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2016年7月29日 (金)

プレイバック真田太平記・(08)上田城死守

天正13(1585)年8月2日・早朝 砥石城──。

徳川方の総大将・大久保忠世は
上田城総攻撃の命を下します。

対し、守る真田信幸は
徳川軍が上田城に攻めかかろうとしていたその時
脇腹を突くべく密かに砥石城を発ちます。

で、上田城の真田昌幸はといいますと
櫓で壺谷又五郎とのんきに碁を打っています。
これはいつも通りとでも言いましょうか。


同じころ、上野沼田城でも
激しい攻撃が始まっていました。
城代・矢沢頼綱は、
攻めかける北条軍を懸命に防いでいます。

「上杉が援軍を出した、みなにそう申せ!」
北条軍は、この頼綱を前に攻めきれないでいたわけです。


徳川に対し勢いに勝ると思われた信幸軍ですが、
信幸の合図とともに撤退を始めます。
一時はじりじりと押されていた徳川軍は
引き始めた信幸軍を見て、追え! と反転。

信幸軍は上田城下の常田口を通り、
上田城三の丸から入場して二の丸まで撤兵します。

それにつられて徳川軍も追ってくるわけですが、
戦の前から徳川の草の者たちの調査のお陰で
上田城への道はすべて徳川方には明らかになっていて
迷路の如くの城下町も、いとも簡単に通過。

徳川軍が通過していった狭い城下町では
お江の合図で、あらかじめ用意してあった柵を
次々に地面に差し込んでいきます。


勢いで三の丸に突入した徳川軍ですが、
崖をよじ登ろうものなら上からは丸太が次々と落とされ、
形勢を立て直している間に至近距離から鉄砲で狙われ
そこに無傷の真田軍が乱入!

敵はたまらず、来た道を引き返していきます。

しかしそこには、お江らが立てた柵が阻んでいて
うろたえている間に一帯に火がかけられます。


後方の徳川軍の内部には、壺谷又五郎配下の草の者が
徳川軍のなりをして潜り込んでおります。
そして初めはボソッとつぶやくのです。
「上杉10,000が真田に兵を送ったらしいぞ」

となると、上杉軍が上田に攻めかかったら
後方の徳川軍は挟み撃ちにあってしまいます。
その話を聞いた男(←これも草の者)は大げさに
「後ろに回られて挟み撃ちじゃんか!!」と焦ります。

そんな二人の会話が、たちまち兵士の間に流れ
軍勢は大混乱に陥ります。


上田城から退却した徳川軍ですが、
行きはあれだけたやすく通り抜けた城下町でしたが
お江たちが立てた柵によってまさに迷路と化しておりまして、

それでも逃げ道に、と1ヶ所だけ開けておいた道に
徳川軍は集中するわけですが、
実はそこは神川と千曲川の合流地点でして。

神川上流では、川の流れを堰を作って弱めておりますが、
撤退する徳川軍を見て、昌幸が火矢を放たせ
それを見た信幸が堰を切らせます。

たちまち増水する神川。
撤退中の軍勢に水が襲いかかり
騎馬隊は川を渡れず、兵士は川に呑み込まれます。

真田の死傷者は、2000人に対して40人。
徳川の死傷者は、10,000人に対して2,000人を数えます。

沼田城の頼綱も反撃に転じ、北条軍は敗北しました。

家康は井伊直政に5,000の兵を与えて上田に差し向け
一方上杉も6,000の兵を真田に送ります。

こうなると、秀吉と家康の戦いであり
家康はさすがにそれを避け、
ついに上田からの撤退を命じたのでした。


真田の武将として参戦した樋口角兵衛ですが
戦が終わったいま、信幸は岩櫃城に誘います。

何と言っても、行方をくらましている間
母の久野がとても心配していたので、
元気な姿を見せてやりたい、との計らいです。
しかし角兵衛は信幸の誘いを断り
自分も真田の子なので上田に残る、と言い出します。

「だが角兵衛、そのことは他言無用ぞ」
信幸に睨まれ、角兵衛はコクリと頷きます。


角兵衛が帰ってきて上田合戦に参加したこと、
今は上田城に残っていることを
信幸は久野に報告します。

久野は、愛息が帰ってこないことを悲しみますが、
自分は信幸を頼って生きていくしかないのだ、と
あろうことか甥っ子に色目を使い出します。

久野の手を離し、慌てて居室を飛び出した信幸は
廊下で弥生(久野の侍女)と再会します。
お互いが好き合っているのに、それを表明しないまま
今日までのらりくらりときておりますが(^ ^;;)

それを見つけた久野は、
弥生に縁談を用意して信幸から離そうと企み
信幸に内緒で嫁に出してしまいます。

「源三郎さまもそろそろ嫁を娶らねばなりませんね」
オホホホホと無邪気に笑う叔母も、
今の信幸には鬼としか思えませんw

ついでに角兵衛と相思相愛であった三輪ですが、
久々に角兵衛の姿を見つけて喜んだのもつかの間、
「俺は女は好かん。女子は汚い。母も誰も彼も」
と言ってしまいます。

その場に取り残される三輪は
ショックのあまり何も反応できないでいます。


幸村は、かねてからの約束通り
上杉・春日山城へ人質として入ります。

その日の夜、酒を呑みながら
上田合戦の一部始終を幸村から聞いた景勝は、突然
安房守め! よきせがれを持ったのう! と羨ましがります。
「儂はわぬしを人質と思わぬ。明日より儂の近習となれ」


天正14(1586)年、家康はふたたび上田攻めを命じます。

しかし秀吉が斡旋に乗り出し、結局は家康は
上田攻めを取りやめざるを得なくなってしまいます。
そしてご機嫌取りのためか、秀吉は妹・旭を家康に嫁がせ
秀吉と家康はついに手を結んだわけです。

12月19日、羽柴筑前守秀吉は太政大臣に任ぜられ
「豊臣秀吉」となりました。
と同時に、秀吉は昌幸に対し
家康の傘下に入るように命じてきたのです。

昌幸は、これまでの家康との対決を知っていながら
あえて傘下に入れと言い出した秀吉にご立腹ですが、
秀吉に歯向かえば大恩ある上杉にも迷惑がかかるし
その上杉に人質に赴いている幸村の身も危なくなります。

「父上……忍ばれませ」
表情が険しいままの昌幸です。


天正15(1587)年正月7日、昌幸は駿府城に出頭。

家康は、上田合戦でさんざん真田に痛めつけられているので
恨み節も出てきて当然かと思うのですが、
それはあっさりと水に流します。

上田合戦で軍勢の側面を突いたのが信幸であることを知り
「源三郎を我が婿にしたいが、どうじゃ?」
家康は昌幸を見据えて単刀直入に斬り込みます。

昌幸が狼狽えている間に、
ありがたくお受け致します、と信幸は返事してしまいます。
「父も私と同じ考えかと存じまする」

本多忠勝の愛娘・稲姫を信幸に嫁がせる、と聞いて
忠勝も「あ……はあ」とひどく動揺しています。
家康の真意を量りかねている、と言った方が
もしかしたら正しいかもしれません。

そして家康は昌幸から、
関白秀吉との対面の取りなしを依頼されます。
「取りはかろうて進ぜましょ」
家康の表情から笑みがなくなります。


忠勝の娘というだけで、縁談の名乗りが非常に多いらしく
父としては、娘が気に入った相手に嫁がせたいと考えています。

信幸は、同じように名乗りを上げた男たちに並んで
稲姫にじっくりと見定められるわけですが、
頭を下げた男たちのアゴに扇子を当てて顔を上げさせる
そのやり方に、無礼者! と信幸は吠えまくります。

「このような礼儀知らず、本多平八郎さまのご息女とは思えませぬ」
稲姫は飛び出して行きます。
それがどういうわけか、稲姫の答えは信幸となるので
不思議でありますw

どうしても娘をもらってくれ、と忠勝に頭を下げられた昌幸。
忠勝の娘ではありますが、建前上は家康の娘なのです。

今出川家出身の妻・山手殿のように、
それをひけらかされると夫としてはちとやりにくいのですが、
信幸もそのあたりは重々承知しているようで、
昌幸と信幸は、酒を呑みクックックッと笑いをかみ殺します。


家康の取りなしにより大坂城に入った昌幸と信幸は
秀吉と対面することができました。
上機嫌な秀吉は、
真田から人質を一人出すように命じてきました。

信幸へは家康の手が早く、養女と婚儀となったので
豊臣の人質にはなれませんが、幸村の名を出してきます。
幸村は上杉の人質ですが、秀吉は強引に
そこから大坂へ移せと言っているわけです。

徳川に勝ち、天下にその名を轟かせた昌幸ではありましたが
徳川の傘下に入り、今まさに秀吉の配下につこうとしています。
弱小国たる運命の悲哀さに、昌幸はカッと熱くなっています。


天正13(1585)年閏8月2日、
徳川方が上田城に攻め寄せ、真田方の攻撃に総崩れとなる。
第一次上田合戦。

慶長20(1615)年5月7日、
大坂夏の陣にて真田信繁が討ち死にするまで


あと29年9ヶ月──。

(『真田丸』では「(13)決戦」〜「(18)上洛」付近)


原作:池波 正太郎
脚本:金子 成人
音楽:林 光
タイトル題字:池波 正太郎
語り:和田 篤 アナウンサー
──────────
[出演]
渡瀬 恒彦 (真田信幸)
草刈 正雄 (真田幸村)
遙 くらら (お江)
榎木 孝明 (樋口角兵衛)
夏八木 勲 (壺谷又五郎)
──────────
中村 梅之助 (徳川家康)

長門 裕之 (豊臣秀吉)
加藤 武 (本多忠勝)
香野 百合子 (久野)
──────────
紺野 美沙子 (稲姫)
伊藤 孝雄 (上杉景勝)
加藤 嘉 (矢沢頼綱)
小山 明子 (山手殿)
丹波 哲郎 (真田昌幸)
──────────
制作:榎本 一生
演出:門脇 正美

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