大河ドラマおんな城主直虎・(30)潰されざる者
井伊直虎は、ひそかに今川家を見限って
徳川家と手を結ぶことにしました。
しかしそれは、亡き寿桂尼に見透かされていまして
寿桂尼の死の帳面“デスノート”にバッテン付きで書かれます。
一方 今川氏真は、武田・徳川との戦を決意。
遠江の国衆たちに戦の準備を命じたのです。
気賀では、ことのほか上手く儲かっているようで
新たに蔵でも建てねば資材があふれんばかりです。
瀬戸方久は氏真に蔵の追加建設を申請し、認められますが
交換条件に、とんでもないことを打診されます。
「こたびの戦に備え、井伊の領地を我が直轄にしたい」
つまり、戦に際して井伊家はお取り潰し、ということです。
徳川との戦になれば、国境に接する遠江の井伊谷は要の血です。
そこに、信じることの出来ない者を国衆として置けぬというわけです。
氏真曰く、井伊に徳政令を出してそれを方久に受け入れさせれば
自ずと井伊家は滅びるであろう、と。
方久が井伊より安堵されている瀬戸村と祝田村は
改めて今川から安堵状を発してもらい、気賀も含めてそのままに。
しかし、もし逆らえば……。
方久は、氏真から堅く口止めされており
誰にも相談できずに悩んでおります。
それで、気賀に蔵を建てるということは材木が必要なわけで、
直虎は、材木を気賀に売ることにしますが
直虎に目線を合わせなかったり、ちょろちょろと慌てふためいたり
方久の様子がおかしいです。
方久が、今川から蔵の建設を請け負ったという話を
直虎は小野政次にするのですが、
すべて知っているはずの政次でさえ、知らなかったようです。
今川の、井伊に関することで
自分の知らないことが徐々に増えてきている。
政次は、気が入らぬからと直虎との囲碁を終わりにしますが
本当は、今川から疑われている、と察知します。
「ひとつ、こちらから仕掛けてみるか」
政次は、天の井伊直親に語りかけます。
気賀・堀川城の方久のところに、
今川家から関口氏経がやってきました。
話によると、いまから井伊家に向かうのだそうです。
氏経はご丁寧にも、方久も命を狙われるかもしれないから
ほとぼりが冷めるまで、しばらくは身を隠せと忠告して
井伊に出発します。
それを見届けた龍雲丸。
方久から身の隠し場所を求められますが、
その前に、三河のお武家様と内々に会わせたいと言って
方久を、待たせてあるその場所に誘います。
待っていたのは、政次でした。
方久から蔵の新規建設を持ちかけられた龍雲丸ですが、
木材調達の話は井伊には一切していないので、
何かウラがある、と睨んだのでしょう。
政次は、氏真から方久を見張るように言われているとし、
三河のお武家様と聞いて会いに来た方久のその行動は
今川家にとってどうなのか? と少々脅し始めます。
そして思い切って仕掛けます。
「井伊を取り潰す話からは、但馬を外すと言われたか?」
井伊の取り潰しの話は、知っているのは方久だけではない。
実は政次も知っていて、
井伊を取り潰した後は気賀を任されることになっている、と。
「お主には、どういう話になっておる?」
そこで、不自然に腰を押さえる方久から
1枚の書状を奪い取った龍雲丸。
その徳政令後の安堵状を見て、政次はすべて飲み込めました。
つまり今川の命令で方久が民衆の借金を帳消しにすれば
代わりに井伊家に貸している金を井伊家に取り立てる。
返す金のない井伊家は、銭の形として井伊の土地を出さざるを得ず
そうなれば、井伊家はつぶれたも同じことであるのです。
方久は開き直り、仮に徳政令を出さなくったって
今川は力づくでも井伊の領地を直轄にしたがっているので
井伊家は取り潰されるのが落ちだ、と叫びます。
「いつだ……徳政はいつ出される?」
氏経が井伊谷に到着しました。
どのような用件で? と困惑する直虎たちに
今川からの下知を伝えに来たわけです。
「かねて、井伊領内の百姓らの願い出たる徳政令、
井伊に速やかに行うことを命ずるものなり」
瀬戸村や祝田村は、今ではすっかり立ち直り
返済も進んでいるこの時期に
どうして徳政令を出さなければならないのか、
合点がいかない直虎です。
実は銭主(=方久)がそれを望んでいて、
百姓への貸し付けを帳消しにする代わりに
井伊からは借金を取り立てたい、と。
ただ、方久はそれをしない代わりとして
井伊家の家臣になったわけであるのですが、
氏経は、方久からそのような訴えがあったと聞いた、との一点張り。
今すぐに徳政をと迫る氏経に、
せめて考える猶予をもらうのが精一杯の直虎です。
今分かっているのは、
今川家はまた井伊家を潰しにかかっているということ、
井伊潰しにかかることを方久は知っているであろうこと。
そう考えれば、ここ最近の方久の行動ひとつひとつが
おかしかったよな、と関連づけられます。
方久の堀川城から、政次が急いで戻ってきました。
三河との境目となるこの地を信の置けぬ井伊に
守らせるのは危ういと寿桂尼が判断しての井伊潰し。
今川は、徳政をはねつければ力で潰しにかかるでしょう。
こういう形でのお取り潰しは、むしろ今川の恩情と政次は話します。
なんとか道を見つけたい。
とにかく考えさせて欲しい。
直虎は、頭を抱えます。
明日は何が起こるか分からぬ。
太守様がお倒れになるかもしれぬし、
今川館が燃えて落ちるかもしれぬ──。
今川の人質になるのが嫌で、
自分が出家をすることで人質を免じてもらおうと
南渓和尚と駿府へ行った時に言われた言葉を思い出します。
あの時は単なる慰めでしたが、今は……?
井伊を潰した今川が、潰れてしまう……?
もし井伊が徳政令を受け入れれば、
井伊は潰されて今川の直轄とされるでしょう。
そうなれば、井伊の民百姓は
今川方の兵として戦うことになるでしょう。
戦う相手は──武田、いや徳川。
しかし井伊はその徳川とはすでに通じています。
であれば?
あえて井伊を潰した上で、今川の懐に入る。
そして関口の首を上げて徳川に差し出せば……?
井伊は、甦る!
直虎は、計画を実行に移すことに決めます。
しかしそこに、瀬戸・祝田の百姓たちが
氏経が宿泊している屋敷に押しかけて
徳政令を望まない、と声を上げたのです。
慌ててかけつける直虎ですが、
先に来ていた政次が刀を抜き、直虎に囁きます。
「俺を信じろ、おとわ」
作:森下 佳子
音楽:菅野 よう子
題字:Maaya Wakasugi
語り:中村 梅雀
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[出演]
柴咲 コウ (井伊直虎)
高橋 一生 (小野但馬守政次)
柳楽 優弥 (龍雲丸)
ムロ ツヨシ (瀬戸方久)
矢島 健一 (関口氏経)
三浦 春馬 (井伊直親(回想))
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尾上 松也 (今川氏真)
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浅丘 ルリ子 (寿桂尼(回想))
山本 學 (甚兵衛)
小林 薫 (南渓和尚)
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制作統括:岡本 幸江・松川 博敬
演出:藤並 英樹
◆◇◆◇ 番組情報 ◇◆◇◆
NHK大河ドラマ『おんな城主直虎』
第31回「虎松の首」
デジタル総合:午後8時〜
BSプレミアム:午後6時〜
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