プレイバック秀吉・(49)夢のまた夢 [終]
京都東山。
秀吉の墓・豊国廟は明治になって再建された。
徳川時代、豊臣家に由来する社は
影も形もなく壊されたからである。
500段を数えるこの石段の頂上に、
秀吉はひっそりと眠っている。
かつての華やかな生涯もまた、夢のまた夢である──。
脚本:竹山 洋
堺屋 太一「秀吉」〜夢を超えた男〜
「鬼と人と」
「豊臣秀長」 より
音楽:小六 禮次郎
テーマ音楽:NHK交響楽団
指揮:大友 直人
演奏:ダット・ミュージック
題字:森繁 久彌
語り:宮本 隆治 アナウンサー
時代考証:小和田 哲男
風俗考証:二木 謙一
建築考証:平井 聖
衣裳考証:小泉 清子
所作指導:猿若 清三郎
茶道指導:鈴木 宗卓
:秋山 宗和
殺陣武術指導:林 邦史朗
芸能考証:野村 万之丞
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撮影協力:岩手県江刺市
:西本願寺
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[出演]
竹中 直人 (秀吉)
沢口 靖子 (おね)
深浦 加奈子 (とも)
中村 あずさ (おまつ)
松 たか子 (淀)
三国 一夫 (秀次)
小西 博之 (小西行長)
ビート キヨシ (長助)
高瀬 春奈 (お福)
川上 麻衣子 (おかつ)
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西村 雅彦 (徳川家康)
玉置 浩二 (足利義昭)
渡辺 徹 (前田利家)
高杉 亘 (加藤清正)
松田 敏幸 (福島正則)
若林 晋太郎 (拾い(秀頼))
福島 珠美 (侍女)
勝山 さゆり (侍女)
市川 法由 (近習)
小谷 欣也 (近習)
内藤 義和 (近習)
田中 美穂 (侍女)
湯本 香織 (侍女)
緑川 崇 (小姓)
田中 圭 (小姓)
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芦沢 孝子 (方言指導)
山崎 海童 (方言指導)
楽劇わざおぎ塾
劇団ひまわり
丹波道場
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宍戸 錠 (本多正信)
真田 広之 (石田三成)
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制作統括:西村 与志木
美術:深井 保夫
技術:林田 茂男
音響効果:岩崎 進
記録編集:阿部 格
撮影:熊木 良次
照明:小野寺 政義
音声:加村 武
映像技術:太田 司
美術進行:諏訪 公夫
演出:黛 りんたろう
文禄4(1595)年 春──。
座敷で豊臣秀吉と足利義昭が蹴鞠をして遊んでいます。
ふたりとも年老いて、ちゃんとした蹴鞠のように
ポーンポーンとはいきませんが(^ ^;;)
とはいえ、二人の会話はおねのことでありまして、
おねは機嫌が良くなく、
突然カーッとなって怒り出したりするようです。
秀吉との祝言以来、初めてのことであります。
もう疲れたと、出家するとまで口走るほどです。
2人目の子、お拾いを産んでからというもの
おねとの距離がいっそう遠のいている淀が
思い切っておねの元を訪ねたのは、そんな時でした。
淀は、自分のことで苦しんでいるのでしょう、と
頭を下げますが、淀のことで悩んでいるのではありません。
秀吉の顔を見るとわけもなく腹が立ち
淀のことを喚き散らすと困った表情を浮かべ
うるさい、と怒鳴られ……。
「あなたは若い、美しい。うらやましい……」
淀の顔を見て、おねは涙を浮かべます。
数日後、徳川邸には石田三成が訪問しています。
太閤豊臣秀吉から、大坂城に出仕せよとの命です。
そう命じられたのは実は家康だけではなく
本多正信も前田利家も豊臣秀次も小西行長も、
そしておねや淀、お福、おかつといった女たちも同じです。
秀次は、関白職にある自分のことだろうと
疑心暗鬼になっています。
秀吉は秀次の関白職を秀頼に与えたいのだろう、と
そう思っているわけです。
それを三成に問いつめると、襖がパッと開き
満開の桜の木が──。
「花を愛で候え、酒を呑み候え……」
秀吉が、まるで花咲か爺さんのように
花びらを散らしてもてなします。
今日が、おねとの35回目の結婚記念日なのです。
秀吉は、おねと初めて出会い、
おねが自分を受け入れ、
祝言を挙げた日のことを思い出します。
一夜城の褒美がなかったことに秀長が激昂し
信長にもらったのが棗(なつめ)1個だったことを
悔しがる秀吉ですが、おねはそれも優しく受け止めました。
「秀吉を信じることだがね。
あンたの仏は秀吉、秀吉の仏はあンた」
なかの大笑いの声が、おねの心を満たしてくれました。
こうして無事にこの日を迎えられることに感謝しての
秀吉主催のお花見なのです。
宴が終わり──。
眠っていた秀吉が目を覚ますと、
あれだけ大勢がいた座敷には一人もおらず。
おい……皆の衆……どこ行ったんだ?
おね……三成よ……又左よ……。
母ちゃんよ……わしはまこと日輪の子かの?
このわしが日輪の子じゃと申したは、ありゃ嘘じゃろ?
嘘言うて、アホな子を励ましてくれたんじゃろ?
親じゃの……。
お袋さまよ……辞世ができ申した。
露とおち
露と消えにし 我が身かな
浪花のことも 夢のまた夢
すると、大坂城の座敷が
いつか見た尾張中村の真っすぐに伸びる一本道に。
秀吉は、その先に輝く太陽に向かって
一直線に走って行きます。
──完──
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