プレイバック真田太平記・(44)真田家取り潰しの陰謀
大坂夏の陣から2年が経過した元和3(1617)年の初夏。
上田城を滝川三九郎が訪ねてきます。
対面するや否や、真田信之は三九郎に頭を下げます。
大坂方に加担した武将の妻子まで囚われの身とされる中
亡き真田幸村の妻子を引き取ってくれたことへの礼です。
実は、幸村の妻・於利世は病気で亡くなりまして
三九郎は、妻のお菊と於利世の2人の娘たちと共に
於利世の最期を看取ったのです。
それについても信之は礼を述べます。
さらに、於利世の長女・お梅ですが
仙台伊達家家臣の片倉小十郎と婚約が整いまして、
次女・あぐりにもよき縁談相手を捜してきます、と約束。
もう、実際のパパさんみたいな働きぶりです。
信之は、上田城改修を幕府に届け出たそうですが、
将軍秀忠に見事にはねつけられてしまいます。
それぐらい真田家には恨みが強いのでしょう。
元和元(1615)年に発布された武家諸法度十三箇条で、
居城を改築する時には幕府の許可を得ることとありましたが、
実際に城の改修を願い出たのは信之が初めてではないでしょうか。
信之は、幕府の出方を探ったのだと言い訳していますが
それを聞いた三九郎は大笑いです。
去り際に三九郎は、大坂の陣で幸村に従って戦った樋口角兵衛が
尾張徳川家に召し抱えられているらしいとの情報を
信之の耳にも入れます。
「ともあれ、真田家の災いの種にならねば良うございますが」
信之は、頷くしかありません。
野駆けして信州の隠れ湯に入りにきた馬場彦四郎は
先客に女が入っているのを見、その女を抱こうとします。
しかしその女はお江でありまして、彦四郎に攻撃。
彦四郎が気づいた時にはお江の姿はありませんでした。
周囲を怪しみながら湯から上がる彦四郎ですが、
そんな彼の姿を岩陰に隠れて見ていたお江は
徳川甲賀忍者という彦四郎の正体を知っています。
彦四郎はいまだにお江に見張られていることも知らずに
川でのんきに弁当を食べておりますが、
その川では女が洗濯をしておりまして
彦四郎はその女を襲おうとします。
それを見たお江は慌てて彦四郎の背後に回り
頭を打ち付けて気絶させます。
彦四郎の懐に手をやると、甲賀忍者の証である銅板が──。
彦四郎が目を覚ますと、
裸にされて木にくくりつけられています。
その木には、張り紙が……。
『この男 真田家家臣 馬場彦四郎と申す者なり』
上田城に連行された彦四郎ですが、
レイプされそうになった女からの訴えもあり
もう言い逃れはできない、と己の出来心を恥じますが、
真田家に仕えてきた忠臣だからと手を緩めることはされません。
その夜、お江が信之の寝所に現れ、
信之にとって衝撃的なことを話します。
「馬場彦四郎と申す者、公儀隠密と存じます」
馬場家は、彦四郎の父・馬場彦右衛門から
真田家に仕える重臣ですが、お江曰く、彦右衛門もまた
山中大和守俊房に仕える甲賀忍者でありました。
そして彦四郎の懐にあった銅板は、
甲賀忍者の中でも特殊な任務に就く者にしか与えられない
肌身離さず持ち歩く証拠の品であるわけです。
信之は、彦四郎の処理をお江に任せます。
彦四郎が閉じ込められている牢の牢番が倒され、
一人の忍者の手で彦四郎が外に出されます。
彦四郎はその忍者に感謝し、出て行きますが
実はその忍者、お江だったのです。
明朝、彦四郎がいなくなったと知らせが入り
信之は動揺しますが、追っ手を差し向けることはしません。
そして逃げ出した彦四郎ですが、
そのまま遠江の威光寺の慈海の元に逃げ込みます。
彦四郎は、
てっきり慈海の指図によるものと思い込んでいましたが
慈海は指図していないし、そもそも彦四郎が
石牢に閉じ込められていたことすら知りません。
慈海は徳川家康に長く仕えた甲賀忍者の頭目なので
真田家にとってはよろしくないことが起きそうな予感です。
徳川が真田に対して難癖をつけることは容易に想像できます。
特に甲賀忍者の頭目である慈海が先導して
かつて大坂冬の陣の後に幸村との対面が成ったわけですが、
当時は家康の勧めで、と言われて会いに行った対面も
この期に及んで、信之が勝手に会いに行ったと変えられては
真田家にとっては危急存亡の時に間違いありません。
信之は、わずか一人の供を付けて上田から京に向かい
徳川と真田の間を取り持ってもらうべく小野お通の屋敷を訪ね、
兄弟の対面が徳川先導によるものであったことの
証人になって欲しいと頭を下げます。
同じ日。
将軍家では真田家に対する密議が行われていました。
彦四郎の正体が真田側に知れてしまったため、
真田家の処分を急がなければなりません。
やれ、と秀忠は命じます。
「これでやっと、真田家が潰せる。やっと余の念願が叶うわ」
そして幕府の急使が上田城へ。
信之に江戸城への出府命令が出たのです。
秋、信之は幕府からの出府命令を受けて江戸城に入ります。
真田家取り潰しの陰謀が渦巻いていたのです。
(『真田丸』では「()」〜「()」付近)
原作:池波 正太郎
脚本:金子 成人
音楽:林 光
タイトル題字:池波 正太郎
語り:和田 篤 アナウンサー
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[出演]
渡瀬 恒彦 (真田信之)
遙 くらら (お江)
香野 百合子 (久野)
大谷 友右衛門 (矢沢頼康)
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榎木 孝明 (樋口角兵衛)
福田 豊土 (慈海)
有川 博 (土井利勝)
角野 卓造 (馬場彦四郎)
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中村 梅雀 (徳川秀忠)
三浦 浩一 (滝川三九郎)
竹下 景子 (小野お通)
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制作:榎本 一生
演出:大原 誠
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