大河ドラマおんな城主直虎・(31)虎松の首

井伊は今川から、再び徳政令を受け入れるように迫られ
取り潰しの危機を迎えておりました。

それを知った井伊・瀬戸方久の領地である
瀬戸村・祝田村の百姓たちは、
徳政令をせよという下知を持ってきた関口氏経の宿所に押しかけ
徳政令を望まないと声を上げたのです。

慌てて駆けつける井伊直虎ですが、
そこにはすでに、小野政次がいました。
政次は直虎に刀を突きつけ、手出しはさせません。
「俺を信じろ、おとわ」

氏経の家来たちは、百姓たちをめった打ちしますが
それでもひるまず、徳政令は望まないと声を出し続けます。
政次は、直虎に刀を突きつけたまま、農民たちの前に連れていき
この農民たちを焚き付けて謀ったのかと怒鳴ります。

当然、そういうわけではないので、
百姓たちは慌てて否定しますが
政次は直虎に、百姓たちの前で徳政令を受け入れて
土地を手放すと宣言せよと迫ります。

「井伊は……徳政令を受け入れる」
政次が言う、俺を信じろ、の言葉を胸に
受け入れる代わりに、百姓たちのしたことを
許して欲しいと頭を下げる直虎。

直虎の言及はそのまま氏経に伝えられ
この時をもって、井伊は領地を失い潰れることになりました。

翌朝、このことは、井伊の面々に伝えられます。
それだけでもかなりの動揺が走るのに、
政次をはじめ氏経の家臣たちが井伊谷の館に乗り込んで
すぐの立ち退きを迫るので、直虎は顔が引きつります。

しかし、今は言われたように立ち退くしかありません。
中野直之には、館の者たちをひとまず隠し里へ向かわせ
直虎は、虎松と直久を連れて後を追いかけるつもりです。

寺で手習い中の虎松と直久は、直虎が連れていきますが
亥之助だけは寺に残されます。
どうして自分だけ残されたのか、と考える亥之助は
伯父の政次が井伊を裏切ったためか、と考えが至ります。

亥之助は、井伊を裏切った政次を許せませんでした。
母に訴えますが、母・なつも
だからこそここに残らなければならないと教えます。
納得できない亥之助は、飛び出して行きます。

隠れ里に着いた直虎は皆を集め、これからのことを説明します。

今はこうやってお取り潰しを受けてしまった井伊家ですが
数ヶ月後を目処に、井伊を甦らせたいと言うのです。

すぐに井伊谷に徳川軍が攻めて来る予定ですが、
その時に井伊も挙兵し、
氏経の首を上げて徳川に差し出すことで
井伊は徳川の傘下に入る、という図式です。

井伊は徳川とよしみを通じているので、
そう難しい話ではありません。
実は政次もその計画を知っていて、あえて井伊を裏切ることで
今川からの攻めの盾になっている、というのです。

駿府に戻って今川氏真に報告した氏経ですが、
イライラしている氏真は聞く耳持たず、
井伊を断絶せよと怒鳴り散らします。

そんなことになっているとは知らない直虎は
今川が虎松の首を狙ってくるかもしれないと
虎松にしばらく身を隠すように命じます。
かつて虎松の父・井伊直親がそうしたように。

駿府から戻ってきた氏経に、
政次を城代として井伊谷を任せたいと言われますが、
それは全て、虎松の首と引き換えに、とのことです。

「お安い御用」
政次は笑って頭を下げます。

井伊の様子を見に来ていた尼姿の直虎ですが
ちょうどその時、政次たちが押しかけてきて
虎松探しを始めます。

政次は、虎松が見つからなければ尼僧が身代わりだと
直虎を捕まえて連れていきます。

嵐の夜──。
政次が血で濡れた刀を月夜にかざします。

これで氏経もいなくなるし、
名実ともに井伊は小野のものとなる。
それは小野の悲願でもある……。
「案ずるな。地獄へは俺が行く」

翌朝、首の検分のために庭に引き出された直虎。
首には、疱瘡を隠すために厚化粧が施されています。

直虎はたまらず涙を流し、読経します。
そして、罪なき子どものために、墓を作って弔います。

一つの名も無き命と引き換えに、政次は井伊谷を手に入れ
直虎は井伊家復活への新たな闘志を手に入れます。

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作：森下 佳子
音楽：菅野 よう子
題字：Maaya Wakasugi
語り：中村 梅雀
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[出演]
柴咲 コウ (井伊直虎)
高橋 一生 (小野但馬守政次)
柳楽 優弥 (龍雲丸)
財前 直見 (祐椿尼)
市原 隼人 (傑山)
山口 紗弥加 (なつ)
矢島 健一 (関口氏経)
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尾上 松也 (今川氏真)
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山本　學 (甚兵衛)
小林　薫 (南渓和尚)
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制作統括：岡本 幸江・松川 博敬
演出：藤並 英樹

◆◇◆◇　番組情報　◇◆◇◆

ＮＨＫ大河ドラマ『おんな城主直虎』
第32回「復活の火」

デジタル総合：午後８時〜
ＢＳプレミアム：午後６時〜