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2016年10月 4日 (火)

プレイバック真田太平記・(27)切腹命令

関ヶ原の戦いでは、徳川家康率いる東軍が
石田三成率いる西軍を下したわけですが、
西軍に与した真田本家も敗者となったわけです。

岳父(妻の父)・本多忠勝に
大坂城に呼び出された格好の真田信幸。
しかし家康は、真田昌幸・幸村父子の助命嘆願など
忠勝の口添えがあっても、ならぬ、と始めから突っぱねます。
ここで昌幸・幸村を許しては、世間への示しがつきません。

忠勝は、下がれッ! と家康に命じられても、
それが自分に命じられたと分かっていながらも
気づかないフリをしてあえて側近を下がらせ、
信幸の、徳川家への忠誠に免じて
その父子の命は助けるべき、と頑として動きません。

信幸は、忠勝の娘・小松殿を妻に迎えた人物で
忠勝と信幸の間には義理の父子関係でつながっていますが、
小松殿は家康の養女となっているので、
家康と信幸の間には養父養子の関係でつながっています。
血はつながってはいませんが、家康と信幸は父子なのです。

「殿は先般、関ヶ原の戦陣に遅れを取りました秀忠公を
 罰せられましたか?」
あれも、お咎めなしであれば天下への見せしめにはなりません。

真田親子には、死罪を申し付ける──。

方針を曲げない家康に、忠勝はへそを曲げます。
「かくなる上は、伊豆守殿とともに沼田城に立てこもり
 殿を相手に戦つかまつる!」

家康も、その場に居並ぶ本多正信・正純親子も
苦虫をかみつぶしたような顔で忠勝を見つめます。
しばらく、無言の対立が続きますが、
家康はしぶしぶ真田父子を赦すことにします。

その決断を聞いた徳川秀忠は激しく立腹し
真田親子には切腹を! と家康に迫りますが、
そもそも関ヶ原に遅れたのは
お前の失態だろうが、と聞く耳を持ちません。


昌幸・幸村を赦すとは言っても、そのまま無傷で
上田城に残すことはさすがの家康もしません。
上田城に誰が入るのかはまだ決めないとしても、
昌幸・幸村にはどこかに蟄居させなければなりません。

「恐らくは紀州高野山にて。3年ご辛抱くださりませ」
忠勝からわざわざ急使を遣わして昌幸に知らせてくれます。


伏見にある真田屋敷を訪れていた信幸。
本家の人間はいないので、ガラーンと空いている感じです。
そこには、信幸の元を出奔した鈴木右近がいました。

家康の使者が遣わされまして、以下のように命じられます。
上田城は今後、信幸が引き継ぐこと。
上田城受け取り後、昌幸・幸村の
紀州高野山への蟄居見送りを完了させること──。


関ヶ原の戦いの後、激しく落ち武者狩りが続きつつも
少しずつ賑わいを取り戻しつつある京の町に
印判を取り扱う『うつぼ』という店ができました。
真田草の者の忍び宿であります。

店主の姪、ということで働いているお江ですが、
真田本家の処遇が気になり、上田に旅立ちます。


幸村の妻・於利世母子は
昌幸の妻・山手殿の父である今出川晴季の
屋敷に預けられていました。

信幸が直々に訪問し、
幸村は高野山に蟄居することになると教えます。

京から上田だと遠いが、
高野山ならば近くなると喜ぶ於利世ですが、
於利世の同行も認められたので
出立の準備をして待つように、と信幸は伝えます。


真田の庄に入ったお江は、忍び小屋に帰ります。
そこで向井佐助と合流するわけですが、
お江は書状をしたため、佐助に託して
東軍に囲まれている上田城に潜入させます。

その書状を受け取った昌幸は、
関ヶ原の戦いでの家康襲撃はことごとく失敗し
壺谷又五郎が殺されて死んでしまったと伝えます。

「そうか……又五郎は死なぬと思っていた」
昌幸は、珍しく感情を露にして涙を流し
又五郎を悼みます。
そんな昌幸を見つめる幸村です。


お江の元に戻った佐助ですが、幸村に預かった書状には
佐助を高野山に連れていきたい、とあります。

真田の忍び小屋は上田にはもう必要ない、と
新たな忍び小屋を高野山近くに作ること、
そしておくにには大坂行きを命じます。

その後、佐助は上田の温泉に浸かるのですが、
そこにはおくにも入っております。

さすがは女性、おくには
お江が幸村からの書状を受け取ったときの
表情を観察しておりまして、
「あれは好いた男を前にした女子の顔じゃ」

自分と同じ、とつぶやくおくに。
佐助は紀州へ、おくには大坂へと離ればなれになります。
たまらず佐助はおくにを抱き寄せます。


慶長5(1600)年12月3日、
城受け取りと昌幸父子の高野山送りの使いとして
信幸が上田城に入ります。

神妙に頭を下げる昌幸と幸村。

上田平はただただ静まり返っていました。


(『真田丸』では「(37)信之」付近)


原作:池波 正太郎
脚本:金子 成人
音楽:林 光
タイトル題字:池波 正太郎
語り:和田 篤 アナウンサー
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[出演]
渡瀬 恒彦 (真田信幸)
草刈 正雄 (真田幸村)
遙 くらら (お江)
榎木 孝明 (樋口角兵衛)
香野 百合子 (久野)
中村 橋之助 (向井佐助)
中村 久美 (於利世)
──────────
中村 梅之助 (徳川家康)

夏八木 勲 (壺谷又五郎)
村井 国夫 (大谷吉継)
清水 綋治 (石田三成)
石橋 蓮司 (猫田与助)
范 文雀 (おくに)
──────────
加藤 武 (本多忠勝)
戸浦 六宏 (山中内匠長俊)
小山 明子 (山手殿)
丹波 哲郎 (真田昌幸)
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制作:榎本 一生
演出:国広 和孝

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