大河ドラマ真田丸・(19)恋路
ついに上洛した昌幸は、家康の下で与力大名となった。
父のために奔走した信繁を助けたのは、
秀吉が想いを寄せる茶々であった──。
父・真田昌幸との対面を豊臣秀吉に掛け合うことを条件に
茶々の、私の願いを聞いてほしいという約束があった真田信繁。
信繁が茶々に呼ばれて赴くと、
茶々は侍女が着る着物に身を包んでいました。
大坂城内にある、ある蔵の中を見たいようです。
秀吉に見つかったら大変なことになる、と怖じ気づく信繁ですが、
「見つからなければいいことですッ」という茶々の言葉が
ストンと腑に落ちる信繁w
茶々が見たかった蔵は、いわゆる武具倉庫でした。
茶々は5歳のとき、父・浅井長政が
織田信長に攻められて小谷で切腹しましたが、
その時の攻め手は秀吉でした。
10歳の兄・万福丸は、
秀吉によって串刺しの刑に処されてしまいます。
その後に母・お市が嫁いだ柴田勝家は
秀吉に攻められ、お市を一刀の元に斬り殺した後、切腹。
茶々の親しい人たちは、
みんな秀吉によって殺されているのです。
幼い頃からたくさんの人が殺されるのを見てきた茶々は
人が死んでも何とも感じないわけです。
そんな時、眺めていた刀が茶々目がけて倒れてきます。
キャッ、と飛び退く茶々を、
信繁は手をグイッと引っ張って危険から助けます。
このまま、誰も来ませぬ、と信繁の胸に顔を埋める茶々。
「殿下の側室になるように言われました」
しかし信繁は、
茶々が側室になるのは幸せかどうかは分からないが
断ればあまり幸せにはなれないだろう、と
まるで他人事のように言います。
ふん! と身体を離した茶々は、武具倉庫を出て行きます。
「誰の膝の上か、分かってますか?」
茶々に惚れてしもうた、とつぶやく秀吉は
寧に膝枕してもらっているんでしたw
その城は落とすのが難しい、
しかしそういう城ほど落としてみたくなる……。
かかならどう攻める? と言われてプウゥと膨れる寧ですが
茶々の父も母も秀吉に殺されたようなものなので、
下手な小細工はせずに真っ正面から
ぶつかっていくしかない、と語気を荒げます。
茶々は、秀吉と石田三成に
京に建設中の“聚落第”の図面を見せられます。
秀吉はいずれ政治の中心を、
大坂から京の聚落第に移したい考えです。
源次郎(=信繁)と一緒でないとここに残ります! と主張する茶々ですが
「案ずるな、源次郎と一緒じゃ」と秀吉は笑っています。
しかし信繁は、茶々に気に入られていることが
悪い方に働かなければ良いが、と内心ハラハラです。
内裏に行ってくる、と秀吉が出て行くと
ああいうことを言うものではありません、と
信繁は茶々に牽制をかけます。
茶々は信繁に恋をしているわけではないし、
信繁も茶々に恋心を抱いているわけでもないので
別にいいじゃない、と茶々は考えているようですが、
茶々の乳母・大蔵卿局の情報によると
ふたりのことはあちこちで口の端に上っているのだとか。
それを聞いて信繁は顔真っ青です。
普段は温厚な片桐且元からも
身分をわきまえよ、と叱られる始末。
駿府城にいる真田昌幸・真田信幸。
徳川の家臣になるか囚われの身になるかを迫られ
止むなく家臣の道を選んだ叔父・
真田信尹にも久々に対面します。
記憶を取り戻しつつある松も一緒におりまして、
リハビリ中といったところでしょうか。
昌幸は、駿府城の絵図面を入手し
駿府城を見下ろせる山の存在を指摘します。
「わしが城を攻めるなら、ここに陣を敷く」
そんな会話がなされている真田の動きを
家康は逐一知りたいのだそうです。
そこで、本多忠勝の愛娘・稲を家康の養女としてもらい受け
信幸に嫁がせたい、と考えています。
ウワアァァァ……と柱に頭を打ち付けて悔しがる忠勝。
初めて会った時に見た信幸の、反抗的なイメージが残るのか
あまりいい風には思っていないようです。
ただ、殿の命には逆らえず、稲を渋々説得します。
(不本意ながら)喜んでお役目果たします、と答えた稲。
愛娘ですから、忠勝が稲をギューッと抱きしめますと
ウウウゥゥゥ……とうなり声を上げ、父をパーンとはねのけます。
「やっぱりイヤでござりますッ!!」
信幸には昌幸の兄の娘・おこうという
立派な(でも病弱な)妻がおりますが、
家康に言わせれば、離縁すれば済むことだ、と素っ気ないです。
徳川の狙いは、真田に裏切られたくない証か
もしくは真田の内情を探るための間者か──。
使えるな、と昌幸は信幸の大反対を退け、
おこうを里に帰すことにします。
これぞまさしく政略結婚!
正妻を離縁された男と、無理矢理結婚させられた娘の対面。
これほど火花が散る男女の出会いはありません。
大坂では、信繁が茶々を蔵に連れ込んだという
ウワサで持ち切りです。
平野長泰から加藤清正、片桐且元を経由した
そのうわさ話が秀吉の耳に入るわけですが、
出頭を命じられた信繁は、根も葉もないウワサ、と主張。
それに対して且元は、又聞きの又聞きということで
分は信繁にありそうです。
茶々のそばで使える信繁は、このままではいけないと
この際、役替えで秀吉の側近くで仕えたいと言いますが、
秀吉はもう少し茶々の側にいてやってくれ、と諭します。
「あれは寂しい女子なのだ。話し相手になってやってほしいのだ」
信繁にも落ち度、隙はあったんだと思う、と
きりはズバリ信繁に指摘します。
男なのだし、あれだけキレイな人なので
少しはやましい気持ちになることもあったでしょう? と言われて
少しは、と認める信繁ですが、きりはたちまち酸っぱい表情になります。
「ほらほら、それを言ってるのよ!」(←しかも巻き舌w)
きりは、自分に好意を寄せている豊臣秀次に頼み込んで
加藤清正の誤解を解いてもらおうと頭を下げますが、
一度こうだと思ったら考えを改めることをしない清正に
秀次はまったく歯が立たないようで。
仕方ないので、三成に書状を書いてやります。
そんな願い事、三成ほどの人物が
聞き届けるとは思えませんでしたが、
これ以上、秀吉の周辺で不可解な死を迎える者を
新たに生まぬためにも、三成は清正を九州に送ることにします。
三成に感謝する信繁ですが、
大谷吉継曰く、清正の九州行きは以前から決まっていたので
そこまで恩に着ることもない、と言われ、信繁は仰天ですw
しかし、続く吉継の言葉から、
秀吉の壮大な計画を信繁は知ることになります。
つまり、九州を平定した後、そこを足がかりとして
朝鮮、明へ攻め込む、というのです。
ちなみに清正は、九州平定の1年後、
肥後で195,000石の大大名となります。
朝鮮に上陸するのは、その4年後のことであります。
建設していた聚落第が完成し、茶々や信繁はお引っ越し。
大広間の向こうには蔵が並んでいるのですが、
武具などを収めると聞いて、茶々は口を滑らせます。
「蔵ですって。また一緒に見に行きましょうね!」
もともと険しい表情だった信繁の表情はさらに険しくなり、
三成は、もう知らんという感じで目を背けます。
あっ……と気がついた茶々ですが、後の祭りです。
笑顔だった秀吉の表情も険しくなります。
「茶々……“また”とはどういうことだ?」
御所からの使者を出迎える、と三成が退室し、
秀吉の命で大蔵卿が退室すると、
秀吉はすごい形相で信繁を睨みつけます。
「どの蔵だ」
「武具の蔵でございます」
短くため息をついた秀吉は、いろいろな忌まわしい出来事を
見せつけられてきた茶々への罪滅ぼしとして
美しいものに囲まれ、楽しいことで過ごしてもらおうと
茶々を武具の蔵から遠ざけたわけです。
九州平定を間もなく成し、
関東の北条と奥羽の伊達さえ片づけば全国統一です。
そして茶々は、その天下人の妻となる。
「誰よりもわしは、そなたを愛しゅう思うておる」
“茶々は、日の本一 幸せな女子でした”
この世を去る時、そう言ってほしいと強く願う秀吉は
茶々をそっと抱きしめます。
信繁は、その二人のやり取りを背中で聞いています。
秀吉の側室になることを約束した茶々。
信繁が役替えを望んだと秀吉から聞いたらしく
側室に上がることを期に、信繁を秀吉に返すことにします。
私と源次郎は、不思議な糸で
結ばれているような気がするのです。
離ればなれになっても、いつかまた戻って来る──。
「そして私たちは、同じ日に死ぬの」
下がりなさい、と言われて、深々と頭を下げる信繁です。
茶々は正式に、秀吉の側室となりました。
それは、間違いなく
秀吉政権が崩壊へ向かう最初の一歩でありました。
天正15(1587)年9月、
豊臣秀吉が建てた政庁・邸宅・城郭の聚落第が完成する。
慶長20(1615)年5月7日、
大坂夏の陣にて真田信繁が討ち死にするまで
あと27年8ヶ月──。
作:三谷 幸喜
音楽:服部 隆之
題字:挾土 秀平
語り:有働 由美子 アナウンサー
──────────
[出演]
堺 雅人 (真田信繁)
大泉 洋 (真田信幸)
長澤 まさみ (きり)
木村 佳乃 (松)
山本 耕史 (石田三成)
新井 浩文 (加藤清正)
吉田 羊 (稲)
片岡 愛之助 (大谷吉継)
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小林 隆 (片桐且元)
近藤 芳正 (平野長泰)
竹内 結子 (茶々)
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小日向 文世 (豊臣秀吉)
藤岡 弘、(本多忠勝)
鈴木 京香 (寧)
近藤 正臣 (本多正信)
内野 聖陽 (徳川家康)
草刈 正雄 (真田昌幸)
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制作統括:屋敷 陽太郎
:吉川 邦夫
プロデューサー:吉岡 和彦
演出:小林 大児
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『真田丸』
第20回「前兆」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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