プレイバック葵 -徳川三代-・(30)大坂城炎上
時は慶長20(1615)年、大坂夏の陣において
豊臣家に加担する浪人衆は数万人に及んだが、
その実態はピンからキリまであった。
軍師格の大スター・真田幸村は
かつての上田5万石の真田昌幸の次男で
関ヶ原へ急ぐ徳川秀忠を手玉に取り
ついに遅参させたという実績がある。
改易の後は紀州九度山に籠り
時節到来を待ち受けていた──。
慶長20(1615)年5月6日、
大坂夏の陣は、道明寺にて開戦。
しかし大坂方にとっては苦戦──。
後藤又兵衛、薄田隼人正が戦死し
毛利勝長勢と真田幸村勢が
伊達・浅野勢を食い止めるべく交戦中。
木村重成は若尾で戦死し、長宗我部盛親は八尾から撤退。
「出陣じゃあ!」
このままでは負け戦と、秀頼はたまらず下知しますが、
天王寺に手騎兵を引き込んで叩き潰す手はずとなっているので
まだ早い、と渡辺 糺に止められます。
幸村は、全軍総攻撃で部隊の編制に当たりますが
それは豊臣秀頼の出馬があればこそできることです。
しかし大野治長は、淀殿が許さないからと
秀頼の出馬はないことを伝えます。
5月7日。
真田幸村勢が茶臼山から幕府軍に突入します。
天王寺・岡山の戦いです。
とはいえ、豊臣方5万に対し幕府方15万で
数の上では圧倒的に豊臣方が不利です。
大坂城内の治長の屋敷が炎上しています。
恐らく誰かが火を放ったようです。
治長屋敷に潜んでいた秀頼と側室の子、国松丸と結姫は
山里丸に避難することになるのですが、
そこには秀頼の妻・千姫がおります。
大蔵卿局が、申し上げにくうございますが、と断った上で
まだ幼子の国松丸と結姫を紹介します。
子の存在を知らなかった千姫はとても衝撃を受けますが
微笑んでふたりを迎え入れます。
「真田幸村勢3,500、囲いを突破してこちらへ向かいつつあり!」
火急の知らせを聞いた徳川家康は、乾いた笑い声を上げ
慌てて自軍に退却を命じます。
しかし真田軍からの銃撃を受け、古い上げた右腕に命中。
これまでじゃ!! と家康は脇差しに手をかけます。
そんな家康を抱えた本多正純は、家康を馬に乗せ逃がします。
家康は命からがら、天王寺から平野久宝寺村へ落ち延びます。
充分に戦い抜いた幸村は
あばら屋で松平忠直の家臣に発見され討たれます。
大坂城は、天守閣にまで火が燃え移り
淀殿・秀頼母子も山里丸に避難します。
常高院が、千姫を徳川に無事に送り返して
淀殿と秀頼の助命嘆願を願い出ると提案します。
実は治長の元にも家康からそのような申し出があったのですが
信じるに足らぬと治長は伏せていたのです。
「信じるに足りぬ」
助命嘆願はもっての他だと
淀殿は表情ひとつ変えずに言いますが、
秀頼はその申し出を受け入れます。
呼び出された千姫は、秀頼の説得を受け
秀頼に従って国松丸と結姫を連れて大坂城を脱出し
徳川に戻ることにします。
夜、太閤豊臣秀吉が精魂込めて作り上げた大坂城は
天守閣もろとも、炎に包まれました。
赤々と燃え上がる大坂の夜空は、
はるか都からも見ることが出来
高台院は肩を揺らしてむせび泣きます。
「豊臣家の命運、ここに尽きたり」
大坂の仮本営で手を合わせる家康の横で、
愛娘・千姫の消息が気になって仕方がない徳川秀忠は
家康の言葉にも上の空で聞こえていません。
そこに千姫が到着──。
常高院は、千姫の脱出と引き換えに
淀殿・秀頼母子の助命嘆願を願い出ますが、
ふたりの居場所を聞き出し、殺しはせぬ、と言うだけです。
背筋が凍る思いをする常高院です。
5月8日、徳川軍は跡形もなく焼け落ちた大阪城を占拠。
家康、秀忠の入城となりました。
家康は、まずは付けている武具甲冑を外した上で
一人ずつ表に出てくるように命じます。
「秀頼殿、いかがいたす」
「は。断りましょう」
太閤秀吉の子であれば、諸大名の面前で
縄目を受けるのは恥辱であります。
秀頼は治房に火薬をもって来させ
爆破して城とともに身を滅ぼす道を選びます。
それに淀殿も、大蔵卿も、治長も治房も
秀頼に付き従う道を選びます。
来世もまた、秀頼を産んでくださりませ──。
外で待っていた秀忠と家康ですが、
秀頼も淀殿もなかなか外に出てきません。
しびれを切らした秀忠は、引きずり出せ! と命じますが
説得します、と常高院が走って行ったとき。
ドッカーン!! と山里丸が爆破されます。
「秀頼殿、淀殿、ご自害なされた模様」
立ち上がり、城を見上げる秀忠。
しまった!! と唇を噛む家康。
後ろで控えていた片桐且元は、
落涙しながら頭を下げます。
幕府は諸大名に命じて
落ち延びた豊臣方の武将を徹底的に捜索。
長宗我部盛親を逮捕、六条河原で斬罪に処します。
逃亡していた国松丸と結姫も捕らえられます。
秀忠は家康に裁断を仰ぎますが、
豊臣の血筋を残すか、断つかは将軍の存念次第と
家康はこの件に関して秀忠に一任。
そこに、常高院と千姫がふたりの助命嘆願に現れます。
常高院の言い分は、千姫と引き換えに淀殿と秀頼の
命を助けるという家康との約束を反古にされたため
その身代わりとして国松丸と結姫の助命を願い出たもの。
しかし助けると言いながら、
勝手に自害したのは淀殿と秀頼です。
謀反人秀頼の子として、その責めを負うのは
至極当然のことだと秀忠は主張します。
千姫は、もし国松丸と結姫を殺すなら
「どうして秀頼とともに死ななかった!」と秀忠が責めたように
自分の首も刎ねて欲しいと涙ながらに訴えます。
そう言ってしまった手前、黙ってしまう秀忠です。
家康は、結姫については千姫の養女として
寺に預けることを認めますが、国松丸については
「助けるわけには参らぬ!」と大声を出します。
国松丸は、六条河原の露と消えました。
享年8歳──。
そして結姫は鎌倉の東慶寺に送られ
仏門に入って天秀尼となりました。
太閤秀吉の血筋はこれで絶え、滅亡したのです。
作:ジェームス 三木
音楽:岩代 太郎
題字:ジェームス 三木
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[出演]
西田 敏行 (徳川秀忠)
尾上 菊之助 (豊臣秀頼)
大河内 奈々子 (千姫)
渡辺 いっけい (本多正純)
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西郷 輝彦 (真田幸村)
保坂 尚輝 (大野治長)
高橋 和也 (大野治房)
梨本 健次郎 (渡辺 糺)
馬渕 晴子 (大蔵卿局)
神山 繁 (本多正信)
波乃 久里子 (常高院)
津川 雅彦 (徳川家康)
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中村 梅雀 (語り・水戸光圀)
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草笛 光子 (高台院)
林 隆三 (土井利勝)
小林 稔侍 (片桐且元)
小川 真由美 (淀殿)
岩下 志麻 (お江)
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制作統括:川合 淳志
演出:尾崎 充信
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