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2016年3月 4日 (金)

プレイバック武田信玄・(16)信濃征服

平安時代末期、初めて歴史に登場した騎馬武者は
またたく間に勢力を広げていった。
その頂点にあったのが、
当時最強と謳われた武田騎馬軍団である。

なぜ、彼らは強かったのか。

甲斐は馬に恵まれていた。
八ヶ岳や駒ヶ岳のふもとには奈良時代から牧場が設けられ
数多くの馬を生産していたのである。

当時の馬は、現在のサラブレッドに比べて
はるかに小型ではあったが、
頑丈で、持久戦にも良く耐えた。

馬は乗り手を選ぶ。
甲斐は馬の乗り手にも恵まれていた。

生活のなかで、馬と慣れ親しんでいた甲州武者たちは
戦場という修羅場にあっても、
思いのままに愛馬を操ったのである。


天文22(1553)年1月、
山本勘助が甲斐に戻ってきました。

「鉄砲商人がよく似合うの」
武田晴信は、少し笑いを堪えながら勘助を迎えます。
それはそれとして、晴信は
越後の長尾景虎の様子を勘助にたずねます。

景虎の動きは、最近は特に激しくなっています。
鉄砲を集められるだけ集めよと命じてきたほどです。

もともと長尾家は上杉家の家来筋にあたり
それゆえに越後の地へ行かされて地を治めてきました。

そこで上杉家の当主・関東管領の上杉憲政が
北条に追われ長尾に助けを求めると、
景虎としては上杉家を助けるために
出兵せざるを得ないわけです。

現時点での武田の標的である村上義清も
後方に控える景虎に助けを求めているようで、
誰からも頼られる存在であるようです。

だからこそ、場合によっては景虎との対決は
避けた方が無難かもしれない、と勘助は晴信に進言します。


晴信が、村上攻めを決断します。
とはいえ、村上居城の葛尾城への道は1本しかなく
しかも馬で登れるような道ではない険しいものなので、
城攻めは少し難儀するかもしれません。

「周辺の豪族を寝返らせてご覧に入れまする」と
真田幸隆は鼻の穴を広げて気合い充分です。

晴信は、義信を引き連れて戸石城を築き直すために
佐久に向かうという噂を流させます。
その噂を耳にすれば、村上は佐久からの道を固めざるを得ません。
冬の間、ずっと兵を休ませられないわけです。

ともかく、晴信が義信を連れて行く、ということは
義信は初陣ということになります。
飯富虎昌は傅役として、目をらんらんと輝かせ感激しています。


武田信虎は、寿桂尼と対面して
早く甲斐に戻してほしいと懇願します。
野心はもうすでに潰えて、
孫の顔を見ながら死にたいというわけです。

しかし寿桂尼は、信虎は武田からの人質でもあるので
自分の一存ではどうにもならぬと信虎の願いを聞き入れません。

わしはもう長くはない、と
信虎は胸を押さえて苦しみ出しますが、
それもこれも、自分が甲斐に戻るための演技です。
でも残念ながら、甲斐に返そうという結論にはなりませんw


晴信は戦に出る前に、家族全員を集めて
母・大井の方の1ヶ月法要を営みます。

そこで、盲目となってしまった次郎に
この先どんな道を歩んでいきたいかを聞きます。
分からないという次郎に晴信は、
僧になって仏を守り、学問を深めるという道を提案します。

しかし、弟の支えになると決心していた義信は
次郎のことは自分が引き受けるから、と
僧にしないでほしいと父に願い出ます。
三条夫人も横に並び、頭を下げます。

次郎は決心した、と晴信が心穏やかに言っても
次郎が僧になる決心などするはずもない、と
それが真の決心かを問いつめる兄に、晴信は手を上げます。
「聞くなと申しておるのが分からぬのか!」

ハッハッハッ、と岐秀和尚が笑いながら現れ
殺し合うこともなく、恨みを持つこともなく
自由に生きることが出来る僧の道を
ともに歩んでいこう、と誘います。

「よろしゅう、お願い申し上げます」
あれだけ家族が大騒ぎしていた中、
次郎は落ち着いて、手をついて頭を下げます。


いよいよ、村上攻めです。

戸石城に行くために佐久に向かうという噂を信じて
戸石川沿いに兵を配置し、ずっと守らせていましたが、
いま晴信は、全く違う方向の塩尻峠を越えて
北信濃に向かっているのです。

裏切り者がおる、と村上は疑心暗鬼に陥っています。


出浦城を守る村上の重臣・大須賀久兵衛は
真田の誘いに乗り、村上から武田に内々に寝返っています。

ただ、寝返っただけでは何の利益もありませんので、
武田が攻め落とした苅屋原城の兵士として
勘助と真田が出浦城に向かって
大須賀と一緒に武田と戦う約束を交わし、

武田からの猛攻に耐えかねた大須賀は
出浦城を捨てて狐落城に退き、
大須賀とともに狐落城に入った勘助たちが
城を奪って落とすという手はずです。


大須賀が武田に寝返ったという確信を持った村上は
大須賀め! 晴信め! と地団駄を踏みますが、
村上にとって予想外だったのは、
さらに村上から武田への裏切りが増えたことであります。

「晴信め! わしと太刀を持って戦え!」
戦であれば勝つ自信はあるものの、
裏工作で次々と城を落とされていっては
村上は全く太刀打ちできません。


村上を葛尾城から追い出し、
12年かけてようやく、信濃を手に入れます。


天文22(1553)年4月9日、
武田への内応者が増え、村上義清は葛尾城を一時脱出。

慶長20(1615)年5月7日、
大坂夏の陣にて真田信繁が討ち死にするまで


あと62年──。


脚本:田向 正健
原作:新田 次郎「武田信玄」
音楽:山本 直純
タイトル題字:渡辺 裕英
語り(大井夫人):若尾 文子
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[出演]
中井 貴一 (武田晴信)
柴田 恭兵 (長尾景虎)
紺野 美沙子 (三条の方)
古村 比呂 (於津禰)
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村上 弘明 (源助)
宍戸 錠 (原 虎胤)
児玉 清 (飯富虎昌)
美木 良介 (馬場信春)
小林 克也 (原 昌俊)
橋爪 功 (真田幸隆)
──────────
内藤 武敏 (岐秀和尚)
上條 恒彦 (村上義清)
滝田 裕介 (上杉憲政)
岸田 今日子 (寿桂尼)
──────────
平 幹二朗 (武田信虎)
小川 真由美 (八重)
西田 敏行 (山本勘助)
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制作:村上 慧
演出:大森 青児

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