« はぴはぴ | トップページ | 大河ドラマ真田丸・(10)妙手(みょうしゅ) ~誰も死なせぬ策〜 »

2016年3月12日 (土)

プレイバック武田信玄・(18)さらば湖衣姫

時、まさに健康ブーム。

日本人の平均寿命は……
[女性]80.93歳 [男性]75.23歳 (昭和61年)

今や世界一の長寿国である。

“健康”という2つの文字に、
人類はつねに最大の関心を持ち続けてきた。

古くから人間を苦しめてきた病に「結核」がある。
昭和25年ごろ、全国に50万人以上の患者がいて
死亡原因の第一位を占めていた。
今では抗生物質の普及で結核患者の数は大幅に減少したが
時々集団感染が起きるほど、結核菌は強力なものである。

晴信の側室・湖衣姫が冒されていた労咳も
結核菌が引き起こしたものである。
決定的な治療法がなく、衛生環境も悪かった戦国時代、
結核によって死ぬ危険性は、
現代とは比べ物にならないほど高かったに違いない。

労咳にひどく蝕まれていた湖衣姫。
いま、その若い命を閉じようとしている。


長尾景虎と川中島でにらみ合いの途中、
湖衣姫危篤の急報を受け、諏訪に急いだ武田晴信。

真っ暗な廊下に、四郎が座って父を迎えます。

立ち上がり、父の手を引いて湖衣姫の居室に連れて行くと
そこには、湖衣姫の亡きがらが横たわっていました。

「母上は死んだ……父上を待っていたぞ!」
父を睨みつけ、部屋を出て行く四郎。

冷静に振る舞っていた晴信ですが、
涙があふれてきました。

晴信の青年期が、いま終わろうとしていました。

結局、景虎と決着を付けないまま
甲斐に戻ることになりました。


正室・三条夫人は、湖衣姫が亡くなった今、
少しずつ自分から離れつつあった晴信の心を
グッと掴むチャンスが到来したわけです。

しかし、居室でどれだけ待っても晴信が来ません。

里美の部屋にいるらしいことを知り、
三条の元へ……!! と頭を下げる三条夫人。
その様子は、およそ京の公家出身の女としては
ちと見苦しいほどであります。

表の寝所に参る、と晴信は里美の部屋から出て行きます。


四郎がスヤスヤ眠っている横で、
湖衣姫の乳母・たきがその寝顔を見ています。

外で、何者かに襲撃される音が聞こえ
たきは四郎を起こし、庭の植え込みに隠れるように言います。
コクリと頷く四郎。

じき、襲撃者が四郎の居室に踏み込んできます。
そこで待ち構えるたき。

憎き武田に魂を売った湖衣姫は
諏訪大明神の逆鱗に触れてあの世に送られた、と言う男たち。
あくまでも「四郎を出せ」と要求しますが、
ここにはおらぬわ、とたきは拒絶します。

その瞬間、たきは串刺しにされて落命してしまいます。

庭からその様子を見ていた四郎は
襲撃者が立ち去った後、小声で晴信を呼びます。


岐秀和尚の元で修行に励んでいる慈念(次郎)。
就寝中でしたが、四郎の呼ぶ声が聞こえたのでしょうか。
むくりと起き上がります。
「四郎……」

四郎が助けを求めている、と岐秀和尚に話し
晴信に取り次ぐか、自分を躑躅ヶ崎の屋形へ
連れて行ってほしいと願い出ますが、
岐秀和尚は、仏の道とは……と説法を初めて聞き入れません。

慈念は、急ぐのじゃ! と一人でも躑躅ヶ崎へ向かおうとします。
岐秀和尚はただならぬ雰囲気を感じ取り、
自分とともに慈念を躑躅ヶ崎へ連れて行くことにします。

四郎が晴信に助けを求めていることを慈念が必死に訴えると、
晴信は慈念の手を取ります。
「分かった。よう知らせてくれた」

とりあえず屋形内に残る兵を集められるだけ集め、
諏訪に急いで向かうことにします。

父が諏訪に四郎を助けに行くと知り、義信も名乗りを上げます。
義信の名乗りは晴信もとても驚きですが、
「弱き者を助けるは正義!」と言うので、
義信にも供をしてもらうことにします。


早朝、諏訪にたどり着いた晴信と義信。
四郎は……無事でした。
ただ、たきが襲撃されて亡くなっているので
四郎はひとりぼっちです。

晴信は、義信に
武田家嫡男として弱き弟を助けよと命じます。
「四郎、この兄に、たくさん可愛がってもらえ」

諏訪湖を前に、異母兄弟が手をつなぎ
絆を肌に感じ取ります。


そのころ、今川と北条の間で戦が始まっていました。

イライラが募る今川義元は晴信に使者を送り、
援軍を依頼します。
もし即座に応じなければ、
預かっている信虎を送り返すと脅すつもりです。
(冷静沈着な寿桂尼によって、これはナシになりますがw)

結局は、晴信が今川の援軍として
戦に参加することになるわけですが、
事態は思わぬ方向に進み、意外な結末を迎えることになります。


弘治元(1555)年11月6日、
諏訪御寮人・湖衣姫が死去。享年25?

慶長20(1615)年5月7日、
大坂夏の陣にて真田信繁が討ち死にするまで


あと59年6ヶ月──。


脚本:田向 正健
原作:新田 次郎「武田信玄」
音楽:山本 直純
タイトル題字:渡辺 裕英
語り(大井夫人):若尾 文子
──────────
[出演]
中井 貴一 (武田晴信)
紺野 美沙子 (三条の方)
大地 真央 (里美)
南野 陽子 (湖衣姫)
──────────
結城 美栄子 (たき)
内藤 武敏 (岐秀和尚)
──────────
中村 勘九郎 (今川義元)
岸田 今日子 (寿桂尼)
──────────
小川 真由美 (八重)
杉 良太郎 (北条氏康)
──────────
制作:村上 慧
演出:一井 久司

|

« はぴはぴ | トップページ | 大河ドラマ真田丸・(10)妙手(みょうしゅ) ~誰も死なせぬ策〜 »

NHK大河1988・武田信玄」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« はぴはぴ | トップページ | 大河ドラマ真田丸・(10)妙手(みょうしゅ) ~誰も死なせぬ策〜 »