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2017年6月23日 (金)

プレイバック秀吉・(47)かあちゃんの死!

大坂から、海路と陸路を行くことほぼひと月。
距離にしておよそ700km。

現在の佐賀県鎮西町に位置する肥前名護屋城は
「唐陣」あるいは「唐入り」と称する
秀吉の大陸出兵構想の拠点であった。

目の前には玄界灘、
大坂城に次ぐ規模を誇るこの城に結集した軍勢30万。
大陸出兵が始まろうとしていた──。


なかのボケが進行しています。

高い石垣を自ら進み、落ちそうになるのを
はしごを使ってよじ上った豊臣秀吉に助けられたというのに
「触るでにゃあ! 誰か! 誰か来てくりょ!」と
まるで賊に襲われたかのような恐ろしい表情です。

恐らくは朝鮮出兵などという
恐ろしいことをなそうとすることに思い悩み、
ボケをさらに進行させてしまったものと思われます。

朝鮮出兵のことに就いては、竹阿弥が止めても
おねが止めても秀吉は聞く耳を持ちません。
しばらく休む、と言って
あとのことはおねに頼み、秀吉は出て行きます。

出て行った途端、なかはポツリとつぶやきます。
「泣き落としもいかんかね」

確かにボケてはいるのですが、
正常部分の残り半分を使った演技だったようです(^ ^;;)


病床のなかは、枕元に
豊臣秀次、徳川家康、黒田如水、前田利家を呼び
無学の自分でさえ朝鮮出兵は悪逆非道だと分かる、とし
みんなで朝鮮出兵反対と唱えて欲しいと説得します。

如水、利家、秀次は誓紙血判しますが、
家康だけが渋っております。
なかは、署名するまでは
生きてこの座敷から出しませぬ、と脅します。

そんな時、障子がサッと開き
秀吉と石田三成が立っていました。
一同、顔が真っ白に。

秀吉は、家康たちそれぞれに脅しをかけ
なかを部屋の外に連れ出してしまいます。
そしてなかを突き飛ばし、おねを殴りつけ……。

「出兵はやめよ!」
なかの叫びがこだまします。


半年後、秀吉はついに出兵を開始。
自ら肥前名護屋城に入ります。

そこに、おねの書状とともに
なかが作ったかき餅が届けられます。
懐かしんで食べる秀吉と三成。
目には、涙。


そしてそのころ、大坂城では
なかの容体が心配でのぞきに来た石川五右衛門が
珍しく具合のいいなかに
作り立てのかき餅を食べさせてもらいます。

「五右衛門よ、いろいろすまなんだね。
 いろいろ……ありがとうごじゃあました」
五右衛門に頭を下げるなか。

感極まった五右衛門は、なかに
大坂城にいたらダメになってしまうからと
一緒に城を出ようと提案しますが、
なかは笑って断ります。

「サルは朝鮮で……」と言いかけてぐっと堪えたのを、
秀吉が朝鮮で何をした? となかが問いつめます。

五右衛門が言うには、秀吉は朝鮮で
罪のない者たちの耳を削ぎ
それを送らせているそうです。

それでなかは卒倒してしまいます。


「長い間、ありがとうごじゃあました」
秀吉をお頼み申します、と言葉を残し
竹阿弥の胸で息を引き取ります。

大政所御危篤、との知らせを受け取った秀吉は
肥前名護屋城からすぐに大坂城に戻ってきますが
死に目に間に合いませんでした。

秀吉はずっと付き添った竹阿弥をいたわり
「親父」と呼んで、抱き合って涙します。


なかの居室の床の間を片づけていたら出てきた、と
ともが秀吉に遺言状を持ってきます。

たのしきゆめ ありかたく候──。

なかはいつでも、秀吉の味方でした。
どんな時でも自分を信じてくれました。
励ましてくれました。

かあちゃん……かあちゃん……。
まことか……まことかよ……?
まこと楽しかったかよ……。

秀吉は、なかの遺言状を手にしたまま
泣き崩れます。


脚本:竹山 洋
堺屋 太一「秀吉」「鬼と人と」「豊臣秀長」より
音楽:小六 禮次郎
題字:森繁 久彌
語り:宮本 隆治 アナウンサー
──────────
[出演]
竹中 直人 (秀吉)
沢口 靖子 (おね)
赤井 英和 (石川五右衛門)

財津 一郎 (竹阿弥)

松 たか子 (淀)
深浦 加奈子 (とも)
三国 一夫 (秀次)
ビート キヨシ (長助)
川上 麻衣子 (おかつ)

西村 雅彦 (徳川家康)
伊武 雅刀 (黒田如水)
渡辺 徹 (前田利家)
──────────
市原 悦子 (なか)

真田 広之 (石田三成)
──────────
制作統括:西村 与志木
演出:柴田 岳志

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