大河ドラマおんな城主直虎・(12)おんな城主直虎
駿河への道中、突風で思わず目を瞑る井伊直親。
風が止み、目を開けると
今川が送り込んだ刺客に囲まれていました。
「かかれいっ」
直親たち小人数に、大人数の刺客が
一斉に襲いかかります。
善戦するも、やはり多勢に無勢
一人斬り倒され、二人斬り倒されして
ついに直親だけになってしまいます。
幾人にも串刺しにされた直親。
刺客たちが立ち去った後も、次郎法師の心の声が届いたか
「井伊は……どっちだ」と立ち上がって戻ろうと歩き出します。
しかし数歩進んだところで力尽きてしまいます。
井伊谷の屋敷に、直親に随行した家来が
ケガを負いつつ帰ってきました。
「掛川城の手前で不意を襲われ、殿、家来衆、
ことごとく討ち果たされました!」
井伊直平はじめ、井伊の家臣たちはもとより
襲撃現場に駆けつけた南渓和尚、傑山たちも
悔しさのあまり雄叫びを上げます。
「ここは寒かろう……井伊に帰ろう……」
次郎法師は、真冬でありながら
直親の無事の帰還を水垢離で祈り続けます。
しかしそれは次郎法師の体力を着実に奪っていまして
倒れ、運ばれていきます。
一時は脈がかなり弱くなって、
三日三晩死の渕をさまよっていた次郎法師は
ようやく意識を取り戻します。
殿のお帰りじゃ、という昊天の声に促されて
よろよろと大広間に歩いていく次郎法師ですが、
そこには筵を被せられた者たちが並んでいます。
「直……親……?」
次郎法師が手で触れようとすると、
触るでない、としのが遮ります。
「皆、そなたが殺したようなものではないか」
あの時但馬を成敗していれば
今日のようなことにはならなかったと
しのは泣きわめきます。
今川から、やはり命令が届きます。
直親の遺児・虎松を殺せ、と。
井伊の者たちは、それはある程度予測していたようで
井伊直満が殺されて
亀之丞(直親)を逃がしたときと同じように
虎松を隠し通す用意はできていますが、
新野左馬助は、一度は命乞いをしてみる価値はあると
母のしのに、虎松を預けるように諭します。
駿河に赴き、太守今川氏真に目通りした新野。
そもそも新野は今川の家臣でありまして、
井伊家の目付として井伊谷にいるわけです。
そんな新野が責任を取って腹を斬ると言っても
老いた首など何の役にも立たない、と氏真は鼻で笑います。
その代わり……虎松の命が惜しければ
氏真が望む“ある首”をあげてこい、と条件を出します。
新野が帰った後の駿府では
氏真の前には、小野政次が控えていました。
虎松を殺せと命じさせたのも
すべて政次の発案だったようで、
新野が慌てて弁明に来ることも予見していた政次は
その“ある首”の命令も氏真に案を授けていたようです。
政次は更に、三河では松平の家臣が狼藉を働き
他にも一向宗徒の怒りを招くことをしでかしていると氏真の耳に入れ
この動きを煽れば、松平は足元をすくわれるでしょう、と
薄気味悪く笑うのです。
その後、三河では一向一揆が勃発し、松平元康は
僧侶のみならず、家中の一向宗徒にも背かれることとなり
松平の勢いは削がれ、今川にとっての幸いとなりました。
「はっはっはっ……ざまはないな」
おおじじ様=直平が、戦に出ることになりました。
今回のことで、館には近づかない方がいいと
敬遠していた次郎法師は、南渓和尚の使いで
戦に出る直平に酒を届けるように言われます。
久々に館に戻ってきた次郎法師。
直平は、いよいよ我々の出番、とヤル気をみなぎらせます。
氏真からの条件は、虎松の命が惜しければ
“元康の首”をあげてこい、というものだったのです。
次郎法師は年齢のことを考えて心配していますが、
直平たちは元気に帰ってくるつもりです。
もしも、もしも帰って来れなかったら、
それは天命。仏さまが決めること。
誰かを守って死ねる男子は、果報者。
中野直由が自分に言い聞かせるようにつぶやきます。
「わしはずっと、そなたが男子であればと思っていた。
されど、女子でよかったぞ」
直平は次郎法師に酒を注ぎます。
ご隠居・直平は、今川に反旗を翻した天野氏を攻めるために
出陣しますが、その陣中で不審な死を遂げ、
新野左馬助と中野直由は、反乱を起こした
引馬城の飯尾連龍討伐で討ち死にします。
その後、今川屋敷にいた政次は久々に戻ってきました。
今川に捕らえられ、出るに出られず軟禁されていたものの
直平、新野、中野の忠義が認められて戻って来られたと
これまた出来過ぎた話のようですが、
政次は、井伊家への新たな目付として
近藤康用、鈴木重時、菅沼忠久の3人を連れてきました。
みな近隣の領主なので、井伊には詰めませんが
何か事が起こった時には助け合えという氏真の心遣いです。
「今日よりそれがしを虎松様の後見としていただきます」
いくら今川とはいえ、井伊家の家督には口を差し挟めないはずと
祐椿尼(=千賀)は青ざめますが、
氏真のご意向により、と政次は有無を言わせません。
お下知にございます、と差し出した
書状に目を通した祐椿尼は
南渓和尚のところに相談に行きます。
次郎法師の前にも、久々に顔を出す政次ですが、
直親をはじめ、井伊の者たちはみんな死んでしまったのに
政次だけが生き残ったことで、直親の無念さが
次郎法師の胸の中にむくむくと沸き上がってきます。
直親は、裏切るつもりで裏切ったのか
裏切らざるを得なかったのか、と問いつめる次郎法師に
政次は、掴んだ次郎法師の手をパンとはねのけます。
「ヘタを打ったのは、あいつだ」
何度も同じことを繰り返し、
井伊は終わるべくして終わったのだ──。
恨むなら直親を恨め、と政次は去っていきます。
井伊家の中に、政を行う男子がいなくなってしまったので
虎松の後見になってもらえないか、と
南渓和尚に相談に行く祐椿尼。
南渓和尚は、直満の弟、井伊直盛の伯父、
次郎法師の大叔父に当たり、井伊家出身なのです。
しかし、南渓和尚は自分ではなく
後見を次郎法師にさせる道を探ります。
そんな時、次郎法師の異変に気づき、
南渓和尚と祐椿尼は次郎のところに駆けつけます。
次郎法師は、昊天の槍を持ち出し
怒りに任せて何度も何度も穂先を土に突き刺していました。
自分は直親を殺した、そればかりか
直平や家臣たちも次々と亡くなった。
自分は井伊家に災厄をもたらすのみだ、と。
「これ以外、我に何が出来るというのじゃ!!」
自分を責めたところで、死んだものは帰ってこない。
しかし生きるものは、死んだものを心の中で生かすことが出来る。
そう諭す南渓和尚に、次郎法師はつぶやきます。
「亀にこの身を捧げる。亀の魂を宿し、亀となって生きて行く」
井伊屋敷の大広間に集まった、井伊家家臣の面々。
政次、近藤、鈴木、菅沼以外に、
奥山六左衛門、中野直之が登場します。
井伊は今まさに、存亡の危機を迎えておる。
次に井伊の家督を継ぐのは虎松じゃが、虎松はまだあまりに幼い。
まことに僭越ながら、井伊の末席に連なるものとして
虎松の後見となる者を推挙したい。
その者の名は。井伊直虎と申す──。
「我が、井伊直虎である」
見上げる政次の視線をしっかりと受け止め、
逆に政次を見据えるほどのパワーを持った直虎です。
作:森下 佳子
音楽:菅野 よう子
題字:Maaya Wakasugi
語り:中村 梅雀
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[出演]
柴咲 コウ (次郎法師)
三浦 春馬 (井伊直親)
高橋 一生 (小野但馬守政次)
財前 直見 (祐椿尼)
貫地谷 しほり (しの)
苅谷 俊介 (新野左馬助)
筧 利夫 (中野直由)
市原 隼人 (傑山)
山口 紗弥加 (なつ)
矢島 健一 (関口氏経)
──────────
尾上 松也 (今川氏真)
阿部 サダヲ (松平元康)
──────────
前田 吟 (井伊直平)
小林 薫 (南渓和尚)
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制作統括:岡本 幸江
プロデューサー:松川 博敬
演出:渡辺 一貴
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『おんな城主直虎』
第13回「城主はつらいよ」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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