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2016年5月20日 (金)

プレイバック武田信玄・(38)小田原攻め

第35代アメリカ大統領 ジョン・F・ケネディ──。
『米国民諸君「国が何をするか」ではなく
 「諸君が国に何をするか」を自問してほしい』

歴史は、時として彗星のように表舞台に登場し
その使命を終えるや、風の如く消えていくヒーローたちも多い。

彼らは新しい時代の扉を開き、そして
時代の圧力によって短い生涯を追えるのである。

織田信長──。
この人物も、天下平定を目前にして
本能寺に倒れることになる悲劇のヒーローである。

織田信長ほど、その性格について多く語られる人物は例を見ない。
曰く、直感的、合理的、無神論者、はたまた冷酷無比、
いずれにせよ、彼の既成にとらわれない挑戦的な生き方に
人は共感を覚え、500年経った今も魅せられるのである。

信玄から見れば、信長は
新人類として映ったに違いない。
それゆえに信玄は、信長を警戒し
信長もまた、信玄の底力を畏れたのである。


武田信玄は駿府城を奪い、南の海と金山を手にしました。
ただこの時武田軍は、甲斐へ戻る峠道を
北条勢によって封じられていたのでした。

そして徳川と北条の間に盟約が結ばれたようで
力を合わせて甲斐を攻撃するという話にまで
至っているようです。

さらに北条氏康は、今川氏真に海路で
支援として兵を送り込んでいるらしく、
信玄は、武田に味方する今川の重臣たちに
海賊衆を作る相談を持ちかけることにします。


上杉家重臣・直江実綱は、
信玄が駿河に攻め入ったことを知り
越後との国境にある海津城を
どうにかしたいと考えています。

直接攻め込むようなことはせず
調略によってこちら側になびかせればいいわけですが、
そういった汚いやり方を上杉輝虎は嫌うので、
秘密裏に動かねばなりません。


家康が駿府城に向かっていることを知った信玄は
軍勢をいったん甲斐に戻すことにします。
駿府を空けることにはなりますが、
武田に味方する国衆たちには手を打ってあります。

甲斐に戻りはしますが、これは
戦国レースから後退したわけではありませんで、
むしろ天下獲りへの希望を強くするものであります。
信玄は「天下を獲る!」と弟・武田信廉に宣言します。

そして追い出された今川氏真は北条によって助けられ
伊豆戸倉で匿われることになりました。
これから先、今川が駿府城に戻ることはもうなく
駿河今川家は滅亡しました。


氏康は輝虎に和睦の書状を送ります。

20年来の敵からいきなり和睦の手紙が届けば
輝虎でなくとも驚きは隠せないでしょうが、
輝虎からも和睦の条件が記された書状が届きます。

その内容に目を通し、当主の北条氏政は激怒。
和睦に反対の立場ですが、
隠居の氏康は丁寧に氏政を説き伏せます。

和睦は北条から言い出したことですので、
少なくとも北条から上杉へ人質を送らなければなりません。
また、上杉の提示する条件にも、北条がすり寄らなければ
和睦は成立しようがありません。

ただ、氏政は氏政で、和睦の危うさを知っているつもりです。
相模・駿河・甲斐、三国同盟の時に相模へ来た妻・お梅は、
氏政との間に5人の子どもを成し、
同盟が切れるや否や甲斐に戻され亡くなりました。

氏康は、氏政の思いはそれとして
上杉と折衝を続けるように松田憲秀に命じます。


躑躅ヶ崎の館に戻ってきた信玄は
風邪で寝込んでいる三条夫人を見舞います。
労咳だ、と自己診断する三条に、
信玄は「風邪であろう」と笑っています。

そして、ついに妻に
西に向かう決心を固めたと伝えるわけです。
「天下を獲ってみせる。そちもつれて参るぞ」

三条の居室を出た信玄は、見送りに来た八重に
三条が労咳であろうことを伝え
温泉で湯治させよと命じます。


越後と相模の間にも、盟約が結ばれました。
これにより、徳川・北条と北条・上杉の同盟ラインが完成し
武田はそれに囲まれるような形になってしまいます。

信玄は、徳川と北条が同盟を結ぶのは約束が違うと
信長に使者を送り、
将軍・足利義昭には、上杉と武田が和睦できるように
取り計らいを依頼します。


永禄12(1569)年・秋。
武田軍は碓井峠を越えて上野国へ入り
支城を攻めながら、氏康の小田原城に向かいます。

いま上杉が動けば、北条と上杉の挟み撃ちになって
武田はたちまち危うい立場に陥りますが、
上杉に動く気配はありません。

国境の海津城は、高坂弾正が守っているので安心ですが、
高坂としては、みんなが小田原攻めで働いている時に
城を守っているだけのお役目は、逆に不満かもしれません。

そんな時、庭先で掃き掃除をしている女をみかけます。


相模から見る日の出を拝み、相模への挨拶回りも終わったと
信玄は甲斐に戻ることにします。

小田原城の壮大さを見て諦めたのであろう、と
氏政は笑いますが、
氏康だけは違っていました。
「軍勢を整えよ! 武田信玄に追い打ちかける!」


留守を預かる三条が、廊下で吐血して倒れます。


永禄12(1569)年10月1日、
北条氏康の小田原城を囲んだ武田信玄は
4日後の10月5日に小田原城下に火を放ち軍勢を引き上げる。

慶長20(1615)年5月7日、
大坂夏の陣にて真田信繁が討ち死にするまで


あと45年7ヶ月──。


脚本:田向 正健
原作:新田 次郎「武田信玄」
音楽:山本 直純
タイトル題字:渡辺 裕英
語り(大井夫人):若尾 文子
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[出演]
中井 貴一 (武田信玄)
柴田 恭兵 (上杉輝虎)
紺野 美沙子 (三条の方)
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村上 弘明 (高坂弾正)
美木 良介 (馬場信春)
篠田 三郎 (山県昌景)
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井上 孝雄 (松田憲秀)
橋爪 功 (真田幸隆)
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宇津井 健 (直江実綱)
小川 真由美 (八重)
杉 良太郎 (北条氏康)
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制作:村上 慧
演出:大森 青児

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