大河ドラマ真田丸・(43)軍議
大坂城に入った信繁は、早速、
牢人(ろうにん)たちの主導権争いに巻き込まれる。
一方、攻め手の徳川軍の中には、信之の二人の息子の姿があった──。
「てやっ……やーっ!!」
真田信之と稲の子・真田信政は、待機時間も惜しまず
刀を振り回して鍛錬に明け暮れております。
信之とおこうの子で真田家当主である真田信吉は
そんな信政の姿を「ようやるわ」といった感じで眺めながら
水を飲んでのんびりしています。
上田城を出発し、信吉と信政が従っている徳川の軍勢は
すでに柏原のあたりまで進んできました。
するとそこに、将軍・徳川秀忠の見回りがあり
信政だけが秀忠へのアピールができ、秀忠からの言葉ももらいます。
引っ込み思案の信吉は、小山田茂誠にせっつかれても何も言えず。
もたもたしている間に、秀忠は引き返して行ってしまいました。
「真田左衛門佐が……大坂城に入ったそうな」
去り際に、本多正信がポツリとつぶやきます。
その事実を知らなかった一同は、驚愕です。
一方、上田城でお留守番の信之は
姉の松に、信吉・信政たちを追って大坂へ向かわせます。
信繁が大坂方として城に入った以上、
その敵(=東軍)に真田の身内の者がいると分かれば
攻めるにも手加減するに決まっています。
信之は、実はそこを心配しているのです。
信繁は徳川に反旗を翻すチャンスを14年間も待ち続けてきました。
だからこそ、信繁の好きにさせてやりたい。それが兄の気持ちです。
茂誠と矢沢頼幸に決して戦場に出るなと、松に伝言を頼みます。
秀吉に、立ち入ってはいけないと言われていた武具の蔵に
再び、茶々と信繁が立ち入ります。
入ったのは、あの時以来です。
信繁は、豊臣が勝つために
茶々は、自分の愛した人たちが未練を残して死んでいく中で
自分の身はどうなってもいいから
秀頼の命だけは死なせたくない、と信繁に懇願します。
京の徳川家康の元には、片桐且元が訪れていました。
大坂で裏切り者の烙印を押され、命を狙われていると知って
大坂城を逃げ出してきたのです。
家康は、今後は徳川のために働けと優しい言葉をかけますが、
と同時に、現在の大坂城の状況を聞き出そうとします。
しばらく無言を貫き通していた且元に、家康も折れ
さすがは東市正(いちのかみ)、天晴れ! と笑うしかありません。
浪人たちの数は当初の想定をはるかに上回り、
いま備蓄されている兵糧では、とても10万の軍勢は賄いきれず
もって半年か……。
且元は涙ながらに、大坂城の内情を家康に伝えます。
軍議を前に、大野治長は
織田有楽斎と母・大蔵卿局と対面します。
浪人たちは10万を超える勢いで増え続け
あとは兵糧との兼ね合いが心配な部分がありますが、
大蔵卿に言わせれば、そんなことは後からでもどうにでもなります。
有楽斎は、兄・織田信長が桶狭間で今川義元の大軍を破った時のように
戦というものは時の勢い、好機を味方につけた方が勝ちだと伝えます。
おだてるのはいいが、舵取りはあくまで我々である。
好きにさせてはならぬ、今日の軍議こそ肝要だと
厳しく言い置いておきます。
軍議では、治長から
豊臣秀吉が作った難攻不落のこの大坂城に籠城を、と提案があり
後藤又兵衛、長宗我部盛親、明石全登、毛利勝永が承知する中
信繁だけが不承知です。
そもそも籠城は、援軍が駆けつけるまでの間にする戦法であり
この戦いは、どれだけ待っても援軍はただの一人もおりません。
それよりも城を出て、大坂をはじめ、京、伏見、大津など
上方全てを戦場とすることで徳川を分断して力を削いでいく。
しかし、信繁の 考え抜かれたせっかくの提案も
籠城でよいのではないか、という有楽斎の一言で決定してしまいます。
信繁は、であれば、とへそを曲げます。
「考え抜いた策をろくに吟味もせずに
退けられたのでは、ヤル気も起きませぬ」
父・真田昌幸ならばどうするかと考えた結果が
この信繁の発言であり行動であるわけですが、
それを聞いた高梨内記は、はったりは真田の家風、と笑いますが
信繁に言わせれば、はったりではない立派な策です。
信繁を軍議に戻そうと迎えにきた木村重成も
倍以上の敵を迎え撃つには籠城しかないという考えですが、
そんな定石は味方のみならず敵も充分知っているものです。
だからこそ、その裏をかいて討って出るわけです。
豊臣秀頼の説得に応じて再び軍議の場に戻った信繁は
近畿の地図を示しながら説明していきます。
家康はいま京都におりますので、
まずは伏見城を攻略し、そこを出城として二条城へ攻め込む。
そして秀忠が到着する前に家康の首を取ってしまいます。
同時に別隊が大津を占拠し近江を手に入れる。
そして瀬田と宇治の橋を落とす。
これにより、徳川本隊の行く手を塞ぐわけです。
ここまでくれば、徳川軍にいる豊臣恩顧の者たちも
大坂方に味方しようとする者たちが出てきます。
さらに伊達や上杉と示し合わせ、秀忠軍を背後から襲わせると──。
伊達や上杉が味方してくれるかどうかは
家康の首を取ったかどうかに関わってきます。
「負ける気が致しません」
それでも、籠城と言った又兵衛と、
誰かの顔色をうかがいつつ籠城に賛成した盛親、全登で
籠城に決しようとしましたが、勝永だけは信繁の提案に賛成します。
「話が大きすぎて……しかしそこが、気に入った!」
一旦休憩となり、信繁は全登に話を聞いてみます。
全登が大坂に来た理由は、全てはキリスト布教のためでありまして
もし籠城して勝利した暁には、布教活動にも便宜を図ろうと
治長に言いくるめられていたわけです。
徳川が切支丹禁教令を出している今、それを逆手に取った
治長の甘ーい言葉の誘いに乗ってしまっています。
そしてそれは、盛親も同じでありまして
籠城に賛成すれば、彼自身の夢──長宗我部家の再興──を
治長に約束されたわけです。
大坂城の首脳陣は、自分ら浪人たちに
牛耳られたくないという姿勢は何となく見えてきましたが、
信繁に牛耳られないために、城の外に出ると提案するであろう
信繁の策を、治長がいつの時点で知ったのかを考えてみると、
恐らくは、あの武具の蔵で茶々に話した内容が
秀頼を失いたくない気持ちから、治長に言ったと思い至ります。
ともかく分かっているのは、負ければどちらの希望も
露と消えてしまうわけで、ここは何としても勝たなければなりません。
この世の中に、いくら難攻不落とはいえ
落ちない城は一つとしてありません。
城は大きければ大きいほどほころびが生じます。
城を守りたいなら、戦を城の外でするしかないのです。
休憩が終わり、信繁の根気強い説得が続けられ
全登、盛親、そして重成も信繁に賛成する中で
又兵衛だけが、いらぬ意地を張って籠城を主張します。
ただ彼の場合、黒田家を飛び出して他家に仕官しようとしても
黒田の殿様が拡大妙に手を回していて仕官できなかったため
“武士らしく”華々しく散るために、死に場所を求めて
大坂城に入ったようなところがあります。
「私は勝つためにやってきた。
勝つ気がないならこの城を出て行ってもらおう」
我らは負けない。だから大坂城には死に場所はない。
死にたいのなら徳川につくべきだ。
天下の後藤又兵衛も、ついに信繁に賛同します。
が。
いいものを見させてもらった、と大笑いの有楽斎は
驚きの一言を発します。
「初めから申し上げておる。籠城以外には、ない」
所詮、浪人たちは鐘で雇われた兵たちなのだから
自分たちの指図に従って戦っていればいいのだ、と
本音をポロリ。
初めこそ有楽斎にかみついた又兵衛も、
こう言われてしまっては、抵抗できません。
しかし抵抗した人物がひとりいました。
治長です。
豊臣を守るために集ってくれたのだから
大坂方にとってはあくまでも客人でありまして、
非礼は許されることではありません。
「決めるのは右大臣、秀頼公でございます! あなたではござらん」
籠城せず、討って出ることになりました。
軍議の結果を茶々に報告する秀頼ですが、
信頼できるのは真田だけ、それ以外の兵は金で雇われた者たちだから
城内に置いて目を光らせておかねば何をしでかすか
分かったものではない、と秀頼を焚き付けます。
「籠城です。よいですね」
茶々の鶴の一声で、軍議結果が真逆に転びます。
作:三谷 幸喜
音楽:服部 隆之
題字:挾土 秀平
語り:有働 由美子 アナウンサー
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[出演]
堺 雅人 (真田信繁(幸村))
大泉 洋 (真田信之)
木村 佳乃 (松)
中原 丈雄 (高梨内記)
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中川 大志 (豊臣秀頼)
井上 順 (織田有楽斎)
小林 隆 (片桐且元)
今井 朋彦 (大野治長)
阿南 健治 (長宗我部盛親)
星野 源 (徳川秀忠)
岡本 健一 (毛利勝永)
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竹内 結子 (茶々)
哀川 翔 (後藤又兵衛)
近藤 正臣 (本多正信)
内野 聖陽 (徳川家康)
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制作統括:屋敷 陽太郎
:吉川 邦夫
プロデューサー:清水 拓哉
演出:小林 大児
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『真田丸』
第44回「築城」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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