プレイバック真田太平記・(37)冬の陣前夜
慶長19(1614)年11月。
真田幸村がかねてより着手していた
大坂城の出丸がついに完成します。
大坂城と、南側にある茶臼山の中間地点にありまして
幸村は、この出丸を「真田丸」と名付け
真田家ここにあり、と内外に示したわけです。
そんな幸村の元を、慈海からの
「幸村を殺せ」という密命を帯びた
樋口角兵衛がやってきました。
小野お通の屋敷に出入りしていた情報は
すでにお江から幸村の耳に入れられています。
ということは、角兵衛は徳川方、あるいは徳川が信頼する
甲賀忍びとつながっていると見るのが妥当でして、
そんな角兵衛をまくべく、
九度山村にいた時、角兵衛にさんざん酒を呑ませて
酔って起きなくなったところを見計らい、
幸村と佐助がこっそりと高野山を下りて行ったのでした。
角兵衛は、幸村を見るや否や
なぜ自分を欺いて九度山を下りたのかと
激しい口調で問いつめます。
幸村は、角兵衛に微笑み
自分と一緒に死ぬ覚悟ならここにいろ、と誘いますが、
その瞳の奥には、恩を仇で返し続ける角兵衛への恨みと
疑いの思いが含まれていることに、角兵衛は気づいていません。
活気あふれる大坂の町に、一軒の遊女屋があります。
ここは実は真田草の者の忍び宿でありまして、
いろいろな情報を収集しています。
そこで、京にある真田草の者の忍び宿である印判屋の
主と、遊女屋の主との情報の交換です。
それによると、将軍徳川秀忠はいよいよ今日明日中に
動き出す、というのです。
その情報通り、11月17日には
秀忠は平岡から河内・平野へと動き
家康は住吉へと陣を進めます。
東軍の主力が、いよいよ真田丸近くまで迫ってきました。
茶臼山に陣を張った家康が、真田丸近くまで視察に訪れ
ポツリとつぶやきます。
「うかつには手は出せぬの」
大坂城内がにわかに浮き足立っているようです。
何でも、淀君が叔父の織田有楽斎と対面して
方針についていろいろと話し合っているようなのです。
それは、草の者・おくにによって
内容が早くも知れ渡ることになります。
つまり、有楽斎が家康の陣を訪問して
淀君が和睦の意志を示している、と──。
ひと戦もせずに和睦とは、と
幸村はショックを隠し切れません。
上田城の真田信之の元には、
家康からの密書が届けられました。
幕府にも届け出ず、誰にも見つからず
京の二条城に入られよ、というものです。
そして時同じくして、警護のために家康の側近くに控える
滝川三九郎からも同様の内容の書状が届けられます。
コチラはさらに内容を踏み込んで、信之と幸村を密かに対面させ
幸村を徳川方に引き入れて豊臣家を攻めたい腹とあります。
間もなく、信之は京に向けて出発します。
豊臣方の和睦提案に対し、家康は
大坂城の外にある砦を悉く取り壊し
城を裸にした後で和睦に持ち込む考えです。
ただし、真田丸だけは仕掛けずにそのままにしておきます。
大坂城の西側砦を蜂須賀部隊が、
東側砦を佐竹・上杉部隊が押し寄せ、砦を落とします。
しかし、城内から木村重成や後藤又兵衛が出てくると
西軍は佐竹軍を徹底的に攻撃して東軍に痛手を負わせます。
西軍侮り難し、の印象を
東軍諸将に強く植えつけたわけです。
西軍の海べりの陣構えを崩したい家康は
天満川に船で乗り入れて偵察すると動き出します。
その情報を手に入れた幸村は、お江たち草の者たちに
夜明けを待たせて家康襲撃を企てさせます。
しかし、敵陣近くまで迫って偵察することに加え
激しい雨ということもあり、
本多正信・正純父子の説得の甲斐あって
偵察は取りやめとなりました。
その代わり、中止を何度説得しても首を縦に振らないほど
こだわっていた西側の海べりの陣を崩したかった家康は
決死の覚悟で陣を取り崩して我がものにせよ、と厳命。
果たして徳川軍は攻撃を仕掛け、西側の将兵たちは
慌てふためいて大坂城内に逃げ帰っていきます。
京の真田屋敷に、信之が入ります。
信之は鈴木右近や馬場彦四郎から
現在の大坂の様子を聞き取ります。
幸村は、豊臣秀頼の許可も得ずに
茶臼山の本隊に攻めかかることにします。
ただし、戦いは真田丸のみで行うので、完全に出丸から
出て行ってしまうということではありません。
真田丸での戦いが始まろうとしていました。
慶長19(1614)年11月15日、
徳川家康が二条城を出発し、奈良経由で大坂に向かう。
慶長20(1615)年5月7日、
大坂夏の陣にて真田信繁が討ち死にするまで
あと5ヶ月──。
(『真田丸』では「(44)築城」付近)
原作:池波 正太郎
脚本:金子 成人
音楽:林 光
タイトル題字:池波 正太郎
語り:和田 篤 アナウンサー
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[出演]
渡瀬 恒彦 (真田信之)
草刈 正雄 (真田幸村)
遙 くらら (お江)
中村 橋之助 (向井佐助)
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榎木 孝明 (樋口角兵衛)
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紺野 美沙子 (小松殿)
范 文雀 (おくに)
三浦 浩一 (滝川三九郎)
中村 梅之助 (徳川家康)
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制作:榎本 一生
演出:小林 信一
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