プレイバック真田太平記・(41)最後の夜
元和元(1615)年5月4日。
全軍を大坂城に結集し、
ただ一度の決戦で勝敗を決しようと主張する
真田幸村の意見は淀君たちに押し切られます。
今のところ、徳川家康や徳川秀忠が
どちらからどちらへ向かってくるのかは分かりませんが、
幸村が推測するに、恐らくは
幸村と後藤又兵衛が守る大和口でしょう。
幸村は、又兵衛と打ち合わせをします。
夜、幸村は、大坂城内の幸村屋敷に
お江と向井佐助を呼び寄せます。
お江には、この戦で命が助かった者たちのために
戦には出ず、生きながらえて欲しいと伝えます。
佐助は、いよいよ決戦だと
好いているおくにに会ってきます。
しかしおくには、好きな人とともに暮らし
好きな人の子どもを産み、という
女としての、ふつうの暮らしがしてみたいと
忍びの生活は辞めたいのです。
共に真田を裏切って、ふたりで暮らそう! と提案するおくにに
佐助は「見損なった!」と小屋を飛び出して行きます。
佐助がいなくなった小屋には、
入れ替わりである一人の男が現れます。
恐らくは徳川の、甲賀忍びの者でしょう。
小屋の中で泣きじゃくるおくにに目をつけます。
5日早朝、又兵衛の出撃態勢が整います。
見送りにきた幸村は、
家康と秀忠の馬印が揃った時こそ
出撃のタイミングだと念を押します。
同じころ、家康軍と秀忠軍も京から南下を続け
長宗我部盛親と木村重成の軍は河内口へ出撃。
東西両軍の緊張は一気に高まります。
甲賀忍びの小屋では、慈海の指示で
おくにが折檻にあっていました。
大坂方の様子、真田の様子、
真田の草の者の忍び宿の場所などを聞き出そうと
鞭打ちにしますが、おくには一向に口を割りません。
今、おくにを殺すのは惜しい、と
さんざん痛めつけられるだけで命は取られませんが、
おくには、舌を噛み切って死んでしまいます。
又兵衛からの知らせがないまま、
幸村も出撃の朝を迎えます。
深い霧です。
幸村は、佐助を藤井寺に走らせ
又兵衛には、幸村軍が到着するまでは
くれぐれも動かないように伝えさせます。
霧が深くて動けない幸村軍と
霧が晴れる前に動きたい又兵衛軍。
又兵衛は、幸村の到着を待たずに
小松山へ移動してしまいます。
伝令に走った佐助ですが、
途中遭遇した甲賀忍びと戦っているうち
それに手間取ってしまい、
到着した時にはすでに又兵衛軍は移動した後でした。
小松山に移動した又兵衛ですが、
初めこそ徳川に善戦してはいましたが
三方向からの攻撃を受け、小松山からさらに西側へ撤退。
しかしそれでも、松平軍に包囲されてしまいます。
そのうち、鉄砲が身体を貫き──。
又兵衛は、57歳の生涯を閉じます。
一時間後、八尾の戦いで木村重成が討ち死に。
佐助の報告を受けた幸村は、急いで出撃しますが
時すでに遅く、後藤軍と木村軍が敗走している時でした。
敵の騎馬隊がこちらに向かって駈けてきます。
幸村は十分に引きつけておいて「出撃!」と下知。
そして敵がさらに攻撃して来ると
「引き揚げじゃあ!」と法螺貝を吹かせます。
「またしても真田の小倅が!」
平岡の徳川の陣では、家康が
孫の松平忠直や、本多忠勝の子ども・本多忠朝に叱責。
二人は返す言葉がありません。
明日、家康自ら天王寺口に攻め込むことにします。
夜、密かに真田屋敷を訪れた大野治長は
西軍の諸将も真田屋敷に集まるよう招集をかけます。
将軍秀忠も大御所家康も前線に出ているというのに
西軍の総大将・豊臣秀頼は
大坂冬の陣から一度も表に出てきておりません。
幸村は、まずは前線に出てもらうように願い出ます。
軍議の後、幸村は草の者たちを集め
敵と入り乱れての戦闘になった時、
「浅野家が徳川を裏切った」と触れ回るよう命じます。
向井佐平次は、息子・佐助と語らい
眠れずに過ごしていました。
幸村も真田大助と語らい、夜空を見上げています。
滝川三九郎は真田信吉の陣にいて
もし前から赤備え隊(=真田幸村軍)が来た時の戦法を授けます。
「我が軍を二手に分けて中央を空け、敵を素通りさせよ」
遠く離れた江戸城真田屋敷で、
真田信之も眠れぬ夜を過ごしています。
幸村が、父・真田昌幸の夢を見て目を覚ますと
お江がお別れにきていました。
「長い間、お世話になりまいた……ご武運を」
お江が幸村にキスすると、一礼して去っていきます。
5月7日、決戦の日です。
慶長20(1615)年5月6日、
平野郷から小松山に布陣した後藤基次(又兵衛)が討ち死に。
享年56。
慶長20(1615)年5月7日、
大坂夏の陣にて真田信繁が討ち死にするまで
あと1日──。
(『真田丸』では「()」〜「()」付近)
原作:池波 正太郎
脚本:金子 成人
音楽:林 光
タイトル題字:池波 正太郎
語り:和田 篤 アナウンサー
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[出演]
渡瀬 恒彦 (真田信之)
草刈 正雄 (真田幸村)
遙 くらら (お江)
榎木 孝明 (樋口角兵衛)
中村 橋之助 (向井佐助)
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中村 梅之助 (徳川家康)
福田 豊土 (慈海)
近藤 洋介 (後藤基次)
范 文雀 (おくに)
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紺野 美沙子 (小松殿)
三浦 浩一 (滝川三九郎)
細川 俊之 (大野修理)
丹波 哲郎 (真田昌幸)
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制作:榎本 一生
演出:佐藤 峰世
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