プレイバック秀吉・(08)知らぬ顔の半兵衛
山椒は小粒でもピリリと辛い──。
舞の海 −14cm
本田 泰人 −12cm
金森 栄治 −10cm
堀越 正巳 −21cm
小兵が大物を食う痛快さ。
ご覧のとおり、身長こそ平均よりも低いが
その華麗な技で人気は高い。
さて、我らが秀吉。
戦国のヒーローの中でも
ずば抜けて人気があるこの男の身長は?
京都醍醐寺に残る秀吉愛用の腰掛け。
この腰掛けの高さから、人間工学を用いて
秀吉の身長を割り出すと、およそ150cm。
戦国武将の平均身長、およそ160cmから見ても
秀吉はかなり低い。
活躍する小兵たち。
日本人は、昔から不利な条件を跳ね返して
巨大なものに立ち向かうヒーローを愛したのである──。
永禄10(1567)年1月。
墨俣築城から4ヶ月が経っても美濃は未だに落ちず、
木下藤吉郎秀吉は寒い墨俣城の中で凍えております。
そんな中、秀吉の説得に応じつつも
なかなか輿を上げなかった竹中半兵衛がやってきました。
墨俣城兵は、官兵衛入城に歓喜します。
ただ、城内の勘定方でもある小一郎は
手放しでは喜んではおりません。
現在でさえ炭すらも買えない貧乏暮らしというのに
高名な半兵衛を迎え入れたら、食事や酒、女のことまで
世話せねばならず、さらに出費はかかるわけで、
美濃三人衆を長略するなら、いっそ美濃にいて
もらった方がいいのではないか、と考えているので
半兵衛の入城も、眉間にしわ寄せて迎えてしまうわけです。
越前・朝倉義景の家来となっている明智光秀ですが、
義景に鉄砲の値打ちが分かってもらえない不満を
妻のひろ子にぶつけています。
かといって、越前で逗留している足利義昭を
織田信長に対面させるのも、時期として少々早いと
母・美が言うので、しばらく控えている状態です。
ひろ子は、義昭の気持ちが変わらないうちに早く、と
義昭と信長の仲介を早くした方がいいと勧めます。
光秀自身の気持ちも少しは大切にした方がいいと
考えているからです。
しかし、美はそれをバッサリと否定します。
信長に会わせるのは、美濃が落ちてから。
その時こそ、信長や半兵衛に頭を下げさせるとき──。
「余計なことを光秀に申すでない」
半兵衛が墨俣に入って半年、
彼は未だに何もしようとしません。
イライラが募った小一郎は、半兵衛の部屋に押し入り
安藤伊賀守や稲葉良通、氏家卜全の様子、
それから動く時期をストレートに尋ねますが、
もうすぐでしょう、と半兵衛は笑います。
半年間、この城内で寝起きをしていたはずですが
どんな手を使ったか、小一郎は一瞬戸惑います。
「手とは私がここにこうしていることにございます」
さらに時は過ぎ、信長から
怒りの書状が秀吉に届けられます。
ただ秀吉は、冷静に書状を書いて送るだけの
余裕がまだあると受け取ります。
半兵衛も、安藤たちが来るのは
もうしばらく先との見込みです。
しかしその夜、半兵衛の姿が見えなくなります。
「風が吹く、風鈴が鳴る」のナゾかけを残して──。
秀吉はそのことを知らぬまま、
信長に美濃情勢についての報告をしに行きますが、
信長は鷹狩りに出ていて不在、とのことで
代わって応対したのは、最近仲間入りした滝川一益です。
一益は、半兵衛の評判を伝え聞いておりまして
実は大したヤツではないのではないかと
冷笑しながら秀吉に言うのですが、秀吉は笑います。
「心配ご無用!」
秀吉が家に戻ると、ともが産んだばかりの子を連れて
なかと一緒にやってきていました。
甥っ子を溺愛する秀吉におねは嫉妬し、
「早くオレの子を産んでくれ!」という秀吉に
はい、と返事しながらも顔を引きつらせます。
秀吉はともの長男に、孫七郎と名前を付けます。
後に関白太政大臣となる豊臣秀次であります。
半兵衛は、美濃三人衆を織田方に
寝返らせることに成功します。
風が吹き、風鈴が鳴ったのです。
そして8月15日。
半兵衛の調略により稲葉山城はついに陥落。
秀吉は2,500貫に加増され、侍大将に昇進しました。
父・弥右衛門の槍にぶら下げた瓢箪は
この時から秀吉の馬印となったのです。
信長は、稲葉山城を岐阜城と名を改め
『天下布武』の印を使いはじめます。
公家に代わって武家が天下を治める意気込みを
天下に示したのです。
妹・お市に
近江の浅井長政との縁談話が持ち上がります。
「市は、近江の女大名になりまする」
永禄11(1568)年7月22日・美濃立政寺──。
光秀は、美の望み通り
信長が美濃を治めると、
義昭を信長に引き合わせます。
「織田信長様に申し上げる。足利義昭様を奉じ上洛せよ」
光秀の凛とした声が、対面所に響き渡ります。
信長は、それを約束した後
義昭には250両を差し上げ、
さらには光秀を4,000貫で召し抱えたいと申し出ます。
知行額だけで言えば、柴田勝家や丹羽長秀に匹敵、
いやそれ以上とも言えます。
2,500貫の秀吉は、さすがに頭に血を上らせます。
脚本:竹山 洋
堺屋 太一「秀吉」「鬼と人と」「豊臣秀長」より
音楽:小六 禮次郎
題字:森繁 久彌
語り:宮本 隆治 アナウンサー
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[出演]
竹中 直人 (秀吉)
沢口 靖子 (おね)
高嶋 政伸 (小一郎)
赤井 英和 (石川五右衛門)
涼風 真世 (おたき)
市原 悦子 (なか)
村上 弘明 (明智光秀)
有森 也実 (ひろ子)
頼近 美津子 (お市)
中村 あずさ (おまつ)
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中尾 彬 (柴田勝家)
大仁田 厚 (蜂須賀小六)
段田 安則 (滝川一益)
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玉置 浩二 (足利義昭)
浜畑 賢吉 (細川藤孝)
渡辺 徹 (前田犬千代)
野際 陽子 (美)
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古谷 一行 (竹中半兵衛)
渡 哲也 (織田信長)
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制作統括:西村 与志木
演出:佐藤 幹夫
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