大河ドラマ真田丸・(35)犬伏(いぬぶし) 〜真田家の物語で最も有名な逸話 犬伏の別れ〜
上杉討伐に乗り出した徳川家康。
その機に乗じて、三成は、打倒徳川の旗を挙げる。
風雲急を告げる中、真田昌幸が選んだ道は──。
徳川家康の命令により
上杉討伐に向かわなければならない真田家ですが、
真田家と上杉家は、かねてから深い絆で結ばれておりまして
今回は上杉家に味方をすることになりました。
今は、真田昌幸・真田信幸・真田信繁と
それぞれの家族はみな大坂屋敷におりまして、
昌幸は大坂から上田城へ、信幸は大坂から沼田城に戻って
軍備を整えて会津へ向かうことにします。
薫や稲、春は、戦が起こりそうになったら
徳川に味方する者たちが多数いる大坂を脱出して
上田へ向かう算段です。
徳川には味方せず、上杉のために戦う上田にとって心配なのは
信幸の妻で、徳川家家臣本多忠勝の娘でもある稲です。
確かに父から「徳川を裏切るそぶりを見せたら知らせよ」という書状も
現に届いているのですが、父には知らせない、と宣言します。
迎え討つ上杉会津城。
直江兼続が、家康は6万の軍勢とともに
江戸城に入ったことを上杉景勝に知らせます。
黒田長政や福島正則などを加えれば、総勢10万にはなろうかと。
家康は徳川秀忠を呼び、徳川一の知恵袋・本多正信をつけるゆえ
先に江戸城を出発せよと命じます。
家康自身は、その後からゆっくりと追いかけてくるようです。
7月10日、大谷吉継は上杉討伐に加わるために、
美濃垂井まで兵を進めます。
そこに、なんと石田三成が突然の訪問です。
家康が上杉討伐に向かうのを見計らって、大坂で挙兵し
豊臣秀頼を奉じて家康を討つ、という考えらしく、
吉継に味方を請うてきたのです。
もしかしたら、自分は三成を待っていたのかもしれない……。
そう考えた吉継は、三成のために働こうと決意します。
戦って勝てるかどうかは分からない、という三成に
共倒れはまっぴら御免! と言う吉継は
まずは秀頼の名の下に家康を大老衆から外すことを提案。
そうすることで、上杉討伐は徳川の“私闘”とするわけです。
さらに、家康がこれまで行ってきた、
豊臣秀吉に対する数々の背信行為を
弾劾状としていちいち記し、全国の諸大名に送る。
ただしこれは、急を要します。
泣いている暇はござらぬ! と三成に喝を入れた吉継です。
「わしがおぬしを勝たせてみせる!」
大坂城に戻ってきた三成と吉継はさっそく弾劾状を作成し、
諸大名および家康本人に送りつける準備に入ります。
そして諸大名から人質を大坂に集め、伏見城攻めに移ります。
宇喜多秀家とともに、三成から伏見城攻めを託された小早川秀秋。
戦の采配は、実はもう飽き飽きしております。
そんな秀秋に仕える北条旧家臣の板部岡江雪斎は
自らを「家康に送り込まれた」と明かし、徳川への内通を説得します。
大坂城に人質が集められます。
ちなみに大坂城にいた家康の側室・阿茶局は
この時の混乱に乗じて大坂城を脱出しています。
薫や春たちも豊臣を裏切らない証としての人質になりますが、
ふと気づくと、細川屋敷から煙が上がっています。
きりは気になって、屋敷にかけつけます。
玉が手を合わせて座していました。
きりは玉を屋敷から出そうと無理矢理引っ張っていきますが、
玉はきりを突き飛ばすと、元いた場所に座り直し
障子の向こう側から突き出された槍に刺し殺されてしまいます。
ショックを受けるきりを、佐助が救い出します。
吉継は、全国の諸大名で徳川につくか豊臣に味方するか
態度を明らかにしていない大名たちに“魂の書状”を送ることにします。
ただ、今の身体では筆さえ満足に持てないので、
口述して三成に代筆してもらいます。
「この戦、勝っ……た」
夜通しで書き上げた書状数通を前に、
吉継も三成も疲れ果てています。
7月19日、秀忠が3万の軍勢を率いて江戸城を出発。
同日、大坂では秀家と秀秋が挙兵。
天下分け目の大戦が、はじまりました。
7月21日、家康率いる3万の軍勢が江戸を出発。
同日、昌幸たちは下野犬伏に陣を張り
上杉につくタイミングについて信幸と信繁とで話しています。
信繁は、家康から出陣の命令が下った直後に
上杉に乗り換えるのはどうか、と提案。
ただそうなると、信幸の言うように
上杉には予め伝えておいた方がよさそうです。
そこに佐助が吉継の密書を持って到着します。
見るなり、昌幸は密書をクシャクシャにして叩き付けます。
「早すぎるわ!!」
密書が届けられた日数を考えると、
すでに伏見城攻めが始まっているでしょう。
昌幸の目論見は、徳川と上杉の戦が始まったら
その横合いから襲って家康の首を取ろうという考えだったのです。
その“後”に三成が挙兵していれば、
難なく江戸まで攻め込めたはずなのです。
徳川がどう出るか──。
このまま上杉と戦うのか、江戸に戻るのか、
そのまま西に向かって三成と戦うのか。
そしてそれに対して昌幸がどう動くのか。
いずれにしても大戦です。
夜、昌幸は堀田作兵衛に命じて
真田家以外の者を近づかせないように命じると
信幸と信繁を呼びます。
この戦、長期化することを予測して、昌幸は
一旦上田城に引き揚げ、城内に立てこもることを提案。
上杉に味方するという話は一旦忘れ、
これをもって徳川とは縁を切ります。
豊臣にも徳川にもつきません。
上田城に攻めかかってきた者が敵です。
そして、1〜2年もすれば兵士は疲弊し士気が下がる。
その時を見計らって、甲斐と信濃を奪い取る──。
どうじゃ、とせっつかれて、信繁が重い口を開きます。
「はたして、父上のお考え通りになりましょうか」
今や戦というものは、敵と味方が巨大な力にまとまって
一気にぶつかり合うので、そうなれば今回の戦は
案外早く……数ヶ月程度で決着がつくかもしれません。
豊臣と徳川、勝った方が次の覇者というわけです。
どちらにもつかないということは、どちらも敵に回すということで
いずれが勝ったとしても真田の居場所はなくなってしまいます。
そして、どちらにせよ勝った時には、
今までよりももっと大きな力を手に入れているわけで、
真田のような小大名が太刀打ちできようはずがありません。
「夢物語はもう終わりにしてください父上!」
私は決めました、と信幸がつぶやきます。
「お前と父上は豊臣につけ。俺は徳川に残る」
それが最善の道だ、と頷くこの方法では、
いずれが勝っても真田は残ることができます。
表向きには親兄弟が敵味方に分かれて戦うことになりますが、
それは一時的なことでして、
仮に豊臣が勝ったら信繁が全力で信幸を助け出せばよく、
逆に徳川が勝ったら信幸が信繁や昌幸を助ければいいのです。
これは、昌幸・信幸・信繁の親子3人が
いつかまた膝を突き合わせて語り合うための策なのです。
信幸は、『史記』に出てくる韓信という武将に
昌幸が似ている、と酒を酌み交わしながら話し出します。
「背水の陣」というのは韓信の作戦なのですが、
ふつうは、川を背にして退路を立つことで
死にものぐるいで敵に向かうことで尋常ではない力が生まれる
というのが策の効果と思いがちですが、
これは実は、自分たちも後ろに下がれませんが
敵も背後に回れないという裏話があるのです。
さらに言えば、川を背に布陣したことで
「こいつらは戦を知らぬ」と敵は韓信たちを侮り
総攻めを仕掛けてきた敵に韓信は、相手の背後に忍ばせておいた
伏兵を動かして敵城を乗っ取ることができたというのです。
これから2ヶ月後、真田と徳川は
上田で再び激突することになります。
慶長5(1600)年7月18日、
西軍の宇喜多秀家・小早川秀秋は
徳川家康の重臣・鳥居元忠が留守を守る伏見城を攻める。
慶長20(1615)年5月7日、
大坂夏の陣にて真田信繁が討ち死にするまで
あと14年9ヶ月──。
作:三谷 幸喜
音楽:服部 隆之
題字:挾土 秀平
語り:有働 由美子 アナウンサー
──────────
[出演]
堺 雅人 (真田信繁)
大泉 洋 (真田信幸)
長澤 まさみ (きり)
山本 耕史 (石田三成)
松岡 茉優 (春)
吉田 羊 (稲)
藤本 隆宏 (堀田作兵衛)
藤井 隆 (佐助)
片岡 愛之助 (大谷吉継)
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遠藤 憲一 (上杉景勝)
斉藤 由貴 (阿茶局)
中原 丈雄 (高梨内記)
小林 隆 (片桐且元)
高橋 和也 (宇喜多秀家)
星野 源 (徳川秀忠)
竹内 結子 (茶々)
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小日向 文世 (豊臣秀吉(回想))
高畑 淳子 (薫)
鈴木 京香 (寧)
近藤 正臣 (本多正信)
内野 聖陽 (徳川家康)
草刈 正雄 (真田昌幸)
──────────
制作統括:屋敷 陽太郎
:吉川 邦夫
プロデューサー:清水 拓哉
演出:木村 隆文
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『真田丸』
第36回「勝負」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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