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2016年2月27日 (土)

プレイバック武田信玄・(14)尾張の異端児

釜無川(山梨県)──。

水を制するものは天下を制す。
釜無川は毎年のように氾濫し、農民たちを苦しめた。
この暴れ川を治めようと、晴信は大治水工事を敢行した。

水をもって水の勢いを削ぐ。
晴信が用いた工法は自然の力を利用して洪水を防ぐという
現代にも通用する画期的なものであった。

『信玄堤』。
この20年にわたって行われた大規模プロジェクトは
甲斐の国をさらに豊かにし、
山梨県の農業の基礎を築き上げたのである。


駿河に追放した武田信虎ですが、
今や今川義元の手にも負えなくなったのか
京で遊興ざんまいの日々です。

そんな信虎からの書状を持って、
らんが京から甲斐に戻ってきます。
今までの悪行を許すから、
自分を甲斐に戻せ、と言っているのでしょう。

武田晴信は、短いため息をつきます。

そしてさらに、都に上れ、天下を取れ、
他の子とは考えるな、との信虎からの伝言を晴信に伝えます。
しかし晴信は、甲斐が都と考えているようです。


半年後・天文19(1550)年5月。

晴信は、いよいよ小笠原長時攻めに行きたいところですが、
今から戦の準備をしても、
実際に攻め込むのは6月にずれ込むでしょう。
そして落城に秋までかかる見込みです。

秋になれば稲の収穫に戻らなければなりません。
収穫を終えて再び小笠原攻めに戻るのは、現実味に欠けます。

他にやらなければならないことがたくさんあり過ぎます。
晴信は、まずは急ぐまい、と
腰をしっかり据えて事に当たることにします。

しかし、義元に嫁いだ於豊の訃報が舞い込みます。
晴信は、姉の死によって駿河との絆が切れた今
信濃に戦をしにのこのこと
出かけるわけにはいかないとの判断を下します。


大雨が降り続き、
第一の堤、第二の堤が呑み込まれてしまいます。

「父上! 土手が切れまする!」
叫ぶ次郎を見て、
晴信は慌てて土手の様子を見に行きます。

堤の復旧作業を農民たちとともに行っていた飯富虎昌ですが、
晴信からの命令により、いったんは作業を中断し
高台に避難しています。

そこに到着した晴信。
農民たちの無事を確認し、洪水が収まるまで
工事は何度でも何十年でも続ける、と約束します。

そこに、今にも倒壊しそうな小屋から赤子の声が──。

目の見えない次郎が、
土手が切れるから早く助けよと言っていました。
晴信には、この赤子のことに思えてなりません。

必死に止める飯富を無理矢理退け、小屋に駆けよる晴信。

晴信が入った途端、小屋は倒壊してしまいますが
ゆっくりと起き上がった晴信は、赤子を高く掲げます。
「赤子は無事じゃ!」


今川家からの使者が躑躅ヶ崎の屋形に到着しました。

於豊の方が逝去して、武田と今川の絆は切れた状態ですが
盟約は引き続き持たなければなりません。
ゆえに、これからも強い絆で結ばれるよう
さらに強い縁を結ばなければなりません。

それを聞いた晴信は、もちろん異論はありません。

今川との関係が解消される心配がなくなって、
晴信は小笠原の林城を攻めるべく出陣します。

まずは少数が守る支城を落とし、
林城から見えるように大量の松明を掲げ
山本勘助が調達した鉄砲20丁を一斉に放って
勝鬨を上げます。

その勝鬨は山々にこだまし、
何千、何万の軍隊が押し寄せたように聞こえます。
最初こそ、城から退去はしないと言っていた小笠原は
その夜のうちにこっそりと城から脱出したのです。


尾張・萬松寺──。

尾張守護代・織田信秀の葬儀であります。
そこに、赤い着物を片肌脱いだ男が現れます。
織田信長です。

焼香をむんずと掴むと、父の位牌に投げつけます。
信長も、晴信と同じように
父に対して特別な思いがあるのでしょうか。
それとも、単なる大ウツケなのでしょうか。

信秀が亡くなったことで、尾張中から
反乱の火の手が起こるかもしれません。

しかし信長は、絶対的な自信がありました。
自分が守護代になったからには、今川も北条も武田も、
そうやすやすと都へ通したりはしません。


10年の年月を経て、晴信はいよいよ村上攻めを行います。


天文19(1550)年7月15日、
小笠原長時が本拠の林城を
武田晴信の攻撃によって失い、没落する。

慶長20(1615)年5月7日、
大坂夏の陣にて真田信繁が討ち死にするまで


あと64年9ヶ月──。


脚本:田向 正健
原作:新田 次郎「武田信玄」
音楽:山本 直純
タイトル題字:渡辺 裕英
語り(大井夫人):若尾 文子
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[出演]
中井 貴一 (武田晴信)
紺野 美沙子 (三条の方)
石橋 凌 (織田信長)
麻生 祐未 (濃姫)
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村上 弘明 (源助)
宍戸 錠 (原 虎胤)
児玉 清 (飯富虎昌)
美木 良介 (馬場信春)
小林 克也 (原 昌俊)
橋爪 功 (真田幸隆)
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中村 勘九郎 (今川義元)
御木本 伸介 (平手政秀)
岸田 今日子 (寿桂尼)
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平 幹二朗 (武田信虎)
小川 真由美 (八重)
西田 敏行 (山本勘助)
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制作:村上 慧
演出:重光 亨彦

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