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2017年4月 3日 (月)

プレイバック秀吉・(25)温泉に行きたく候

健康──それは戦国の世も現代も、トップに上り詰める
人間の資質として欠かすことが出来ない。
後に天下の主人公となる秀吉と家康、このふたりの健康法とは?

家康の健康法は鷹狩り、そして薬。
水戸の徳川博物館には、
家康自ら調合し服用した薬の壺が保存されている。

一方、秀吉の健康法は温泉であった。
平成6年、有馬温泉のお寺の下に
秀吉が作ったとされる風呂場が見つかった。
タテヨコおよそ7メートル、畳30枚分。

記録によれば秀吉の有馬訪問は12年間に9回。
その多くが、信長の死後の天下統一の節目節目に集中している。
秀吉は、重要な局面に温泉によって疲れを癒し、
鋭気を養っていたのである──。


最近、おねの様子が変です。
茶碗に酒をなみなみ注いで、ぐいっと飲み干しております。
羽柴秀吉は播磨に出陣したまま不在でして、
おねは眠れぬ夜を過ごしているのかもしれません。


天正8(1580)年1月。
宇喜多直家が息子の八郎を人質にだしたことで
本領安堵のまま織田寝返りが功を奏し
秀吉の播磨攻めもようやく終わりました。

信長を前にしてもなお、眠り続ける秀吉。
信長は、不眠不休で数年に渡って働いてきたのだと理解を示し、
秀吉に休みを与える、と格別の優しさを見せます。
羽柴秀長に、秀吉におねを連れて有馬温泉へ行くように、と。

「いっぴゃあ、抱いてもらっておいで!」
なかは留守を守るので、
秀吉とおねの二人で有馬に行かせるつもりです。
おねは照れながら、旅の準備に余念がありません。


秀吉ですが、周囲の空気が少し重いのに気づきます。
そういうのには頭が賢く働く秀吉、
もしかしたら有馬温泉などと
浮かれている場合ではないかもしれません。

しかし前田利家を問いつめても、千 宗易に聞いても
誰も何もしゃべってくれません。


おせっかい焼きのおまつが、おねに
有馬遊山の取りやめで気落ちしているのでは、と
心配してやってくるのですが、心配も何も有馬に行くつもりで
準備していたので、おねはひどくがっかりしています。

なぜ取りやめかは
利家に口止めされているので言えない、と。
そこまで言ったのであれば、理由を言わない方が
逆に生殺しで無惨なような気もします(^ ^;;)

でも、おまつのことです。
せっつかなくても案外ポロリとしゃべっています。
信長を織田家から追放する企てがあるようなのです。


「明日は有馬に行かんよ、あたしゃ」
帰宅した秀吉は、なかも一緒にと思ったようなのですが
なかは、事情はどうあれ
秀吉とおねの二人きりで送り出すつもりです。

「楽しみにしとるよ、おね。
 いっぴゃあ抱いてもらうって」
まぁ、それは母ちゃんが言ったんですけどw
しっかりやれよって、息子の尻を叩いて送り出す母も母です。


そのころ、明智光秀は林 佐渡守を迎えていました。
表向きの名目は、光秀の母・美の弔問ですが、
実はそれだけではありません。
「お館さまに、隠居していただこうと思うておる」

比叡山の殺戮、美の見殺し、築山殿と松平信康の処刑など
最近の信長の指揮内容は常軌を逸しています。
天下布武が達成した時に、織田家の舵取りを
嫡男の織田信忠にお願いするつもりなのです。

ただ、光秀は娘を信長の子・織田信澄に嫁がせていて
織田家とは縁戚関係にあります。

林の野望のために光秀自身は何もしてやれないと断りますが、
織田家の跡継ぎを信澄にする手もある、という林に
立ち去ろうとしていた光秀は振り返り、激怒します。
「この光秀を、謀反人になさるおつもりか」


林、佐久間信盛、柴田勝家が決死の思いで
クーデターを企てようとしているのを知った利家は
それを信長に報告するわけですが、

有馬に行くことになっている秀吉には
絶対に言ってはならないと釘を刺されているようで、
それでも居ても立ってもいられなかった利家は
夜遅く、秀吉に面会を求めて全て白状します。

秀吉は、まあそりゃあ有馬行きを延期して
急いで信長のところに馳せ参じようとするわけですが、
「日吉! 安土に行ったらいかん。明日有馬へ行け」
なかの鶴の一声で静まります。

女房を大事にするのが男の大事な仕事。
女房が元気でニコニコしている男が一番いい仕事ができる。
女房はたんぼの土と同じ、いい芽が生え花が咲いて実がなる。
そして必要ない草は取らなければならない。

信長が、クーデターを知っていながら
秀吉に何も言わないということは、
必要ない草をむしり取ろうとしていることなのです。
林や佐久間は、今の織田家には雑草と言いたいのです。

「お館さまの草取りを黙って見とるのがお前の仕事だよ」
なかにそう説得されて、腑に落ちた秀吉。
おねというたんぼの土を、実りよくせんと掘り返すために
予定通り有馬行きを断行します。


勝家が、林や佐久間と袂を分かって信長に翻ります。

林も佐久間も、最近では何も功績はありませんが、
これまで織田家に対してたくさんの仕事はしてきました。
それだけに、というのが柴田の思いです。

「処分はワシに任せよ」
ワインを勧めながら、信長は勝家に言います。


無事に有馬温泉に到着した秀吉とおね。

夫婦で仲良く入湯していますが、
秀吉は居眠りばかりしています。

食事に舌鼓を打つ……どころか、
茶碗を持ったまま眠りこける秀吉。

つまらないおねは、従ってきた
ともの夫・長助とさとの夫・仲蔵に
酒の相手をさせます。

とそこに現れたのは、佐久間です。
おねは、佐久間が何を言いに来たのか分かっています。

ただ、秀吉とおねの幸せは、
信長からの御恩の上に成り立っているわけで
おねとしては、その幸せを壊されたくないわけです。
佐久間は、秀吉に話が出来ないまま、退散します。


半年後──。

テンション高く明るくなったおねの姿があります。

有馬でのたった2日間の休暇が
おねに酒を忘れさせ、性格も陽気に戻してくれます。

そして、クーデターを企てた林と佐久間は
本来なら切腹となるところ、信長の配慮で織田家追放となり、
秀吉主催で送別会が開かれます。


脚本:竹山 洋
堺屋 太一「秀吉」「鬼と人と」「豊臣秀長」より
音楽:小六 禮次郎
題字:森繁 久彌
語り:宮本 隆治 アナウンサー
──────────
[出演]
竹中 直人 (秀吉)
沢口 靖子 (おね)
高嶋 政伸 (小一郎)
細川 直美 (さと)

市原 悦子 (なか)

村上 弘明 (明智光秀)
有森 也実 (ひろ子)
中村 あずさ (おまつ)
岡本 健一 (仲蔵)
中尾 彬 (柴田勝家)

大仁田 厚 (蜂須賀小六)
松岡 昌宏 (森 蘭丸)
織本 順吉 (佐久間信盛)
高松 英郎 (林 佐渡守)
渡辺 徹 (前田利家)
──────────
仲代 達矢 (千 宗易)

渡 哲也 (織田信長)
──────────
制作統括:西村 与志木
演出:大友 啓史

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