大河ドラマ真田丸・(46)砲弾
大坂城は三十万の徳川軍に包囲された。
南の出城 真田丸に立て籠もった信繁は、
迫り来る敵兵を、知略の限りを尽くして、撃退する──。
「いたずらに攻めかかるのはもうやめじゃ!」
大坂方の挑発に乗ってしまい、攻撃を仕掛けた前田利常軍、
前田軍に遅れてはならじと攻め手に加わった井伊直孝、松平忠直の軍は
完膚なきまでに真田信繁たちにやられてしまい、徳川家康の怒りを買います。
まったく……親子二代で手こずらせてくれるわ!
家康は、大筒を用意させますが、それが到着するまでの間
30万の兵を3つに分け、代わる代わる一晩中鬨の声を挙げさせ
寝かさない作戦を取ります。
真田丸の戦いのようなことを何度も何度も繰り返せばいいのですが、
それでは味方の兵たちも損失が大きく出てしまいます。
大事なのは、味方の命をいかに損なわないようにするか、です。
大軍、しかも遠方からやってきている敵方の兵糧はいずれ尽き
焦る敵は必ず押し寄せてきます。
攻めて来たら打ち払う。攻めて来たら打ち払う。
信繁は、真田丸の戦いで勝利した今こそ
大坂城の守りに徹するべきと考えています。
徳川が大軍で攻めて来ても大坂城はびくともしなかった。
そう実証できたら、徳川から大坂側に寝返る者が出てくるでしょう。
徳川を攻めるのは、それからです。
信繁は、豊臣秀頼に
自分の言葉の重みをもっと知ってもらいたいと思っています。
最後に断を下すのは、母・茶々ではなく秀頼である、と。
そんな話をしていた時、城の外から鬨の声が上がり
激しく叩きまくる太鼓の音が聞こえてきます。
不安がる侍女たちを前に、きりは
もし今から攻めてくるようなことがあれば
あんなのんきな声は出せない、とニッコリ。
「私たちを怖がらせようとしているのです。怖がったら負けですよォ」
平野長泰の根気強い説得に負け
大坂に食糧を運び込む決心をした真田信之は、
長泰とともに大坂に旅立とうとしますが、
稲が引き止めても耳を貸そうとしなかった信之の前に
長期療養に入っていた出浦昌相が現れます。
「大坂へ行ってはなりませぬ」
徳川の目を盗んで、食糧を大阪城に運び入れることは不可能です。
しかし、徳川に見つからなければいいことであるし
第一、やってみなければ分からないわけです。
「父上も源次郎も、さんざん無茶をしてきたではないか!」
しかし昌相に言わせれば、無茶をやっているように見える真田昌幸は
常に先を見据えていたわけで、信之がやっていることとは違います。
信之がやろうとしていることは、真田の家を潰そうということです。
わしが行かせぬ、と刀を信之の首筋に当てる昌相ですが、
信之はその手をどかし、長泰と共に出ようとします。
その後ろ姿に、昌相が何かを投げ──。
「うわっ」
蜘蛛の糸のような、ネチョネチョしたものが
信之の身体中にかかって
身動きが取れなくなってしまいます。
次の日の夜も、鬨の声攻撃は続きます。
信繁が障子を開けてその様子を見ようとすると、目の前の庭には
土が非常にいいからと、堀田作兵衛による畑がこしらえてありました。
「自分らの食べる分は、自分らで造るのも悪くないでしょう。
今から仕込めば、夏ごろには青物がよりどりみどり!」
翌朝、信繁、後藤又兵衛、毛利勝永、
長宗我部盛親、明石全登の五人衆が集まりますが、
信繁以外は、これまでろくに戦がなく
戦いたくてうずうずしているようです。
いずれまた徳川が戦をしかけてくるから
それまでは我慢して待とう、と信繁は声をかけます。
しかし確実に、共同という形を取ってきた仲間に
ヒビ割れが入っているような状況です。
家康は、しばらく徳川から離れていた真田信尹を
再び呼び戻しています。
「真田左衛門佐を調略せよ」
お断り致します、と信尹はあっさり。
家康は思わず咳き込みます。
信繁は、父・昌幸に似て度胸あり知恵も働き、
昌幸・信尹兄弟に似ず義に厚い男。
ゆえに、叔父の調略でも寝返ることはありません。
それでも、という家康の懇願に応じて
信尹が大坂城の中に入ることになりました。
“徳川方につけば10万石”という条件を持って……。
信繁の祖母(信尹の母)・とりの通夜以来の再会です。
信尹は杯をくいっと傾けると、さて帰るか、と立ち上がります。
信繁の横に来た信尹は、寝返ったときの褒美が書いてある
家康からの書状を手渡します。
「読まんでいい」
それを読まずに、信繁は細かく破り捨てます。
家康の密命を受け、本多正純は一室に入ります。
「大御所様は、和睦を望んでおられる」「和睦……」
「一日も早く、城内を和睦でまとめよ、と」「難しいご注文ですな」
「やっていただこう」「かしこまりました」
正純と襖を隔てて会話していたのは、織田有楽斎でした。
大坂城では、和睦について提案がなされ
信繁は大反対です。
いずれ和議を結ぶときが来ようが、それは今ではない。
しかも真田丸の戦いで負けた徳川から和睦を提案するならまだしも
勝った側である大坂から和睦を提案すれば
家康に足元を見られてしまいかねません。
有楽斎が言うには、勝った今だからこそ事を有利に運べるわけで
徳川に負けてしまってから和睦を請うたのでは
それこそ家康の思うつぼであるのです。
そんな有楽斎の提案を聞き、
大蔵卿局は信繁が反対を唱えるのも聞かずに
和睦和睦と言って聞きません。
秀頼は、もう少し様子を見たい、と言って
いったんはこの話は打ち切りになりますが、
信繁が下がると、有楽斎と大蔵卿局の二人が
秀頼に和睦和睦と言い続け、結局は和睦に決してしまいます。
信繁は、有楽斎が気になると佐助に身辺を調べさせます。
ある夜、茶々に呼び出された信繁は
茶々に本心を打ち明けられます。
つまり、秀頼と一緒にいられればそれでよく
城を手放せというなら手放すし、どこか遠くの小さな国へ移って
みんなで暮らせれば、それ以上は望まぬ、と。
ただ、それを豊臣に味方して大坂城に入った浪人たちが聞けば
たちまちヤル気を失いかねない発言だけに、
信繁は茶々に、心に留め置いた方が、とだけ伝えます。
そして茶々には、秀頼に和睦を結ばないように
説得して欲しいと願い出ます。
「和睦はなりませぬ!」
茶々にしては珍しく、信繁の願い通りに動いてくれたわけですが
最後に断を下すのは、茶々ではなく自分であると秀頼に言われます。
しかし茶々も負けてはいません。
当主秀頼を生んだ自分こそが、大坂城の真の主である!
和睦は決してなりませぬ!
去って行く信繁を、秀頼は呼び止めます。
茶々を説き伏せたのは
“最後に断を下すのは自分”と言った信繁だそうで、
秀頼は、一体何が本当なのかと肩を震わせて涙を浮かべます。
断を下すべきは殿、と断った上で
信繁は、その断が誤っていれば
いかなる手を使ってでも食い止める、と宣言します。
塙 団右衛門が、夜討ちをかけるそうです。
戦いたくてウズウズしていた又兵衛と勝永、そして木村重成は
そんな団右衛門に加わってともに戦うことにします。
一方で、長宗我部盛親は、仮にも大名家である自分が
団右衛門のような小兵の下で戦わなければならぬのか、と
その作戦から抜けて、そのまま信繁に作戦をチクります。
夜、いよいよ始まりの時。
団右衛門たちが集まっているところに、
信繁が現れます。
「あ……」
しかし信繁は、自分も味方に加えてくれ、と
意外なことを言い出したのです。
毎日毎日鬨の声に気が滅入ってくるので、
気分を変えたいようです。
団右衛門の下知で、本町口の蜂須賀軍に向けて
一斉に夜討ちをかけます。
徳川軍に、イギリス製の大筒
最新鋭のカルバリン砲が到着しました。
片桐且元に、大坂城内の茶々の居場所を聞いた家康は
そこに照準を合わせてカルバリン砲を打ち込ませます。
その一発の砲弾が、
多くの人々の運命を狂わせることになります。
大砲が大坂城天守の鯱に命中し
命中した鯱がそのまま、茶々のすぐ近くに落下しました。
侍女ふたりがその下敷きとなって即死。
茶々は取り憑かれたように、それに近づこうとして
きりが懸命に引き止めていました。
慶長19(1614)年12月16日、
徳川家康による大坂城本丸への砲撃が始まり
淀殿の侍女8人に命中、8人とも死ぬ。
慶長20(1615)年5月7日、
大坂夏の陣にて真田信繁が討ち死にするまで
あと4ヶ月──。
作:三谷 幸喜
音楽:服部 隆之
題字:挾土 秀平
語り:有働 由美子 アナウンサー
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[出演]
堺 雅人 (真田信繁(幸村))
大泉 洋 (真田信之)
長澤 まさみ (きり)
松岡 茉優 (春)
吉田 羊 (稲)
中原 丈雄 (高梨内記)
藤本 隆宏 (堀田作兵衛)
藤井 隆 (佐助)
──────────
中川 大志 (豊臣秀頼)
寺島 進 (出浦昌相)
井上 順 (織田有楽斎)
小林 隆 (片桐且元)
今井 朋彦 (大野治長)
阿南 健治 (長宗我部盛親)
近藤 芳正 (平野長泰)
星野 源 (徳川秀忠)
岡本 健一 (毛利勝永)
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竹内 結子 (茶々)
哀川 翔 (後藤又兵衛)
近藤 正臣 (本多正信)
内野 聖陽 (徳川家康)
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制作統括:屋敷 陽太郎
:吉川 邦夫
プロデューサー:清水 拓哉
演出:保坂 慶太
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『真田丸』
第47回「反撃」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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