窪の時のようです。
美和は、最終的には旦那さまについて行きたいという気持ちですが、
阿久沢せいやみんなと作った場所でもあり
姉との約束でもあるこの「学びの場」をどうするか、迷っています。
今自分が去ったら、作り上げたこの場がなくなってしまうかもしれません。
「私らだけじゃ無理とでも言いたいんかい?」
美和に生きる力をもらったからこそ
みんな自分で考えられるようになってきたわけです。
そんなみんなが存続できるか──できます、できるはずです。
せいは、美和の背中をポンと押します。
「自分の道を貫いてくださいな。あンたはどこに行ったってあンただよ」
素彦は明治政府に辞表を提出。
そのことを知った県庁の職員たちは大騒ぎです。
もちろん、素彦の辞職には大反対の立場なのですが、
阿久沢権蔵がひとりひとり説得し、ようやく納得してもらえました。
東京から戻った素彦と美和は、
完成間近の迎賓館『臨江閣』に呼ばれます。
群馬の人たちが催す、ふたりの送別会です。
そしてふたりが群馬を去る日、
長旅だからとせいはふたりにお弁当を作って
見送りにきてくれました。
「馬車で来て、汽車で帰るんだね。群馬のこと忘れないどくれよ!」
その車中、素彦は美和に
木箱に入った3巻の巻物『涙袖帖』をプレゼントします。
かつて、素彦からプロポーズを受けた美和が過去と決別するため
前夫・久坂玄瑞からの手紙を処分しようとしていた、
あの手紙を巻物に仕立てたわけです。
美和の手には、群馬の学びの場から持ち帰った
花の種があります。
新しい場所で実がなり、次の種となる。
また、ここからつながっていくんですね。
どうか、一粒の籾として次の春の種となりますよう──。
【花燃ゆ紀行】
美和は、亡き夫・久坂玄瑞の手紙を大切に残していました。
楫取素彦は、これを巻物に仕立て
『涙袖帖(るいじゅうじょう)』と名付けます。
楫取と美和は、山口県防府に移り、居を構えました。
2人は教育活動に熱心に取り組み、幼稚園の創設を支援します。
120年余りを経た今も、ここには子どもたちの笑顔があふれています。
美和は、裁縫などを教える女学校の設立を後押しし
女性の教育にも尽力しました。
楫取は、明治天皇の第10皇女・貞宮の
養育係に任じられ、夫婦でこれを務めました。
しかし貞宮は幼くして亡くなります。
その遺品は、楫取により防府天満宮に納められました。
最後まで人を育てることに力を注いだ楫取と美和。
激動の時代を生きた2人の墓は、
防府市桑山の麓に寄り添うように建てられ
日本の行く末を見守っています。
<完>
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