プレイバック秀吉・(37)天子様の御落胤(らくいん)!?
日本一の城・大坂城を築き、
事実上『天下人』となった秀吉。
しかし、その正当性を
朝廷に承認してもらうためには、ある条件が。
源、平、藤原、橘。
平安時代以降のしきたりには、
このいずれかの姓を名乗る者のみ
天下を制する資格があるとされていた。
由緒ある家柄、百姓出の秀吉に立ちふさがる大きな壁。
しかし、秀吉はかつて信長が朝廷より官位を授かる際
「平姓」を称したことに倣ってか、「平 秀吉」を名乗ることで
次々と官位を昇進させていったのである。
従五位下→左近衛権少将
→従四位下参議→従三位権大納言→正二位内大臣
そして、古いしきたりをくつがえす、
新しい姓が今ここに誕生する──。
天正13(1585)年・春。
羽柴秀吉は「正二位内大臣」に昇進して
初めて朝廷に参内しますが、翌日大坂城に戻ってきた時には
羽柴秀長とともにとても浮かない表情です。
「今日より上様は、やんごとなきお方の御落胤となられます」
昔、秀吉の祖父である公家の萩中納言は、
あることで都を追われ、尾張でひっそりと暮らしていました。
その萩中納言にはひとり娘がおりまして
父のつてを頼りに京に上り禁中に仕えていましたが、
その娘に天皇のお手がついて産まれたのが
関白秀吉、というわけです。
なかは、自分が中納言の娘とされたことも忘れて
秀吉が天皇の子であるとされたことにとても驚きます。
それはなかだけに限らず、
今まで秀吉に仕えてきた家臣たちもみな同じで
頭が高い頭が高い! と秀吉が催促するまで
みな頭を下げることも忘れてポカーンと呆れています。
おねは、茶々も18歳と立派に成人したころだし
秀吉の側室として
子を産んでもらったらどうか、と秀吉に提案。
石田三成に、茶々の側近になるように命じ
秀吉の子を産むように働きかけさせます。
秀吉は、京にいた足利義昭を大坂に呼び出し面会を求めます。
秀長は、秀吉が関白職に就けるように取りはからって欲しいと
金子を義昭に送りますが、家来の細川藤孝は
秀吉が関白職に就けるとはどうも思えません。
関白なら無理までも、将軍ならばと言う藤孝に
義昭は、足利将軍家を愚弄するな! と断ります。
百姓の匂い、金の匂い、商人の匂いがして臭い、と
義昭は皮肉たっぷりに言ってのけます。
しかし、大坂城に義昭の屋敷を建てるという約束で
義昭の態度は軟化します。
北政所が、1日も早い懐妊をお望み、と
三成は外野からヤンヤヤンヤと言い続けます。
「ご本意はお市さまの敵討ちのため上様にお近づきとは
存じますが、左様なことは夢にも叶わぬことにて」
茶々は三成を睨みつけ、障子を閉めて拒絶します。
サルを殺してしまえ、というお市の遺言が
茶々の脳裏を駆け巡って離れません。
最近、秀吉の側近の間で、後輩に当たる三成と
先輩格に当たる蜂須賀小六たちの対立が目に余ります。
黒田官兵衛は、千 宗易が茶の湯にかこつけて
秀吉から政治の相談ごとを受けたりして
自分はもうお払い箱か、と不安を抱えてもおりますが、
秀吉にとって軍師はあくまで官兵衛ひとりです。
宗易は、禁中には商人では入れないからと
大徳寺の住職・古渓宗陳に道号を考えてもらい
「利休」と名乗ることにしました。
その宗陳が、秀吉が関白に就任するにあたっての
源平藤橘に代わる新しい姓を考えてくれました。
『豊臣』
おねに引っ張られて、尻を叩かれて
しぶしぶ茶々の部屋に向かう秀吉。
そっと障子を開けると、茶々がしおらしく手をついています。
ちょっと気まずくなったか、秀吉は
お福のところへ駆け込みます。
秀長は石川五右衛門とおたきの住む宿に赴き
秀吉とは何も関わりのないことにしてほしい、と頭を下げます。
秀吉は、俺らのことを邪魔に思うようになったのだ……。
そう悔しさをにじませつつ、秀長の前では
関白なんぞ知らぬ存ぜぬ! と強がります。
さらに秀長は、尾張中村の生家も解体することにします。
思い詰めた小六は、俺もそろそろかと隠居する決意を固めます。
しかし秀吉は、小六が隠居するつもりでいることを見抜き
終生5,000石を与えるので、ずっと秀吉の側にいて
苦言を言ってくれ、と笑います。
「恐れ入りまする」
9月。
朝廷は、源平藤橘に続く新しい姓を秀吉に与えます。
「今日よりわしは『豊臣秀吉』である」
脚本:竹山 洋
堺屋 太一「秀吉」「鬼と人と」「豊臣秀長」より
音楽:小六 禮次郎
題字:森繁 久彌
語り:宮本 隆治 アナウンサー
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[出演]
竹中 直人 (秀吉)
沢口 靖子 (おね)
高嶋 政伸 (秀長)
赤井 英和 (石川五右衛門)
涼風 真世 (おたき)
財津 一郎 (竹阿弥)
松 たか子 (茶々)
高瀬 春奈 (お福)
細川 直美 (さと)
大仁田 厚 (蜂須賀小六)
篠田 三郎 (丹羽長秀)
玉置 浩二 (足利義昭)
浜畑 賢吉 (細川藤孝)
伊武 雅刀 (黒田官兵衛)
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市原 悦子 (なか)
真田 広之 (石田三成)
仲代 達矢 (千 利休)
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制作統括:西村 与志木
演出:黛 りんたろう
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